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「江戸の教育力」を読んで 3

吉宗の改革で注目すべきは、学問を庶民まで浸透させたことです。しかも官や藩が主導するだけでなく、7万にも上る寺子屋(幕末では)はまさに民の自発的な学問所でした。士農工商それぞれの学問があり、地方でもばらばらに行われており、価値観が多様化し、しかも直接社会と結び付いた教育が行われていたのです。

いつでもどこでも気軽に「学ぶ」場所があり、明治になるまで、日本人は庶民の隅々まで「学び」を楽しんでいたのです。

現在、米国で教育における慈善事業としてジョージ・ルーカスがやろうとしているのは、
1.子どもたちに、プロジェクトを立て、それに沿って実行する能力をつけさせる。
2.組織やチームでコラボレーションする能力を身につけさせる。
3.学校で学ぶ理由、社会のなかでどのようにその学問が役立つかを認識させる。
4.学校現場の先生にどうしたら教育のイノベーションをしていただけるか。
5.家族や友達との関係を学ぶ。
です。

この5つを江戸時代の教育はすでに実践しています。
1、儒学でいう「知行合一」はまさにこのことです。
2、庶民における5人組、武士における「お家」はすべて組織で行動するためのシステムです。
3、家と仕事と地域と寺子屋が一体となった仕組みは、まさに社会と学問が自然と結び付いています。
4、「過ちてはすなわち改めるに憚ることなかれ」「君子豹変」「知者は水を楽しむ」「知者は動く」「君子の過ちは日食月食」で、いかに過ちを改善するか、こそ教師のもっとも手本とするところです。
5、寺子屋は、儒学を通して親や友人との関係を説いている。

このように江戸時代の教育は、現代からみると、少人数制にしろ、人間教育にしろ、社会への直結にしろ、社会や人との関わり、国家観にいたるまでかなり理想的な教育が施されていたようです。

「いつでも、どこでも、気軽に、楽しく、そして誇りをもって」学ぶ知恵が江戸時代の教育にあったようです。

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2008年06月21日 16:00に投稿されたエントリーのページです。

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