2019年12月20日

2020年度 傾向対策分析 社労士編

社労士 再頻度出題 傾向対策正答状況

当社のAI予想問題はどの程度マッチしたのでしょうか?
是非試験対策として有効な、過去問効率学習⇒傾向対策、再頻度出題問題をご利用ください。
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適用事業
「適用事業」は令和1年も、平成30年並みに、13回出題されました。
来年はこのペースでいけば、高頻度出題が予想されるでしょう。
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適用事業の出題回数 回数
平成18年度試験 択一式問題 6
平成19年度試験 選択式問題 10
平成19年度試験 択一式問題 8
平成20年度試験 択一式問題 7
平成21年度試験 選択式問題 10
平成21年度試験 択一式問題 10
平成22年度試験 選択式問題 5
平成22年度試験 択一式問題 9
平成23年度試験 選択式改題 2
平成23年度試験 選択式問題 5
平成23年度試験 択一式問題 12
平成24年度試験 選択式問題 5
平成24年度試験 択一式問題 7
平成25年度試験 選択式問題 5
平成25年度試験 択一式問題 7
平成26年度試験 選択式改題 10
平成26年度試験 選択式問題 10
平成26年度試験 択一式問題 12
平成27年度試験 択一式問題 14
平成28年度試験 択一式問題 11
平成29年度試験 選択肢問題 10
平成29年度試験 択一式問題 9
平成30年度試験 選択肢問題 5
平成30年度試験 択一式問題 13
令和01年度試験 択一式問題 13

令和2年の試験も労働基準法の「適用事業」に関する問題は、徹底的にマスターしましょう。

全体の出題構成をみると、
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厚生年金保険法、雇用保険法、国民年金法、健康保険法、労働者災害補償保険法が最も多く出題されます。
厚生年金保険法は報酬を重点的に、雇用保険法は、賃金を重点に。国民年金法は任意加入被保険者を重点に。健康保険法は保険料の徴収を重点に学習しましょう。

2019年02月11日

電験三種試験 傾向対策

電験三種試験の今年の傾向対策についてご報告します。


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出題回数 カテゴリー名
130 2 電力 6 送配電線路
101 4 法規 2 電気設備技術基準の解釈
99 4 法規 4 施設管理
91 1 理論 4 交流回路
75 1 理論 5 電子回路と半導体
75 1 理論 3 直流回路
66 3 機械 05 半導体機器
66 1 理論 1 静電気と電界
61 1 理論 6 電気計測及び電子計測
58 2 電力 5 送配電設備
55 4 法規 3 電気事業法・電気用品安全法
55 2 電力 2 汽力発電
54 4 法規 1 電気設備技術基準
51 3 機械 02 誘導機
50 3 機械 04 変圧器
50 3 機械 11 その他の問題
45 1 理論 2 電磁石と磁界
43 3 機械 03 同期機
42 3 機械 01 直流機
32 3 機械 06 自動制御
30 2 電力 8 電気材料
28 2 電力 4 その他の発電
27 2 電力 7 電力ケーブル
25 3 機械 07 電動機応用
25 2 電力 1 水力発電
24 3 機械 08 照明
22 3 機械 09 熱の問題
21 2 電力 3 原子力発電
18 3 機械 10 電気化学
1 4 法規 5 電気工事法

電力の送配電線路が130回で9%出題。法規の電気設備技術基準が101回、施設管理が99回、次いで理論の交流回路が91回でそれぞれ7%くらいの出題率。

もっとも出題シェアの高い、送配電では、昨年あ、極端に出題が少なかったが、
今年は例年並みの出題に戻りました。

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次に出題数の多い、法規電気設備でも、29年には少な目だった出題も、今回は5問に戻りました。
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法規の施設管理では、このところ、今回の出題数はかなり増加傾向になりました。来年も出題数は増加するとが予想されます。
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その点、理論の交流回路は、減少傾向にありますが、今年は、昨年よりは一問多かったです。

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理論電子は年々増加傾向にありますが、今年は1問しか出題されませんでした。

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2019年02月09日

行政書士試験 平成30年度試験 緊急傾向対策評価

昨年11月11日の行政書士試験の試験結果が先月30日に発表されました。

当社のメディアファイブプレミア6のAI傾向対策分析結果をご報告します。

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民法 16%
行政法 14%
憲法 13%
商法・会社法 7%
行政事件訴訟法 7%
地方自治法 7%
一般知識(文章理解) 5%
行政手続法 5%
一般知識(社会) 5%
行政不服審査法 4%
基礎法学 3%
一般知識(政治) 3%
一般知識(情報通信) 3%
一般知識(経済) 3%
国家賠償法 3%
一般知識(個人情報保護) 2%

これによると、民法16%、行政法14%、憲法13%、商法、会社法7%と、この4法律で50%の出題率を占めます。

まず民法のなかでは、まんべんなく様々な問題が出題されますが、特に、期間10%、契約9%、無効7%、取り消し6%、第三者6%、登記5%あたりが比較的多く出題されます。

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民法の中でも、期間、契約に関する問題は年々出題傾向が増加する方向です。

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つぎに頻度の高い行政法では、

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そのなかでもっとも出題頻度の高いのが機関です。

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憲法については

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憲法の中でも、最高裁判所に関する問題が数多く出題されます。

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第31回社会福祉試験 傾向対策速報

今回全150問の構成は下記です。

カテゴリー名
相談援助の理論と方法 21
現代社会と福祉 11
高齢者に対する支援と介護保険制度 10
地域福祉の理論と方法 9
人体の構造と機能及び疾病 8
保健医療サービス 8
社会調査の基礎 8
社会理論と社会システム 7
福祉行財政と福祉計画 7
社会保障 7
低所得者に対する支援と生活保護制度 7
福祉サービスの組織と経営 7
障害者に対する支援と障害者自立支援制度 7
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度 7
心理学理論と心理的支援 6
相談援助の基盤と専門職 6
権利擁護と成年後見制度 6
就労支援サービス 4
更生保護制度 4
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現代社会と福祉、 人体の構造と機能及び疾病、保健医療サービスが1問増加し、地域福祉の理論と方法が1問減少してます。

今年の目だった出題は、 相談援助の理論と方法のソーシャルワーカーの出題が昨年の倍に増えていることです。

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このジャンルでは、逆に、支援、対象、援助の項目で、減少傾向にあります。

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また、 「現代社会と福祉」では高齢者に関する項目が大幅に減少しています。

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このような大きな傾向対策の変化を把握しながら来年に望みましょう!

2016年10月24日

3 大量に読み、聴き、解く

記憶は、脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられます。

ここが記憶の保管場所です。

そして、この側頭連合野では、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚といった五感や、感情面の機能が統合されています。

この連合野には、身体のいろいろな機能から働きかけたほうが記憶が定着しやすいという特徴があります。

耳で聴く、目で見る、音読する、手を使って書くなど、さまざまな手段で働きかけたほうが、記憶を定
着させることができるのです。

そうすることで、側頭葉から海馬にたくさんの信号が送られるのです。

耳・目、手など複数の手段で働きかけると、海馬を活性化し、記憶が定着しやすくなります。

その情報信号つまり総合情報は海馬を一回りして、記憶すべきものは再び側頭葉へ戻されます。

海馬に記憶されている情報のうち、何度も反復して脳にアクセスされたものは「重要である」と判断されます。

だから、記憶するためには五感を使って、大量に情報を送り込むことが大事なのです。

情報量が膨大な現代社会においては、試験に合格するためには、脳を並列な状態にして、できるだけ大量の情報を五感で送り込む暗記の訓練が必要なのです。

暗記の訓練によって、脳内の神経細胞の数はどんどん増加します。

そして暗記が進むと、知識があとからついてくるような現象も起こってくるのです。

それは、情報が神経細胞でどんどんつながるからなのです。

●脳を並列状態にし、大量の情報を五感で受け入れるという訓練が必要
●暗記の訓練によって、脳内のニューロンの数がどんどん増加する
●暗記が進むにつれ、知識があとからついてくる現象が起こる

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2 記憶力はどんどん良くなる

脳の構造や神経細胞の並び方に個人差はありません。

かつては、「神経細胞には増殖能力がない」といわれてきました。

生まれたときにいちばん脳の神経細胞の数が多く、使わないでいるとどんどん失われていくと考えられてきました。

つまり脳の中で神経細胞のリストラが行われていると考えられていたのです。

しかし、最近の研究によって、それは間違いであることがわかってきました。

「海馬」など限られた脳の部位では神経細胞が増殖することがわかってきたのです。

「海馬」は記憶を頼りに、あれこれ考えるときに使われます。

頭をたくさん使って鍛えれば、この「海馬」の神経細胞は増殖するのです。

1997年のネイチャー誌に、米国の生物学者ゲイジによってこれを裏づける実験結果が発表されました。
【MRI実験】
ゲイジは2つの飼育箱を用意し、ネズミを飼育しました。一方の飼育箱には、遊び
道具をたくさん入れ刺激のある環境を作り、もう一方の飼育箱には、何も遊び道具を
入れずにネズミを育てました。こうして育てた2匹のネズミの脳を比べてみたら、遊
び道具のある飼育箱で育てたネズミのほうが、海馬の神経細胞の数が15%も多く、さ
らに詳しく調べると、神経細胞の増殖能力が2倍以上にまで上昇していることがわか
りました。神経細胞は、鍛えられると活性化するという証拠です。(『記憶力を強くす
る』池谷裕二著より)

*脳の神経細胞
神経細胞(ニューロン)は、脳の機能を直接になっている細胞で、木の枝のよう
にたくさんの突起(樹状突起=情報を受け取る突起)のある細胞体があり、そこ
から長い線維(軸索=情報を送り出す)が伸びています。大脳ではこの神経細胞
が約140億個あるといわれています。そして、それらがつながっていてネット
ワークが形成されています。神経細胞は電気を発生して情報を伝えます。

*海馬
脳の中で記憶を扱っている部位。脳の奥の大切なところにあり、直径は1センチ、
長さ4〜5センチほどの大きさ(小指ぐらい)、脳に入ってきた情報は、一度この海馬に送り込まれる。
●脳の構造に個人差はない
●海馬の神経細胞は、使えば使うほど増殖する

第1章 合格するにはコツがある―徹底的に記憶する

試験で試されるのは記憶力である!

世の中にはたくさんの試験があります。入学試験、資格試験、検定試験、学校の定
期試験などなど…。試験の結果が悪いと、落ち込んでしまいます。才能がないのかな
あなどと思ってしまいます。

試験勉強には4つの特徴があります。

①問題が与えられている
②正解がある
③出題範囲が決まっている
④制限時間内に解く

この4つをクリアするためには、覚えれば良いのです。記憶力が結果を大きく左右します。

試験勉強は、あまり才能がなくても可能です。

自分で解法を見つけて解くことには、あまり重点が置かれていないのです。

ゲームやクイズと根本的なところが似ています。

試験で試されるのは、思考力ではありません。

ましてや、人柄でもセンスでもありません。

記憶力なのです。

ニュートンやアインシュタインは、学校の成績があまり良くなかったそうです。優秀な人間=受験秀才ではないのです。

●頭が悪いから、試験に落ちるのではない
●試験はゲームだ!クイズだ!
●試験で試されるのは、記憶力

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2008年06月21日

「江戸の教育力」を読んで 3

吉宗の改革で注目すべきは、学問を庶民まで浸透させたことです。しかも官や藩が主導するだけでなく、7万にも上る寺子屋(幕末では)はまさに民の自発的な学問所でした。士農工商それぞれの学問があり、地方でもばらばらに行われており、価値観が多様化し、しかも直接社会と結び付いた教育が行われていたのです。

いつでもどこでも気軽に「学ぶ」場所があり、明治になるまで、日本人は庶民の隅々まで「学び」を楽しんでいたのです。

現在、米国で教育における慈善事業としてジョージ・ルーカスがやろうとしているのは、
1.子どもたちに、プロジェクトを立て、それに沿って実行する能力をつけさせる。
2.組織やチームでコラボレーションする能力を身につけさせる。
3.学校で学ぶ理由、社会のなかでどのようにその学問が役立つかを認識させる。
4.学校現場の先生にどうしたら教育のイノベーションをしていただけるか。
5.家族や友達との関係を学ぶ。
です。

この5つを江戸時代の教育はすでに実践しています。
1、儒学でいう「知行合一」はまさにこのことです。
2、庶民における5人組、武士における「お家」はすべて組織で行動するためのシステムです。
3、家と仕事と地域と寺子屋が一体となった仕組みは、まさに社会と学問が自然と結び付いています。
4、「過ちてはすなわち改めるに憚ることなかれ」「君子豹変」「知者は水を楽しむ」「知者は動く」「君子の過ちは日食月食」で、いかに過ちを改善するか、こそ教師のもっとも手本とするところです。
5、寺子屋は、儒学を通して親や友人との関係を説いている。

このように江戸時代の教育は、現代からみると、少人数制にしろ、人間教育にしろ、社会への直結にしろ、社会や人との関わり、国家観にいたるまでかなり理想的な教育が施されていたようです。

「いつでも、どこでも、気軽に、楽しく、そして誇りをもって」学ぶ知恵が江戸時代の教育にあったようです。

「江戸の教育力」を読んで 2

秀吉の刀狩り、太閤検地により、兵農分離が進みました。それを引き継いだ家康の時代、武士は城下町で官僚化し、農村では庄屋や組頭が選ばれ、自治や自律が進みました。そして年貢などの統治に関することは文書により、やりとりされました。その結果、農村でも急速に文字文化が発達しました。

たとえば元禄時代以前、幕府は農村に五人組を対象とする法令を制定するなかで、村内に田畑を持たなくても、読み書きや算術を教えるものは、代官に報告し、村中で援助するように指示しているそうです。

子どもたちは、7,8歳になると手習所に通わせ、最終的には「小学」「四書」「五経」など儒学を習わせていました。

元禄時代、武士、庶民とも教育への理解が高まり、「現実性、合理性、人間性の尊重」が特徴の文化でした。この時代、都市では三井、鴻池、住友など庶民を相手にする新しいタイプの商人が活発化し、農村でも生産力が増大し、農民の生活水準は向上しました。

その背景に商人や農民のための教科書が執筆され、「商売往来」「百姓伝記」「会津農書」「農業全書」など多くの経営の書物が刊行されました。

政治的には文治主義が主導でした。これは武力ではなく、儒学の普及、浸透によって社会の安定をめざす政治でした。

徳川家康から4代家綱まで歴代将軍の侍講を務めた朱子学者林羅山は上野に家塾を設立しました。5代将軍綱吉はこの塾を湯島に移し湯島聖堂をつくりました。林羅山の孫、信篤は大学頭に任命されこの学問所を統括しました。

諸藩でも学問所の設立は盛んに行われ、会津藩主保科正之は山崎闇斎に学び、水戸藩主徳川光圀は江戸小石川藩邸に彰考館を設けて大日本史を編纂しました。

このように各地に藩校が設立され、幕末までに276校あったそうです。また幕府や藩は庶民教育のために郷学も設立しました。

8代将軍徳川吉宗は江戸前期の高度成長の行き詰まりの停滞期に将軍に就任し、享保改革を行いました。そのなかで、教育改革も断行しました。


享保改革は、幕府財政を再建し、国民生活の維持安定のために「大きな政府」「強い政府」による国家再建を行いました。

そのために1、徹底した法の整備、2、下層官僚でも幹部に登用できるよう、官僚機構の改編、3、公文書システムの確立を行いました。

吉宗は教育改革にも力を入れ、儒学を基礎とする国民教育を振興することにより、社会を安定させました。従来の幕府の教育方針は武士が儒学を修め、徳のある政治を行い、社会を安定させようとしたのに対し、国民全体に儒学の振興普及を図ったのです。

幕府主催の儒学の講義を庶民にも開放しました。湯島聖堂は偶数の日は直参、旗本などが学び、奇数の日は庶民に開放しました。しかしもっと気軽に学問ができるように郷学、寺子屋、といった小さい私塾を全国に普及させていきました。

その結果、明治の初めには75000の寺子屋と6500の私塾ができたそうです。今日の全国の小中学校が33870校であることを考えれば、学問する場所が実に庶民の身近にあったのがわかります。

このようなことから、日本全国の平均識字率は80%を優に越え、識字率という点においては、世界最高の文化国家であったことがうかがわれます。

「江戸の教育力」を読んで 1

江戸の教育力(大石学 東京学芸大学出版会 2007年3月30日)を読みました。大石氏は学芸大学の教授で、江戸時代の専門家です。大河ドラマ「新撰組!」などの時代考証もされています。

この本はまず戦国時代のルイス・フロイスなど外国人の目から見た日本の教育について紹介し、そのあと江戸時代前期、吉宗の改革を境に中期、そして後期という時代の流れに沿って教育の変遷をわかりやすく紹介しています。

まず戦国時代の幕を閉じたのは、秀吉で、彼は卓越した戦争術で天下統一したのではなく、各地方の領主に、「戦争をやめれば、領土を安堵する」、という「平和の拡大」という条件を出して、日本全国から戦争をなくしたのだそうです。

この史実は実に示唆に富んでいます。今日、世界中で金融資本が跋扈し、バイオエネルギーに金が集まるせいで、アフリカなどの後進国で餓死者が出る、といったとんでもない現状を、秀吉みたいなリーダーが出現して、正常な社会に戻してほしいです。

話を元に戻すと、先に述べたフロイスは1585年島原で書いた「日本覚書」のなかで、下記のようなことを記述しています。

「日本女性の多くが文字を書くこと、教育において体罰は行わないこと、日本の子どもは10歳でも50歳と同じくらいの判断力と賢明さ、思慮分別を備えている。」

また同時期に来日した宣教師ヴァリニャーロは「日本巡察記」で
「日本国民は優秀で、子どもたちも良く学問し、規律を守り、外国語を短期間で習得する能力を持っている。下層民も優れ、上品で仕事熱心である。また日本人は穏やかで、子どもたちは下品な言葉を使わず、暴力を振るわない。さらには大人のような理性と落ち着きをもっている。服装、食事、仕事などは清潔で美しく、すべての日本人が同一の学校で教育を受けたようである。」と記している。

また少し時代は下ってオランダ人フランソア・カロンは「日本大王国志」で
「日本人は子どもを注意深く、やさしく育てる。7歳から12歳の子どもたちは驚くほど賢明で温和で知識、言語、応対は老人のように成熟し、オランダではほとんど見られないほどである。・・・学校へ行く年齢に達すると徐々に読書を始めるが、強制ではなく、習字も楽しんで習う。常に名誉欲をもたせ、他に勝てるように励ます。」
日本の育児と教育が、辛抱と優しさをもって行われ、プライドを持たせることによって大きな効果を上げていたことが記されています。

小さいころから日本の子どもは、四書五経を教科書に素読していたのですから、それは、それは日本人の子どもは賢かったでしょう。

映画「ラストサムライ」の冒頭の語りの部分で、「彼ら(日本人)が命をかけて守ったもの、それは今や忘れられつつある言葉“名誉”」というくだりがあります。

本当に今の日本人に「忘れられつつある言葉」です。

日本人の「学び」におけるモチベーションの原点が「名誉」にあったのでしょう。士農工商という階級のなかで、さらに各地方で価値観が異なる日本人はそれぞれの土地と立場で「名誉」を持っていたのだと思います。

戦後、占領政策のもと、四書五経をベースにした教育勅語は軍国化教育の元凶として打ち捨てられ、「名誉」や「忠誠」、「愛国心」も教育勅語とともにタブーになりました。

軍国化教育の問題点は、明治維新の後、欧米列強の植民地政策の圧力の中で、日本は生き残るために富国強兵をしなければならず、その結果、無理やり中央集権国家として近代化されていくなかで、国民の教育の価値観の幅が狭まり、さらに日清、日露戦争での奇跡的な勝利のもと、その方向性に異を唱える者が少なくなり、国全体が軍国化していったのでした。

多様化された価値観の中でこそ「名誉」は教育のモチベーションになるのです。(「名誉」ということが今では死語ならば「誇りに思うこと」でいいです。)なぜなら統一された価値観のなかで、「名誉=誇りに思うこと」を得られるのは、一握りのエリートだけだからです。あとの9割は「落ちこぼれ」になってしまうのです。今の日本の教育がそれです。

だからこそ、今、江戸時代の教育を見直す時なのではないでしょうか。もちろん「武士」の「名誉=誇りに思うこと」はあります。しかし農民にも「名誉=誇りに思うこと」がありました。二宮尊徳や安藤昌益の書物にはそれがあふれています。商人の「名誉=誇りに思うこと」もありました。石田梅岩がその哲学を書きました。大工や絵師など職人の「名誉=誇りに思うこと」もありました。左甚五郎や葛飾北斎の作品にその「名誉=誇りに思うこと」が残っています。もちろん各地方にもさまざまな「名誉=誇りに思うこと」が残っていました。熊本の肥後もっこす、薩摩のぼっけもん、高知のいごっそう、青森の津軽じょっぱりなどなど。

武士の「誇り」と中央集権の強化、価値観の統一が戦前の軍国主義化を生んだのだから、その反対をすればよいと思います。様々な職業の「誇り」を見つけ、地方のよさを見つけ、価値観の多様化する教育を目指すべきではないでしょうか。

もはや日本は戦争という選択肢を捨てたので、中央集権を強化し、国力をあげて、国を守る時代ではありません。インターネットが普及した今日、価値観の多様化は急速に進んでいます。しかし教育現場では、価値観の多様化は進んでいません。

教育現場で、社会とのつながりを意識して教育すれば、自然と価値観は多様化すると思います。社会には様々な仕事があり、その仕事がいかに世の中に役立っており、そしてこの国はその長い歴史のなかでどのように作られてきて、そのなかで自分たちはどのような土地に生まれ、住んでいるのか。地方の歴史や文化の良さとあいまって指導すれば、江戸時代の教育の良さをよみがえらせることができます。

過去に戻ることはできません。今の進歩した教育現場に、失われた過去の価値観の多様性を戻すことで、現場で日々努力されている先生方の教育が、さらに実りあるものになると思います。