2016年10月24日

3 大量に読み、聴き、解く

記憶は、脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられます。

ここが記憶の保管場所です。

そして、この側頭連合野では、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚といった五感や、感情面の機能が統合されています。

この連合野には、身体のいろいろな機能から働きかけたほうが記憶が定着しやすいという特徴があります。

耳で聴く、目で見る、音読する、手を使って書くなど、さまざまな手段で働きかけたほうが、記憶を定
着させることができるのです。

そうすることで、側頭葉から海馬にたくさんの信号が送られるのです。

耳・目、手など複数の手段で働きかけると、海馬を活性化し、記憶が定着しやすくなります。

その情報信号つまり総合情報は海馬を一回りして、記憶すべきものは再び側頭葉へ戻されます。

海馬に記憶されている情報のうち、何度も反復して脳にアクセスされたものは「重要である」と判断されます。

だから、記憶するためには五感を使って、大量に情報を送り込むことが大事なのです。

情報量が膨大な現代社会においては、試験に合格するためには、脳を並列な状態にして、できるだけ大量の情報を五感で送り込む暗記の訓練が必要なのです。

暗記の訓練によって、脳内の神経細胞の数はどんどん増加します。

そして暗記が進むと、知識があとからついてくるような現象も起こってくるのです。

それは、情報が神経細胞でどんどんつながるからなのです。

●脳を並列状態にし、大量の情報を五感で受け入れるという訓練が必要
●暗記の訓練によって、脳内のニューロンの数がどんどん増加する
●暗記が進むにつれ、知識があとからついてくる現象が起こる

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2 記憶力はどんどん良くなる

脳の構造や神経細胞の並び方に個人差はありません。

かつては、「神経細胞には増殖能力がない」といわれてきました。

生まれたときにいちばん脳の神経細胞の数が多く、使わないでいるとどんどん失われていくと考えられてきました。

つまり脳の中で神経細胞のリストラが行われていると考えられていたのです。

しかし、最近の研究によって、それは間違いであることがわかってきました。

「海馬」など限られた脳の部位では神経細胞が増殖することがわかってきたのです。

「海馬」は記憶を頼りに、あれこれ考えるときに使われます。

頭をたくさん使って鍛えれば、この「海馬」の神経細胞は増殖するのです。

1997年のネイチャー誌に、米国の生物学者ゲイジによってこれを裏づける実験結果が発表されました。
【MRI実験】
ゲイジは2つの飼育箱を用意し、ネズミを飼育しました。一方の飼育箱には、遊び
道具をたくさん入れ刺激のある環境を作り、もう一方の飼育箱には、何も遊び道具を
入れずにネズミを育てました。こうして育てた2匹のネズミの脳を比べてみたら、遊
び道具のある飼育箱で育てたネズミのほうが、海馬の神経細胞の数が15%も多く、さ
らに詳しく調べると、神経細胞の増殖能力が2倍以上にまで上昇していることがわか
りました。神経細胞は、鍛えられると活性化するという証拠です。(『記憶力を強くす
る』池谷裕二著より)

*脳の神経細胞
神経細胞(ニューロン)は、脳の機能を直接になっている細胞で、木の枝のよう
にたくさんの突起(樹状突起=情報を受け取る突起)のある細胞体があり、そこ
から長い線維(軸索=情報を送り出す)が伸びています。大脳ではこの神経細胞
が約140億個あるといわれています。そして、それらがつながっていてネット
ワークが形成されています。神経細胞は電気を発生して情報を伝えます。

*海馬
脳の中で記憶を扱っている部位。脳の奥の大切なところにあり、直径は1センチ、
長さ4〜5センチほどの大きさ(小指ぐらい)、脳に入ってきた情報は、一度この海馬に送り込まれる。
●脳の構造に個人差はない
●海馬の神経細胞は、使えば使うほど増殖する

第1章 合格するにはコツがある―徹底的に記憶する

試験で試されるのは記憶力である!

世の中にはたくさんの試験があります。入学試験、資格試験、検定試験、学校の定
期試験などなど…。試験の結果が悪いと、落ち込んでしまいます。才能がないのかな
あなどと思ってしまいます。

試験勉強には4つの特徴があります。

①問題が与えられている
②正解がある
③出題範囲が決まっている
④制限時間内に解く

この4つをクリアするためには、覚えれば良いのです。記憶力が結果を大きく左右します。

試験勉強は、あまり才能がなくても可能です。

自分で解法を見つけて解くことには、あまり重点が置かれていないのです。

ゲームやクイズと根本的なところが似ています。

試験で試されるのは、思考力ではありません。

ましてや、人柄でもセンスでもありません。

記憶力なのです。

ニュートンやアインシュタインは、学校の成績があまり良くなかったそうです。優秀な人間=受験秀才ではないのです。

●頭が悪いから、試験に落ちるのではない
●試験はゲームだ!クイズだ!
●試験で試されるのは、記憶力

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2008年06月21日

「江戸の教育力」を読んで 3

吉宗の改革で注目すべきは、学問を庶民まで浸透させたことです。しかも官や藩が主導するだけでなく、7万にも上る寺子屋(幕末では)はまさに民の自発的な学問所でした。士農工商それぞれの学問があり、地方でもばらばらに行われており、価値観が多様化し、しかも直接社会と結び付いた教育が行われていたのです。

いつでもどこでも気軽に「学ぶ」場所があり、明治になるまで、日本人は庶民の隅々まで「学び」を楽しんでいたのです。

現在、米国で教育における慈善事業としてジョージ・ルーカスがやろうとしているのは、
1.子どもたちに、プロジェクトを立て、それに沿って実行する能力をつけさせる。
2.組織やチームでコラボレーションする能力を身につけさせる。
3.学校で学ぶ理由、社会のなかでどのようにその学問が役立つかを認識させる。
4.学校現場の先生にどうしたら教育のイノベーションをしていただけるか。
5.家族や友達との関係を学ぶ。
です。

この5つを江戸時代の教育はすでに実践しています。
1、儒学でいう「知行合一」はまさにこのことです。
2、庶民における5人組、武士における「お家」はすべて組織で行動するためのシステムです。
3、家と仕事と地域と寺子屋が一体となった仕組みは、まさに社会と学問が自然と結び付いています。
4、「過ちてはすなわち改めるに憚ることなかれ」「君子豹変」「知者は水を楽しむ」「知者は動く」「君子の過ちは日食月食」で、いかに過ちを改善するか、こそ教師のもっとも手本とするところです。
5、寺子屋は、儒学を通して親や友人との関係を説いている。

このように江戸時代の教育は、現代からみると、少人数制にしろ、人間教育にしろ、社会への直結にしろ、社会や人との関わり、国家観にいたるまでかなり理想的な教育が施されていたようです。

「いつでも、どこでも、気軽に、楽しく、そして誇りをもって」学ぶ知恵が江戸時代の教育にあったようです。

「江戸の教育力」を読んで 2

秀吉の刀狩り、太閤検地により、兵農分離が進みました。それを引き継いだ家康の時代、武士は城下町で官僚化し、農村では庄屋や組頭が選ばれ、自治や自律が進みました。そして年貢などの統治に関することは文書により、やりとりされました。その結果、農村でも急速に文字文化が発達しました。

たとえば元禄時代以前、幕府は農村に五人組を対象とする法令を制定するなかで、村内に田畑を持たなくても、読み書きや算術を教えるものは、代官に報告し、村中で援助するように指示しているそうです。

子どもたちは、7,8歳になると手習所に通わせ、最終的には「小学」「四書」「五経」など儒学を習わせていました。

元禄時代、武士、庶民とも教育への理解が高まり、「現実性、合理性、人間性の尊重」が特徴の文化でした。この時代、都市では三井、鴻池、住友など庶民を相手にする新しいタイプの商人が活発化し、農村でも生産力が増大し、農民の生活水準は向上しました。

その背景に商人や農民のための教科書が執筆され、「商売往来」「百姓伝記」「会津農書」「農業全書」など多くの経営の書物が刊行されました。

政治的には文治主義が主導でした。これは武力ではなく、儒学の普及、浸透によって社会の安定をめざす政治でした。

徳川家康から4代家綱まで歴代将軍の侍講を務めた朱子学者林羅山は上野に家塾を設立しました。5代将軍綱吉はこの塾を湯島に移し湯島聖堂をつくりました。林羅山の孫、信篤は大学頭に任命されこの学問所を統括しました。

諸藩でも学問所の設立は盛んに行われ、会津藩主保科正之は山崎闇斎に学び、水戸藩主徳川光圀は江戸小石川藩邸に彰考館を設けて大日本史を編纂しました。

このように各地に藩校が設立され、幕末までに276校あったそうです。また幕府や藩は庶民教育のために郷学も設立しました。

8代将軍徳川吉宗は江戸前期の高度成長の行き詰まりの停滞期に将軍に就任し、享保改革を行いました。そのなかで、教育改革も断行しました。


享保改革は、幕府財政を再建し、国民生活の維持安定のために「大きな政府」「強い政府」による国家再建を行いました。

そのために1、徹底した法の整備、2、下層官僚でも幹部に登用できるよう、官僚機構の改編、3、公文書システムの確立を行いました。

吉宗は教育改革にも力を入れ、儒学を基礎とする国民教育を振興することにより、社会を安定させました。従来の幕府の教育方針は武士が儒学を修め、徳のある政治を行い、社会を安定させようとしたのに対し、国民全体に儒学の振興普及を図ったのです。

幕府主催の儒学の講義を庶民にも開放しました。湯島聖堂は偶数の日は直参、旗本などが学び、奇数の日は庶民に開放しました。しかしもっと気軽に学問ができるように郷学、寺子屋、といった小さい私塾を全国に普及させていきました。

その結果、明治の初めには75000の寺子屋と6500の私塾ができたそうです。今日の全国の小中学校が33870校であることを考えれば、学問する場所が実に庶民の身近にあったのがわかります。

このようなことから、日本全国の平均識字率は80%を優に越え、識字率という点においては、世界最高の文化国家であったことがうかがわれます。

「江戸の教育力」を読んで 1

江戸の教育力(大石学 東京学芸大学出版会 2007年3月30日)を読みました。大石氏は学芸大学の教授で、江戸時代の専門家です。大河ドラマ「新撰組!」などの時代考証もされています。

この本はまず戦国時代のルイス・フロイスなど外国人の目から見た日本の教育について紹介し、そのあと江戸時代前期、吉宗の改革を境に中期、そして後期という時代の流れに沿って教育の変遷をわかりやすく紹介しています。

まず戦国時代の幕を閉じたのは、秀吉で、彼は卓越した戦争術で天下統一したのではなく、各地方の領主に、「戦争をやめれば、領土を安堵する」、という「平和の拡大」という条件を出して、日本全国から戦争をなくしたのだそうです。

この史実は実に示唆に富んでいます。今日、世界中で金融資本が跋扈し、バイオエネルギーに金が集まるせいで、アフリカなどの後進国で餓死者が出る、といったとんでもない現状を、秀吉みたいなリーダーが出現して、正常な社会に戻してほしいです。

話を元に戻すと、先に述べたフロイスは1585年島原で書いた「日本覚書」のなかで、下記のようなことを記述しています。

「日本女性の多くが文字を書くこと、教育において体罰は行わないこと、日本の子どもは10歳でも50歳と同じくらいの判断力と賢明さ、思慮分別を備えている。」

また同時期に来日した宣教師ヴァリニャーロは「日本巡察記」で
「日本国民は優秀で、子どもたちも良く学問し、規律を守り、外国語を短期間で習得する能力を持っている。下層民も優れ、上品で仕事熱心である。また日本人は穏やかで、子どもたちは下品な言葉を使わず、暴力を振るわない。さらには大人のような理性と落ち着きをもっている。服装、食事、仕事などは清潔で美しく、すべての日本人が同一の学校で教育を受けたようである。」と記している。

また少し時代は下ってオランダ人フランソア・カロンは「日本大王国志」で
「日本人は子どもを注意深く、やさしく育てる。7歳から12歳の子どもたちは驚くほど賢明で温和で知識、言語、応対は老人のように成熟し、オランダではほとんど見られないほどである。・・・学校へ行く年齢に達すると徐々に読書を始めるが、強制ではなく、習字も楽しんで習う。常に名誉欲をもたせ、他に勝てるように励ます。」
日本の育児と教育が、辛抱と優しさをもって行われ、プライドを持たせることによって大きな効果を上げていたことが記されています。

小さいころから日本の子どもは、四書五経を教科書に素読していたのですから、それは、それは日本人の子どもは賢かったでしょう。

映画「ラストサムライ」の冒頭の語りの部分で、「彼ら(日本人)が命をかけて守ったもの、それは今や忘れられつつある言葉“名誉”」というくだりがあります。

本当に今の日本人に「忘れられつつある言葉」です。

日本人の「学び」におけるモチベーションの原点が「名誉」にあったのでしょう。士農工商という階級のなかで、さらに各地方で価値観が異なる日本人はそれぞれの土地と立場で「名誉」を持っていたのだと思います。

戦後、占領政策のもと、四書五経をベースにした教育勅語は軍国化教育の元凶として打ち捨てられ、「名誉」や「忠誠」、「愛国心」も教育勅語とともにタブーになりました。

軍国化教育の問題点は、明治維新の後、欧米列強の植民地政策の圧力の中で、日本は生き残るために富国強兵をしなければならず、その結果、無理やり中央集権国家として近代化されていくなかで、国民の教育の価値観の幅が狭まり、さらに日清、日露戦争での奇跡的な勝利のもと、その方向性に異を唱える者が少なくなり、国全体が軍国化していったのでした。

多様化された価値観の中でこそ「名誉」は教育のモチベーションになるのです。(「名誉」ということが今では死語ならば「誇りに思うこと」でいいです。)なぜなら統一された価値観のなかで、「名誉=誇りに思うこと」を得られるのは、一握りのエリートだけだからです。あとの9割は「落ちこぼれ」になってしまうのです。今の日本の教育がそれです。

だからこそ、今、江戸時代の教育を見直す時なのではないでしょうか。もちろん「武士」の「名誉=誇りに思うこと」はあります。しかし農民にも「名誉=誇りに思うこと」がありました。二宮尊徳や安藤昌益の書物にはそれがあふれています。商人の「名誉=誇りに思うこと」もありました。石田梅岩がその哲学を書きました。大工や絵師など職人の「名誉=誇りに思うこと」もありました。左甚五郎や葛飾北斎の作品にその「名誉=誇りに思うこと」が残っています。もちろん各地方にもさまざまな「名誉=誇りに思うこと」が残っていました。熊本の肥後もっこす、薩摩のぼっけもん、高知のいごっそう、青森の津軽じょっぱりなどなど。

武士の「誇り」と中央集権の強化、価値観の統一が戦前の軍国主義化を生んだのだから、その反対をすればよいと思います。様々な職業の「誇り」を見つけ、地方のよさを見つけ、価値観の多様化する教育を目指すべきではないでしょうか。

もはや日本は戦争という選択肢を捨てたので、中央集権を強化し、国力をあげて、国を守る時代ではありません。インターネットが普及した今日、価値観の多様化は急速に進んでいます。しかし教育現場では、価値観の多様化は進んでいません。

教育現場で、社会とのつながりを意識して教育すれば、自然と価値観は多様化すると思います。社会には様々な仕事があり、その仕事がいかに世の中に役立っており、そしてこの国はその長い歴史のなかでどのように作られてきて、そのなかで自分たちはどのような土地に生まれ、住んでいるのか。地方の歴史や文化の良さとあいまって指導すれば、江戸時代の教育の良さをよみがえらせることができます。

過去に戻ることはできません。今の進歩した教育現場に、失われた過去の価値観の多様性を戻すことで、現場で日々努力されている先生方の教育が、さらに実りあるものになると思います。

2008年06月19日

20年にわたる教育現場の問題点とITによる対策 3

前回までの内容からITを活用して次のことをご提案します。
まず生徒の学習のモチベーションはオーソドックスな黒板授業で形成されます。
電子黒板を利用して、ちょっと工夫してみましょう。生徒のモチベーションが大幅に向上します。
授業でマルチメディア教材を利用して、遅滞生徒にも理解させ、対戦モードで学習意欲を盛り上げ、ゲームモードや特訓モードを個別学習や宿題でやらせて、そのデータをもとに個別指導を行う。
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遅滞者の原因が、前の学年の勉強がわからなくなると、どんどん遅れをとる。だからいつでも、どの学年でも自由にe-Learningで学習できる環境をつくることが大切です。

また学習遅滞が進むと、文字を読むことも億劫になるほど活字離れが進む。そういう子どもには、その子の能力にあった問題を自動的に出題させて、その子の進み具合にあったカリキュラムにすることも重要です。
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また文字を読むのが苦手な子どもはまず、マルチメディアで学ばせて、文字ではなく、直接イメージで理解させるとスムーズに学習が好きになります。
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計算、漢字や英単語の記憶など単純な学習はゲーム学習などで、子どもたちが継続できるシステムを選んで学習させる。
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とにかく生徒たちに学習習慣を日々継続させ、少しでも実力を上げて自信をつけさせることが肝要です。たとえ子どもたちに疑似的にでも自分たちが努力すれば成長できる自信をつけさせれば、自然と学習にも意欲が出てきます。

個別型指導が遅滞生徒にも速進生徒にも有効であるのだから、生徒一人一人の学習履歴を見て指導するように心がける。
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生徒の成績向上の過程を明確化できれば、指導しやすい。

先生の仕事に費やす時間を、テスト作成、採点、成績管理から個別指導へと移行させる。会議をなるべく減らし、グループウエア上でできる会議は集まらなくてもすませる。

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(当社教員用グループウエア メイン画面 授業の進捗把握日誌)

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(生徒個別指導情報画面)

20年にわたる教育現場の問題点とITによる対策 2

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まず、1882年から2001年までの20年間で、3割も学力は落ちたこと。
世界で82年では学力1位でも2008年で18位まで落ちている。
そしてその原因は遅滞者つまり勉強のできない子どもの増加によること。
遅滞発生率は学年が高くなるほど増加する。


(速進者発生率は20年で変わらない)

そしてその原因の大きくは家庭にあること。


勉強のモチベーションは「現在が楽しい」より、将来役立つためであることが強い。それは年齢が高くなるほど強くなる。

将来学歴が必要と考えているのは大卒の家庭の子どもより非大卒の家庭の子どもが多い。にもかかわらず、非大卒の子どもは勉強へのモチベーションが低い。成績も無関心な子どもが多い。
家庭の格差がそのまま生徒の成績の格差にあらわれる。
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(父大卒、非大卒家庭の正答率と学習時間)

学校の教師の志向としては個別指導型教師のほうが生徒の成績を上げることができる。
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(正答率と教師の志向性の相関関係)

遅滞発生率も個別指導で抑えることができる。
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なおかつ21年以上のベテラン教師が、生徒の成績を上げることができる。10年から21年の中堅が、10年までの若い教師より、生徒の成績を上げることは難しい。若い教師は生徒に近い目線で、生徒に人気があり、ベテランは技術と親の目線で指導できるからではないか。
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生徒も指導法はやはり黒板、教科書中心の授業を最も望んでいる。(できる子もできない子も)しかし効果を上げる優秀な学校ではより積極的に宿題を出す。

できる子ほど自分の発表や調べ学習、自分たちで考えることに積極的であり、成績下位者ほど非積極的である。

勉強の成績を上げることは、現状では、ほとんど先生の人間性やカリスマ性、熱心さにのみ頼っていて、教師の指導法に技術的な積み重ねがない。
成績を効率的に上げる優秀校ほど、もちろん家庭学習の時間が長く、授業中もよく発言し、よく質問し、間違えた問題を復習し、調べ学習を積極的に行う。

20年にわたる教育現場の問題点とITによる対策 1

「学力の社会学」(2004年 岩波書店 苅谷剛彦 志水宏吉編)からの考察

20年にわたり、学力の低下、格差は3割に及びます。その間、OECDの世界の学力順位は、日本は1位から18位に落ちました。この原因は日本が世界2位の経済大国になり、少子化になり、次の目標がなくなったことが最大の要因でしょう。

さらにバブル崩壊以降国内産業は低迷し、最近復活してきたといっても、大企業の海外進出だけが、アジア圏の経済勃興にビジネスの恩恵を受けられ、地方や国内の中小企業は依然と厳しい経営が続いています。その中で個人の格差も開き、貧困家庭が急増し、子供たちはその影響を大きく受けているのが現状です。

そういう社会情勢のなかで、いかに子どもたちをやる気にさせ、学力を伸ばすことができるか、というテーマを、アンケートを通してこの本は示してくれています。その中身は下記のとおりです。


ポイント
1、個別志向教育・学習は、確実に生徒の成績を伸ばし、遅滞者を減らし、速進者を増加させる。
2、すべては黒板による授業が重要。オーソドックスな授業で生徒の学習姿勢をつくるべき。
3、将来のモチベーションだけでなく、現在の学習を面白くすることが大切。
4、教師は事務時間を減らし、個別指導の時間を増やすべきである。

それに対し、当社の学校向けシステム商品は
1、個別習熟度別学習教材の充実(ミラクルスクール、MSU、ドリルなど)
2、オーソドックスな授業で行う教材の充実(マルチメディア教材、対戦モードなど)
3、現在の学習を面白くする工夫がされている(ミラクルスクール、プレミアシリーズなど)
4、先生の仕事をサポートする、e-Learningと合体した教師用グループウエア(則天)

現状の教育現場の問題点
1、従来のカリキュラムに加え、ITを授業や指導に導入する先生の時間的余裕がない。生徒の問題や保護者への対応はこの20年でかなり増加している。
2、パソコン教室のパソコンは管理する先生以外使いにくい。もっと気軽にだれでもクラスで利用でjきるパソコンを増やしてほしい。
3、日本は教育への予算が極めて低い。GDPの3.5%であり、先進国の平均は5%。さらに予算はひも付きではないので、地震や犯罪が起きると、予算は建物や防災設備、防犯対策に流れる。(イギリスでは教育の情報化に毎年600億円位付くそうです。)
4、IT教材は地元業者にお金が流れず、市議会では予算が付きにくい。
5、各学校での校長先生の教育ソフト購入の決裁権がなく、現場の先生の個別のニーズには今の制度では、対応しづらい。(欧米では校長先生に決裁権があるそうです。)
6、先生方が、現場ではITの活用の必要性を強くは感じていない。(この20年の学力低下、学力格差は社会的問題であり、教育現場の問題ではない。)

この現状の教育現場の問題点は、国をあげてドラスティックに解決していくしか、方法はありません。たとえば私立ではすでにありますが、教育の情報化を専門とする先生をおくことなど、重要な課題だと思います。

2008年06月12日

教育の目的は、ただの一度でいいから子供の挫折を救うこと。

先週日曜日に起きた秋葉原事件は大変悲しい事件です。秋葉原を電車で通り過ぎるたびに、本当に胸が締め付けられます。

くしくも7年前の大阪池田市の付属小学校の事件も同じ日でした。

犯人は、子どものころは優等生で、高校時代に勉強に挫折し、内向的になり、大学に行かずに社会人になる。転職を繰り返し、派遣社員として働く。あるいは無職。自己愛が強く、きわめて自己中心的で、残酷なゲームソフトや漫画が好きで武器マニアだそうです。そして何よりも社会を恨んでいる。

凶悪事件や通り魔事件の犯人にこのようなプロフィールが多い。

残虐なゲームソフトに非がある、と人は言いますが、先日、出張の折、有名な漫画「課長島耕作」が社長になったことが話題になり、私も7年ぶりぐらいにマンガを買ったのですが、簡単に人を殺す漫画があり、とても不愉快になったのを思い出しました。

しかしそういうゲームメーカーや出版社やマスコミを責めても、いつまでたっても問題は解決しません。もともと男の子には戦士になるためのDNAが組み込まれているのです。そういうニーズは、たとえ暴力をテーマにしたゲームや漫画を発売禁止にしたところで、新しいバイオレンスエンターテイメントが出てくるだけです。もちろんないにこしたことはないですが。

この事件はいろいろ自問させます。なぜ犯人は学生時代の挫折から立ち直れなかったのか。 なぜ大学へ行かなくても成功する道はたくさんあることを知らないのか。日本はそれほど学歴社会でない。なぜ暴力のエネルギーを前向きなスポーツなどに使わなかったのか。なぜ自分だけが不幸だと思うのか。なぜ人から尽くされることや愛されることを考える前に、自分から役に立とうと考えないのか。

今の若者にとって,世の中に対する閉塞感が問題なのではないでしょうか。一度学校の勉強についていけなくなると、人生が大幅に狂ったように感じてしまう日本の閉塞感です。

学歴の問題でも、現実には、私のまわりのベンチャー企業の経営者で、あまり高学歴な人はいません。

そういう意味では、本当はそれほど日本は学歴社会ではないと思います。もちろん人脈、という点では東大法学部、早稲田、慶応は人脈で仕事をするうえで有利なのかもしれません。しかしたとえそういう大学を出ていなくても、経営者になれば、いろいろな会もありますし、人脈を人間力で築く人のほうがむしろ有効に人脈を生かしているでしょう。そもそも人脈はメリットがあるから人脈になるのであって、人の役に立つ能力があれば、いかなる出身だろうと、周囲に人脈はできるものです。

若い人は現在の自分を否定する人が多い。こんな成績でいいのか、こんな性格でいいのか、社会に入ってもこんな安月給で今を生きていていいのか、こんな会社で働いていいのか、自分はこのままでいいのか?などなど。

努力しても努力してもなかなか挫折以前の成績がとれない。それでも成功が見えてくるまで待たなければならない。成功のあかりが見えてくるまで、ひたむきな努力を続けながら待たなければならない。この「待つ」コツ、「待つ」感覚を若い時につけていただきたい。自分から逃げることは、成功を遠ざけます。

若いころは気持ちも不安定ですし、常に将来に不安を抱えて生きています。当然挫折や失敗もします。家庭内でも親や兄弟にいらいらすることも多いでしょう。

しかしいつの時代でも、どんな人でも何かを我慢し、何かをあきらめ、何かを待たなければならないのです。若い時分は我慢できない、あきらめきれない、待つことができないのです。それをできるようにすることを教えてもらい、訓練することも若いうちにはしなければならないと思います。

画一的な指導では、クラスを画一的な価値観でしばります。そうなると勉強のできる子以外落ちこぼれになります。そのままにしておくことは、社会に出て本当に必要な訓練を学ぶことができません。一つの集団のなかでも様々な価値観があり、その価値観のなかで自分の活かせる場所を探す。人生はそういう学習の連続だと思います。

「学力の社会学」のデータもそういうことを物語っているのかもしれません。

精神の鋭敏な中学時代や高校時代に挫折するのは当たり前です。しかしいったん授業のカリュキュラムから遅れると(そういう生徒を遅滞者といいます。)、まず文字を読んでも頭に入らなくなります。文字を読みなれている時はすぐ文字からイメージ化できるのですが、それができなくなるので、文字を読むのがまどろっこしくなるのです。

そういう時こそマルチメディアで学べれば、そのままイメージ化できます。苦痛なく何度かマルチメディア映像を見るだけで、直接理解することができるようになるのです。音声合成を利用して学ぶ方法もあります。学ぶためには五感をフルに活用をするのです。

一度遅滞が始まると、常に「落ちこぼれ」としての後ろめたさを感じ、前やった授業の復習をするだけでも、後ろめたく感じ、ましてや前の学年の教科書を開くことは、自分の妹や弟より馬鹿になったような気がして気が進みません。

そんなとき、いつでも前の学年をマルチメディアやゲーム感覚で学べる教材を利用できれば、そしてその利用を教師がチェックし、少しでも利用することを指導すれば、遅滞は防げると思います。

当社のゲーム学習はロボットを訓練させてロボリンピックで優勝させることです。少しでも成績が向上すると、主人公のロボットが銀メダルや金メダルを取れるのです。擬似的な成功体験を生徒にさせることで、モチベーションを維持させる仕組みです。

どんな手段でも、子どもたちに将来のことを説くより、今やっている学習をおもしろくさせ、少しずつ自信を持たせ、一度でも立ち直れれば、人生の上での大きな糧となります。

当社にはそういった教育ソフトが多々あります。恥ずかしながら、自分の挫折体験からこういうソフトが必要だと思ったのです。

先生方にお願いしたいのは、生徒に一回でも挫折から立ち直る自信や経験をさせてあげて欲しいということです。

それで秋葉原の悲劇を一つでも減らすことができるのです。