2008年09月04日

書籍ではできない学習方法が可能なパソコン五感学習

速耳学習で脳を刺激する。
 Media5 Premierシリーズには「速耳学習」という音声聴取り訓練法の機能があります。速耳訓練は、脳を深い部分から活性化させ、記憶力・集中力を飛躍的に高める学習法です。このソフト搭載の「音声読み上げエンジン」は、もともと医療・福祉用に開発されたシステムです。視力より聴力が優れている人は、3倍速でも普通に聴き取れる驚異的な解析力が備わっているといわれています。速耳訓練により眠っている潜在能力を開発すれば、学習能力が飛躍的に高まります。
 最新の研究によれば、人類の祖先である哺乳類の進化の過程でも聴覚が極めて重要な働きをしたといわれ、母親の胎内では赤ちゃんが音に敏感に反応することもよく知られています。脳の深い部分・深層心理の領域では、聴覚が非常に大切な役割を果たしているのです。この潜在能力を覚醒させ、脳の情報収集能力を強化してください。記憶力は様々な働きかけによって強化されるのです。
 速耳学習では、教科書の内容を音声で聞きます。再生スピードは基本レベルから仙人レベルまで自分の好きなスピードに設定できます。慣れてきたらスピードをどんどん上げてください。

速読学習でさらに記憶力を高める。
 脳は五感に様々な刺激を与えることで活性化します。Media5 Premierシリーズには眼をフルに使って脳に刺激を与える「速読学習」という機能があります。速読の能力は訓練によって格段にアップします。速く読めるようになれば学習のスピードはアップします。そうすれば同じ時間を何倍もに使うことができます。繰り返す回数を増やすことができるのです。繰り返す回数が増えれば、「海馬」に働きかけ、より記憶力が高まります。また速読は集中力も飛躍的に高めます。
 Media5 Premierシリーズの「速読学習」では、速読の訓練を自分に合ったレベルを選択して学習できます。速読コントローラーでレベル計測を選び、「START」ボタンをクリックします。文章を読み終える制限時間も表示されるので、タイムプレッシャーを感じて学習できます。慣れてきたら少しずつレベルを上げて訓練してください。スピードをどんどん上げていくことにより、眼の動きはどんどん速くなり、情報をどんどん取り込んでいけるようになります。画面が動くこのパソコンならではの速読訓練は学習ソフトでなければできない学習法です。
 膨大な情報が氾濫している時代です。そんな時代に速読は求められているスキルの一つでもあります。読む速度を速くしたいというのは、時代が求めている能力なのです。    、

 ゲーム感覚で頑張らないで覚える。
勉強しなくてはと頑張っていても、ずっと頑張り続けられる人はいません。息抜きも必要です。ちょっとした時間で息抜きをするには、ゲームがぴったりです。難関校を中学受験する子どもは、なかなか遊ぶ時間が取れないので、ゲームをして息抜きするそうです。子どもでなくても、ゲーム世代の大人も、根を詰めすぎたなあと思ったとき、ゲームで息抜きする人は多いのではないでしょうか。Media5 Premierシリーズでは、ゲーム感覚の学習で脳に新鮮な刺激を与えて学習できる「ゲーム学習」の機能があります。
 「ゲーム学習」モードでは「ロボリンピック」と「脳トレーニング」で楽しく記憶力を高めます。
 
①ロボリンピック(ロボット育成型ゲーム)
 このゲームモードでは、主人公のロボットがロボリンピックで金メダルを取ることを目標に、12日間のトレーニングをします。トレーニングのスケジュールは、あなたに任せられています。金メダルを取れるかはあなたの手にかかっているのです。
ロボットはエントリー競技を選択します。そして単語帳のデータから問題が出題され、1クリックで選びます。正解するとどんどんロボットの能力が上がっていきます。そしてロボリンピックが開催されます。
②脳トレーニング(脳トレ感覚のゲーム)
 5種類のトレーニング法を活用して、集中力と記憶力を交互に鍛錬し、「勉強脳」を育てます。聴き取りと文字の読み取り訓練は、集中力を高め、記憶力を深めます。単語帳のデータからキーワードが出題されます。脳に刺激を与えながら、「試験」のために覚えたい単語を脳へ直送します。

 暗記はなかなか難しいものです。一つ一つ暗記するより、単語と出会う回数を増やすことが大切です。「間違えた」「あれなんだっけ」と思う回数が多いほど覚えるものです。難しいことから入って、むやみに間違いを繰り返して落ち込むより、簡単な選択肢を正解しながら繰り返すほうが、プラス思考が働いて自然に身に付くものです。繰り返し学習にゲーム感覚を取り入れてください。「ゲーム学習」のモードでは気分転換しながら、重要な単語を覚えることができます。

自分の学習したいところだけのデータをまとめる。
 Media5 Premierシリーズの「編集モード」は教科書・単語帳・問題集の3つの教材を自由に編集できるモードです。文字を追加したり削除したりして自分用の教科書・単語帳・問題集を作ってください。それらはすべて、元のデータと同じ機能で使えます。それ以外にも自分で取り込みたいデータを新規作成することもできます。デジカメやスキャナで取り込んだ画像やマイクから取り込んだ音声や音楽もリンクできます。
 
 「編集モード」はオリジナルの教材を作れるモードです。インターネットの情報も取り込めます。自分なりのまとめのノートを作ってください。また単語帳をエクセルデータで作ってトレーニングモードの「単語帳」で学習することもできます。音声付きのノートや単語帳が簡単に作れるのです。それらをスキマ時間にうまく活用し繰り返し聞けば、どんどん頭に入っていきます。

従来の勉強VS. パソコン学習、さてどちらが合格する勉強法?

それでは「従来の勉強法」と、パソコンの学習ソフト(Media5 Premierシリーズ)を使った「パソコン五感学習法」。どこがどのように違うのでしょうか。「試験勉強」をするときにぶつかる様々な課題について具体的に比べてみます。あなたはどちらが効率的だと考えますか?

課題1 学習の初め、必要な知識の全容をつかむ。
従来の勉強法
 テキストと問題集を購入します。内容は断片的にしかわかりませんが、とにかくテキストを読むことから始めます。でも資格試験のテキストは小説のようにどんどん進みません。理解するためにノートを作ります。しかし作業には膨大な時間がかかります。たいていの人はここで、挫折してしまいます。
パソコン五感学習法
 資格試験にしても入学試験にしても最初は、その出題範囲の幅広さに圧倒されます。どこから始めたらよいのか途方に暮れてしまいます。「パソコン五感学習法」ではまず「学習ナビモード」でカテゴリーごとに整理された問題を解きます。正しいと思う選択肢を1クリックで選択する選択問題とキーボードで解答を入力する選択問題があります。解答すると、すぐに正誤判定を行います。そして、解答ウインドウが開き解説が表示されます。カテゴリーごとに学習結果が表示されます。不正解だった問題を再度重点的に学習することも可能です。パソコンを速い応答性でどんどん先に進むことができます。初めはわからない問題も多いと思いますが、コンパクトにまとめられた解説をさっと読んで、どんどん先に進んでください。そして繰り返してください。そうしているうちに問題と解説を覚えてしまいます。
 
課題2 学習したいところを重点的にやりたい。
従来の勉強法
 テキストや問題集の中から、自分で項目や重要事項を選んで、読んだり解いたりします。マーカーで印をつけたり、要点をノートにまとめたり、単語帳を作って繰り返して覚えます。そして、本やノートを持ち歩いてスキマ時間も勉強します。
パソコン五感学習法
 「トレーニングモード」に収録されている教科書・単語帳・問題集から学習したいところをクリックして選びます。自動読み上げを使った閲覧学習、出題機能を使った繰り返し学習、印刷機能を使ったプリント学習などの方法から好きな手法を選びます。定着させたいところは印刷したり、テキストを携帯に転送してスキマ時間で学習します。MP3の音声データにしてiPodに入れてそれを聞きます。耳から聞く方法は、混んだ電車の中や道を歩いている時も無理なく、時間を有効に使えます。

課題3 苦手なところを探したい。
従来の勉強法
 問題集を繰り返して、自分のわからないところを探します。間違えた問題は何回も解きます。繰り返し解いていくうちに解説も一緒に頭に入ります。
パソコン五感学習法
答え合わせは1クリックで終わります。Media5 Premierは学習履歴が残るので、苦手な項目はすぐに発見できます。また「弱点克服モード」を使えば、学習した問題の正答率ごとに再出題できるので、正答率の低い問題が苦手なところです。そこを重点的に取り組めば、繰り返し学習効果で弱点を克服できます。

課題4 過去問を極めたい。
従来の勉強法
 とにかく過去問の問題集を繰り返し学習するしかありません。
パソコン五感学習法
 「実戦・模擬テストモード」はまるで本当のテストを受けているかのように過去問を学習することができるモードです。答え合わせの手間もありません。採点は1クリックで一瞬で終わります。そして正答率により合否判定も行われます。制限時間も設けられているので、タイムプレッシャーを感じながら学習できます。実戦と同じ形式なので、問題を解くペースを体で覚えられます。

課題5 試験によく出る問題を集中的に学習したい。
従来の勉強法
 情報を集めて自分でテキストや問題集を探します。学校に通っているのなら先生に聞いたり、同じ資格の勉強をしている友達に聞いたり、インターネットで調べたりして、使えそうなものを手に入れます。そして、その問題ごとに書いてある「重要度」に関する表示を参考にしてよく出る問題を集中的に解きます。
パソコン五感学習法
 Media5 Premierシリーズでは、参考書や問題集がデータ化されています。従来の参考書や問題集では、出題分野の分析や「重要度」のランク付けなどが書かれていても、過去問から関連するカテゴリーの問題を探しだすのが大変でした。膨大なデータを扱うことが可能なパソコンでは、過去の試験問題や模擬問題をカテゴリーごとに整理し、抽出することが可能です。「傾向と対策モード」では、出題頻度がカテゴリーごとにわかるので、1クリックでそれを選択し、出題頻度の多い問題を集中的に学習できます。出題頻度の高いカテゴリーは試験に合格するために必要な知識の集まりです。最重要視してください。

どんな学習ソフトが「勉強脳」を作れるのか?

ツールとしての、学習ソフトは学習に大きな変化をもたらします。書籍には不可能な速さで繰り返し学習をすることが可能です。これまでいろいろと効果的な勉強法について研究し、考えてきました。そしてどのような学習ソフトがそれを達成できるのか追及してきました。
効率を上げる学習ソフトの条件は、次の5つです。
① 操作が簡単である。
② 試験に合格するのに必要な情報が入っている。
③ 過去問や模擬問題が入っている。
④ 様々な工夫がある。
⑤ 自分の履歴やスケジュールの管理ができる。
 
 そしてできたのがMedia5 Premierシリーズです。非常に操作を簡単にし、初心者でも簡単に使えるように作られた多機能ソフトです。教材の基本は教科書・単語帳・問題集です。これを様々なモードで学習できます。その他学習を手助けする機能がいくつかあります。
 耳・眼・指を使って学習できます。耳から入った情報で側頭葉が働きます。話の内容を思い浮かべると後頭葉も働きます。眼から入った情報は視覚野から下側頭回に送られ文字の形の情報処理が行われ、これと並行して頭頂葉の下頭頂小葉に送られ、意味の理解が行われます。指によるタッチタイピングによる刺激は感覚野を興奮させます。また、キーボードをタイプすることは、指をコントロールする運動野を活性化させます。これらの機能+繰り返し学習による効果で脳に様々な刺激を与えます。そして刺激は「勉強脳」を作ります。Media5 Premierシリーズを使う学習は、五感を刺激して「勉強脳」を作る「パソコン五感学習法」です。

・使える学習ソフトとは
・Media5 Premierシリーズは初心者でも簡単に使える。
・多機能なソフトである。
・脳を刺激して覚えさせるソフトである。
・教材の基本は、教科書・単語帳・問題集である。

学習ソフトで「勉強脳」を作ろう。

ビジネスと試験勉強には共通点がある。
 勉強をしていると、一日があと2~3時間長かったらと思いませんか?しかし、一日24時間を変えることはできません。だから限られた時間を効率的に使うしかありません。ビジネスの効率はパソコンによって非常に上がりました。パソコンを使うことによって一人の人間の行える業務は1.5倍ぐらいになったのではないでしょうか。交渉ごと、企画の発想、経営プランなどは、アナログな手法でなければできません。しかし、デジタルな手法をそこに絡めることによって、相乗効果で無駄を省くというイノベーション(技術革新)が行われたからです。無駄な時間を徹底的に省くためには、パソコンは使えるツールなのです。
 しかし、教育や勉強も現場ではパソコンはまだまたうまく使われていないと思います。特に時間との戦いになる「試験勉強」にはパソコンをもっと活用するべきではないでしょうか。「試験勉強」というのは「学問」ではありません。限られた時間内で最大限の成果を得るために行うという点で、「ビジネス」と共通点があります。
 
効率を上げるためにソフトを活用する。
 会社ではその効率を上げるために「Word」とか「Excel」とか「Outlook」というソフトを使います。そしてデータを扱うことによって、業務の効率を上げます。確実に人に「情報」を伝えたり、必要な「情報」を処理することに使うのです。
「勉強」も、ソフトを使うともっとうまく使うと「成果」が出せるのではないでしょうか。ビジネスの風景は変わりましたが、「勉強」の風景はまだあまり変わっていません。それは昭和の時代からずっと同じ風景です。でも現代人は大人も子どもも忙しいのです。やりたいことがたくさんあります。うまく「時間」を使いこなせた人が、楽しく生きていけるのです。時代が変化したのですから、手法も変化しなければついていけないのです。
 「勉強」の効率をアップするために、もっと学習ソフトを使えるのではないでしょうか。
今少しずつ教育の現場や独学に、学習ソフトが使われはじめています。「勉強のイノベーション」はすぐそこまで来ています。「勉強」の風景がガラッと変わるのも近いと思われます。

学習ソフトを活用して「勉強脳」を作ろう。
 マイクロソフト・オフィスの「Word」や「Excel」は事務を効率よく行うためのビジネスツールです。学習ソフトは「勉強」を効率よく行うための学習ツールです。その速い応答性は時間を無駄にしません。
 勉強のスキマをなくすことが、特に短期決戦が必要な「試験勉強」には最も大切なことです。時間のスキマ、知識のスキマをいかに少なくすることができるかが、成否を分けます。
 電車の中やちょっとした待ち時間で、ケータイをいじっている人をよく見かけます。何をやっているのかと思えば、ゲームをやっている人が以外と多いのです。「ゲーム」が好きなのは子どもだけではありません。ゲームソフトによって、ちょっとした時間を「娯楽」に使えるからなのです。もともと人間はスキマを埋めたいという欲求があるのではないでしょうか。
 インターネットの検索もスキマを埋めたいという欲求を満たしてくれます。こちらは知識のスキマです。

 「試験勉強」はやる気を維持することが非常に重要です。これに成功すれば、9割がた「合格」できるのではないでしょうか。学習ソフトとゲームソフトは速い応答性が、共通しています。この速い応答性は人間の集中力とやる気を刺激するのではないでしょうか。ゲームだけに集中し熱中する「ゲーム脳」はかつて批判の的になりました。しかし、ソフトが生み出す集中力とやる気は「試験勉強」に活かせるのではないでしょうか。「ゲームソフト」と同じ速い応答性は、スキマ時間を活用するのにもうってつけです。はっきりいって「学習ソフト」だけでは「合格」は難しい。先生や友人から教わること、本からの知識、資格試験ならば社会経験等いろいろな方面からの知識が必要なのです。しかしこのソフトの利点を活かし最強のツールとして活かせば、勉強に熱中できる「勉強脳」を作ることが可能なのではないでしょうか。「勉強脳」を作れば、絶対に成果が出るはずです。

2008年09月01日

合格するコツ①―徹底的に記憶する

メディアファイブでは、さまざまな学習法の本から、合格する勉強のコツを考えてみました。
*主な参考図書
『脳を活かす勉強法』茂木健一郎著、『それでも脳はたくらむ』茂木健一郎著、『海馬、脳は疲れない』池谷裕二著、『記憶力を強くする』池谷裕二著、『進化しすぎた脳』池谷裕二著、『1日30分を続けなさい』古市幸雄著、『大人のスキマ時間勉強法』和田秀樹著、『1日5分頭がよくなる習慣』佐藤伝著、『頭がよくなる本 日本語第3版』トニー・ブザン著、『「超」勉強法』野口由紀雄著、『大人のための最短・最速勉強法』中村一樹著、『ザ・勉強』多胡輝、大島清、鳥居鎮夫、長谷川和夫、黒川康正、鈴木治雄、他著、『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』苫米地英人著、『最短で結果が出る超勉強法』荘子雅彦著、『この差はなにか?勉強できる人できない人』和田秀樹著、『お金をかせぐ勉強法』藤井孝一著、『レバレッジ勉強法』本田直之著、『自分を変える「スピードアップ」勉強法』矢矧晴一郎著、『脳を活かす!必勝時間攻略法』吉田たかよし著、『キミにもできるスーパーエリートの受験術』有賀ゆう著、『学力の社会学』仮谷剛彦・志水幸吉編

■試験で試されるのは記憶力である■

 世の中たくさんの試験があります。入学試験、資格試験、検定試験、学校の定期試験などなど…。試験の結果が悪いと、落ち込んでしまいます。自分はなんて頭が悪いのかなあと思ってしまいます。

試験勉強には4つの特徴があります。
①問題が与えられている。
②正解がある。
③出題範囲が決まっている。
④制限時間内に解く。

この4つをクリアするためには、覚えればいいのです。記憶力が結果を大きく左右します。それは、あまり能力がなくても可能です。自分で解法を見出して解くことにはあまり重点が置かれていないのです。それは、ゲームやクイズと根本的なところが似ています。試験で試されるのは、思考力ではありません。ましては、人柄でもセンスでもありません。記憶力なのです。ニュートンやアインシュタインは学校の成績はあまり良くなかったそうです。優秀な人間=受験秀才ではないのです。

・試験に落ちると頭が悪いのか
・試験で試されるのは、人柄でもセンスでもない。何が問われるのかといえば記憶力。

■記憶力はどんどん良くなる■

 脳の構造や神経細胞の並び方に個人差はありません。かつては、「神経細胞には増殖能力がない」といわれてきました。生まれたときに一番脳の神経細胞の数が多く、使わないでいるとどんどん失われていくと考えられてきました。つまり脳の中で神経細胞のリストラが行われていると考えられていたのです。しかし、研究によって、それは間違いであることがわかってきました。「海馬」など限られた脳の部位では神経細胞が増殖して増えることがわかってきたのです。「海馬」は記憶を頼りに、あれこれ考えるときに使われます。頭をたくさん使って鍛えれば、脳の神経細胞は増殖するのです。1997年のネイチャー誌に、米国の生物学者ゲイジによってこれを裏づける実験結果が発表されました。ゲイジは二つの飼育箱を用意し、ネズミを飼育しました。一方の飼育箱には、遊び道具をたくさん入れ刺激のある環境を作り、もう一方の飼育箱には、何も遊び道具を入れずにネズミを育てました。こうして育てた2匹のネズミの脳を比べてみたら、遊び道具のある飼育箱で育てたネズミのほうが、海馬の神経細胞の数が15%も多く、さらに詳しく調べると、神経細胞の増殖能力が2倍以上にまで上昇していることがわかりました。神経細胞は鍛えられると活性化するという証拠です。(『記憶力を強くする』池谷裕二著より)

・脳の構造は基本的に人によって変わりはない。
・頭は使えば使うほど、神経細胞は増える。
・頭を多く使って、鍛えれば神経細胞は、これにこたえるように増殖する。

■大量に読み、聞き、解く■

 記憶は、脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられます。ここが記憶の保管場所です。そして、この側頭連合野では、視覚・聴覚・味覚-・嗅覚・触覚といった五感や、感情面の様々な機能を統合されています。この連合野には、様々な機能から働きかけたほうが記憶が定着しやすいという特徴があります。耳で聞く、目で見る、音読する、手を使って書くなど、様々な手段で働きかけたほうが、記憶を定着させることができるのです。そうすると側頭葉から海馬にたくさんの信号が送られるのです。様々な手段で働きかけると、海馬を活性化し、記憶が定着しやすくなるのです。その情報信号つまり総合情報は海馬を一回りして、記憶すべきものは再び側頭葉へ戻されます。海馬に記憶されている情報のうち、何度も反復して脳にアクセスされたものは「重要である」と判断されるのです。だから、記憶するためには様々な手段で大量に情報を送り込むことが大事なのです。

・脳に記憶させる唯一の方法 
・情報量の膨大な現代社会においては、脳を並列状態にした上でできるだけ大量の情報を見る。同時に受け、同時に受け入れるという訓練が大事。
・丸暗記も無駄ではない。
・暗記の訓練によって、脳内のニューロンの数がどんどん増加する。
・暗記が進むにつれ、不思議なことにあとからついてくる現象が起こってくる。

■海馬は記憶の司令塔■

 海馬は記憶すべきものを取捨選択している「記憶の司令塔」です。だから、海馬を取り除くと、重度の記憶障害になります。五感を使って入力された情報は、1カ月ぐらい海馬に留まります。そして、記憶すべき情報を側頭葉に送ります。記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。勉強した内容を定着させるためには、「長期記憶」として記憶することが大切です。
 「長期記憶」として側頭葉に送るためには、情報が海馬に保管されている間に、復習し再度情報を送るのが効果的です。海馬に情報が留まっている1カ月の間が、復習の絶好のチャンスなのです。このチャンスを絶対に逃さないでください。いつ、どこで、何を見て何を感じたかという経験も含めて記憶されます。また間違いも記憶します。間違えることも無駄ではないのです。

・海馬を取り除くと、重度の記憶障害になる。
・目・鼻・耳・口・舌など、様々な感覚の情報が海馬に入力される。
・いつどこで何をみて何を聞き、何を感じたかといった材料を結びつけて経験という記憶になる。
・人は間違いも記憶している。あえて間違える。間違えることも無駄ではない。
・海馬は記憶の一時的な保管場所。その保管場所では記憶が保管されているのは長くても1カ月である。この一か月が、復習の絶好のチャンス。このチャンスを逃すと復習の効果は得られない。効率の良い復習とは以前の記憶が海馬に保管されているうちに覚えたい情報を海馬に送信してやること。そうすれば海馬は、この情報を「必要な」情報であると判定して、側頭葉に「これを記憶せよ」と送り返す。

■なぜタクシーの運転手さんは記憶力がいいのか■

 タクシーの運転手はなぜ、あんなに的確に自分の走るべき道を割り出すことができるのでしょうか?不思議に感じたことはありませんか。英国の認知神経学者マグワイアは、このことについて詳しく研究をしました。
 ロンドンの市内は24,000もの通りが、複雑に入り組んでいます。様々な目標の建物、一方通行等の情報は、膨大な量です。しかし、ロンドンのベテランのタクシーの運転手はこの情報をしっかりと頭に入れて、仕事をこなします。そのことはこのマグワイアという学者、独創的な発想の研究を思いつかせました。マグワイアはタクシーの運転手の脳を、一般人と比べてみようと思い立ったのです。sMRI(構造的核磁気共鳴画像法)という医療機器を使って、彼らの脳の構造を調べました。
 その実験によって、タクシーの運転手の脳の「海馬」が一般の人よりも大きいことがわかりました。そして、職歴が長い人ほど、発達していることもわかったのです。ハンドルを握って30年経ったベテラン運転手は、3%も「海馬」が膨らんでいたのです。(『記憶力を強くする』池谷裕二著より)
 タクシーの運転手は五感や対人関係から様々な刺激を得て、複雑に入り組んだ都会の道を記憶しているのです。いつどこで何を見、何を感じたかといった材料を総合的に関連づけて、「経験(事象の記憶)」という記憶を作っているのです。つまり体験したことの「思い出」です。無味乾燥な「知識」でなく、ストーリーのある記憶です。このような記憶は「エピソード記憶」と呼ばれます。記憶するためにはこのようにエピソード記憶として、脳にインプットするのが効果的です。そうすれば、「海馬」はどんどん発達するのです。これは脳を使って仕事をしている人すべてに当てはまるのです。

・脳の記憶があいまいなのは、神経細胞が使いまわされているから。一つの神経細胞には様々な情報が同時に雑居して蓄えられる。こうして蓄えられた情報は互いに相互作用してしまう。人の記憶があいまいなのはこのためである。
・エピソード記憶として記憶するとテストの点数が上がる。一般に、思い出したくても出てこないとか、度忘れしたというのは意味記憶に多い。思い出すにはきっかけが必要。
・タクシーの運転手は海馬が発達している。

■覚えるための手順がある■

 映画評論家は、膨大な数の映画を見ているにもかかわらず、どうして一本一本の映画の細かい部分まで覚えているのかと不思議に思ったことはありませんか。
 そのような質問をある評論家投げかけると、
「まずタイトルからか予想されるテーマを考える。そして、映画が展開していく画面の一つ一つに、そのようなテーマが隠されていないかを自分なりに予想しイメージしながら見る」ということを習慣的に心がけていると答えが返ってきたそうです。
つまり、そのシーンを単独で記憶しているのではないのです。このように予想で頭をひねることは、記憶を定着させるのに非常に重要なことなのです。その予想のために、働く右脳のイメージ力は鮮明なものなのです。そこに予想が当たった、はずれという結果に対する感情面の刺激が加わり、対象のイメージを大脳に焼きつけるのです。このような手順を踏むことが覚えるためには必要なのです。                                                              
この手順は言葉を記憶したいときにも応用できます。言葉を単独で覚えようとすると、言語活動や論理的思考を司る左脳しか動きません。文章になればその言葉により意味づけができます。そこで右脳が一つの流れを作りイメージ化するのです。そうすれば、左右の脳がバランスよく働き、より鮮明に記憶するとができるのです。「意味のない記憶」より「意味のある記憶」ほうが記憶しやすいのです。しかも必要な取り出しやすい記憶となるのです。

・言葉・単語は文章と一緒に覚える。
・言葉は単独で覚えようとすると左脳しか動かない。
・文章になれば、その言葉により意味づけができる。
・意味付けというのは、言葉とイメージを結びつけるということで、左右脳が参加し、より鮮明な記憶テープができ、記銘しやすいだけでなく、取り出すことも容易になる。

■タイムプレッシャーを与えると集中力が増す■

 自分の力を100%と考えて、これを120%、150%と伸ばしていくためには、少し負荷をかけていかなければなりません。そのためには何らかの形でプレッシャーをかけていく必要があります。そのためにもっとも効果的なのはタイムプレッシャーをかけることです。自分の作業時間の制限時間を設けることです。ゲームなどによくこの制限時間が設けられています。この〆切効果は、ものすごい集中力を生みます。火事場の馬鹿力が発揮され、通常以上の能力を発揮できます。それは成功体験として、脳に記憶されます。そして次はこれを超えることを目標にするのです。ストップウォッチで時間を計り、何秒かでも進歩を意識できるとやりがいがアップします。
 勉強のできない人は、解けない問題に行き詰まって、ついだらだらと勉強しがちです。プレッシャーのない勉強はいつまでも同じところにとどまらせるだけです。是非〆切効果としてタイムプレッシャーを利用してください。あなたの能力は確実にアップします。

・〆切効果が集中力を生む。
・火事場の馬鹿力
・本を読めるのは制約が厳しいとき
・ストップウォッチで学習時間を必ず測定せよ。
・人間の能力はどんどん上がっていく。

■体系をつかむためにはまず全体像をつかむのが重要■

 タイムプレッシャーをうまく利用して学習すると、格段に勉強のスピードがアップします。問題集や参考書をどんどんこなしてください。そうして、1回最後まで進んでください。勉強したいことの全体像をつかむことは、とても大切なことです。
 一般的には、「基礎が大事だから、段階を踏んで理解する」ことが大事だと言われます。英語の勉強ならまずは単語を覚えるということでしょうか。
 でも基礎は退屈で難しいものです。わからなくても立ち止まらずに、飛ばして先へ先へと興味を持ち続けることが、やる気を維持するために必要です。英語の学習で単語帳を作ったところで、もう疲れてしまったということはありませんか? そのような作業はなるべく少なくしてください。
 試験で高得点を取るためには、部分の積み上げで理解するのではなく、重要な点を把握することが重要です。全体を把握して上から物を考えると、各部分を他の部分を関連づけて理解し易くなります。また些細なことと重要なことの区別がつき易くなります。重要なことに力を集中させてください。

・わからなくても最後まで進む。

■考えすぎは無駄■

 わからない問題があっても、考えすぎないことが大切です。わからない問題があったら悩まず答えを見てください。そして解法を覚えてしまってください。結果の出来不出来はまったく気にする必要がありません。問題をひたすら繰り返し解いていくうちに記憶と理解がついてくると信じましょう。どんどん問題を解き、ある程度考えてどうしてもわからなければ、さっさと解答と解説を読んでしまうのです。一つの問題集に飽きたら、別の問題集に移りましょう。やる順番を変えるのも新しい刺激となるので効果的です。飽きずにやれるように工夫して、何しろ問題の数をこなしてください。応用問題と基本問題がある問題集では、まず基本問題集をくり返して2~3回転させてください。初めから難しい問題集に取り組んでできない問題ばかりだと、勉強が楽しくなくなってしまいます。問題のレベルは簡単なものの繰り返しから始めてください。ある日、目からうろこが落ちるようにすっきりと理解できるようになります。試験はクイズです!ゲームです!信じた教材を繰り返しとことん使えば、必ず合格します。

・分からない場合は悩まずに答えを見る。そして覚えてしまう。
・結果の出来不出来はまったく気にする必要がない。問題をひたすら解いていくうちに、記憶と理解がついてくる。

■知識があれば合格するわけではない■

 試験に合格するということと、その分野の知識が十分にあるということは必ずしもイコールではありません。試験というのは、試験内容に関する知識がある程度あれば合格するのです。試験は水ものであるとよく言います。ふたを開けてみなければ分からない部分があります。十分知識を持っていても、受かる人と落ちる人がいます。反対にあまり知識を持っていなくてもたまたまその日の試験と相性がよく受かる人がいます。試験というのは「結果」がすべてなのです。出題される内容を「理解」するのも大事ですが、まずは「合格」しなくては意味がないのです。
 十分な知識は、試験に合格してからじっくり勉強すればいいのです。だからよく分からない部分にはあまりこだわらず、テキストや問題集に沿ってどんどん前に進んでいくほうが結局は早道なのです。
 どんな試験でも、合格するために満点を取らなければならないわけではありません。7割の点数が取れれば合格という試験で、100点を取っても同じ「合格」という枠に入るだけなのです。1番で合格しても、最下位で合格しても結局は同じなのです。理解をするということより、確実に合格点を取ることを目標に「記憶する」ことが早道なのです。


・試験に合格するには試験に対する一定の知識があれば楽に合格できる。

■同じ教材を何度も使う■
記憶するには繰り返し、脳に働きかけることが大切です。最後までやりぬけるテキストを見つけて、それを何度も使いこなしてください。1度目を通しただけで覚えられる人はいません。人間は繰り返し学習をすることによって、理解を深めていくのです。
エビングハウスの忘却曲線って知っていますか?記憶と忘却の時間的関係を測定するために「子音・母音・子音」の意味のない3文字綴り(「YUN」「MEG」のようなもの)を暗記し、一定時間経過後、どの程度思い出せるかを実験によって調べ、この結果をグラフ化したものです。
この曲線からわかるのは、6日後には4分の3を忘れているということです。意味のない3文字綴りを覚えるという実験なので、勉強で覚えることはもう少し頭に残っているかもしれませんが、しかし、時間とともに記憶は薄れていくということは確実です。だから繰り返し学習が必要なのです。何度も繰り返すことで忘れる度合いが確実に減っていくのです。

・記憶にはかけた時間よりも、繰り返した回数が重要。

■合格する教材とは?■

 試験に合格するためには、いい教材を選ばなければいけません。それには5つのポイントがあります。
①自分の目的に沿った内容である。つまり合格できるような内容であるということ。
②自分の実力より少しだけレベルの高い内容であること。簡単すぎても難しすぎてもダメ。
③楽しく勉強できる工夫がある。
④そして最後までやり遂げられる分量のもの。
⑤五感を刺激する教材
特に、勉強癖のついていない初心者にとっては、分厚いテキストだけでは、途中で挫折するのは目に見えています。最後までやり遂げて繰り返すことができなければ、
記憶として定着しないのです。忘れてしまうのだったら、勉強しても意味はないのです。様々な形でアプローチできるマルチな教材を選ぶことが特に初心者には大切なことです。本だけの学習にこだわらず、柔軟に教材を選ぶことが大事です。飽きずに勉強できる工夫をし、繰り返し学習をラクに行うために、五感を刺激して脳にきく様々な手段も並行して利用してください。そうすれば飽きずに無理なく学習できるはずです。

■確実な知識は過去問から。問題集を解くことで、記憶が定着する■

 入学試験、資格試験に合格するには、過去問が最高の参考書です。試験に合格するために最も確実な知識は「過去の本試験問題で問われた知識」です。本試験の問題は、間違いや矛盾点が無いようによく考えられています。また、正答が1つになるようによく練られて作られています。だから、学習し易いのです。もし半分以上解けなくても、めげる必要はありません。くじけないで何回も挑戦してください。繰り返し解いてください。教科書の内容を単純に繰り返すより、即効性があります。繰り返し解いているうちに、過去問とその答えを覚えてしまえばいいのです。過去問は繰り返し姿を変えて出題されます。記憶が定着し、暗記すると、理解は後からついてきて応用力も自然についてきます。
 繰り返すことと同時に、五感をフルに使って、様々手段や刺激を利用することも忘れないでください。エピソード記憶として長期記憶されるためには、様々な経験が必要です。

・過去問こそが最高の参考書
・問題集を解くことは記憶を定着させるうえで、極めて効果的。
・もし半分以上解けなくても、くじけずどんどんトライする。それだけでも。勉強した内容をお経のように単純に復唱するより、はるかに頭に定着する。応用力もつく。
 
■脳は主観的判断しかできない■

 自分が記憶しているものが、どんなものなのかを考えてみると、それは印象に残っているとか、記憶する必要のあったものであるとか、何か特別な理由があったはずです。どうでもよいことはあまり記憶されません。覚えようとしたものしか記憶できないのです。目に見えるすべてのものを記憶したら、脳のメモリーはすぐにいっぱいになってしまうでしょう。脳の容量は無限大ではありません。記憶しようとしたものしか記憶できないという脳の性質は、限られた記憶の容量を主観的に利用するために必要なことなのです。覚えなさいという強い信号がきたときのみに、記憶されるのです。つまり人間は覚えようとしたことは覚えられるのです。
 また、連合学習という性質もあります。これは記憶するときに何かに関連づけて覚えるという性質です。個々の事象だけ覚えても使えません。個々の記憶は独立しているのではなく、互いに連合しているのです。私たちはある一つのことをほかのことと連合させて記憶しているのです。一つのエピソード記憶は複雑に他のエピソード記憶と結びついて記憶されているのです。

・脳が興味を示すかどうかが、頭を活用する手がかりだ。
・脳は覚えようとしたことでなければ覚えられない。

■年をとったら物忘れするというのは間違い■

 一生の間に衰えてしまう脳の割合は、たかが5~10%にすぎません。脳の潜在能力の大きさに比べれば、この程度の衰えは実際にはあまり気にする必要のないものです。また、脳を詳細に調べると、確かに神経細胞の総数は歳とともに減ってきますが、シナプスの数は反対に増えていくのです。つまり、神経回路は年齢を重ねるごとに増加していくのです。このことは、年をとったほうが記憶の容量が大きくなっていくことを意味しているのです。
 ではなぜ記憶力が落ちたと感じるのでしょうか?記憶するには、その年に見合った方法があります。中学生のころまでは丸暗記でも何とかなりますが、年をとると断然エピソード記憶のほうが優勢になってきます。この事実に気づかず、いつまでも同じ勉強法を繰り返していると自分の記憶力に限界を感じてくるのです。
 念入りな繰り返し学習とモチベーションの維持で、脳をいつも働かせていれば、いつまでも衰えないのです。資格取得など目標を持って学習することで、シニアライフは充実するのです。
 

・歳をとっても、知的能力は衰えない。一生の間に衰えてしまう脳の割合は、5~10%にしかすぎない。
・脳を詳細に調べると、確かに神経細胞の総数は歳とともに減っていきますが、シナプス数はむしろ反対に増えていく。つまり、神経回路は年齢を重ねるごとに増加していく。この事実は、年をとったほうが記憶の容量が大きくなることを意味している。
・脳はいつも働かせていれば、いつまでも衰えない。
・念入りな反復学習とモチベーションの維持で、シニアライフも資格で充実。

■脳は疲れない■

 脳は死ぬまで休みません。脳が止まったら、五臓六腑の働きが全部止まってしまうのです。寝ている間も脳は働き続けて、夢を作ったり体温を調節したりしているのです。脳は疲れないのです。
 勉強していて脳が疲れたと感じるのは、身体が疲れているか、興味のないことをいやいや勉強しているからなのです。面白いことをやっている限り、脳が疲れるということはないはずです。本などを読んでいると面白くて、目や姿勢など身体の疲れを我慢してしまうこともあります。
 だから、休息が必要なのは、身体なのです。脳の休息は必要ないのです。むしろいつも使っているほうが、なまらないのです。いつも勉強し続け、勉強に使っていることが必要なのです。
 本を読んでいるとき、人間の脳波は活動的で早いベータ波が優位になります。しかしリラックスしてテレビを見ていると、精神活動の欠如を表す穏やかで受動的なアルファ波が優位になります。テレビの視聴時間が長い学生ほど、学業成績が悪いという研究報告があるそうです。気分転換は必要ですが、脳をリラックスさせすぎることは、脳にとって必ずしも良いことではないのです。
「勉強漬け」になって、勉強に対していつも現役でいることが、脳力をアップするのです。

・脳は死ぬまで休まない。脳が止まったら五臓六腑も全部動きが止まってしまう。
・寝ている間も脳は働きつづけて、夢を作ったり体温を調節している。
・いやいやでなければ脳は疲れない。

合格するコツ②―徹底的に時間を使う

■自分の勉強のペースを作る■

 「試験直前にならないとやる気が起きない」という人がいます。仕事でも同じです。間際になってやる気が出るのは、危機的な状況で脳が興奮するからです。しかし、入試とか資格試験とか、はっきりした目的のある場合は、試験までの持ち時間をきちんと把握することも合格を勝ち取るために重要なことです。手帳その他のツール使い易いツールを使って、そこにいたるまでの時間のマネージメントを的確に行ってください。
 特に社会人はスケジューリングが非常に難しいと思います。仕事がらみで予測できないことが途中でどんどん割り込んできて、当初の計画通りにはなかなかいかないでしょう。スケジュールは改訂を繰り返しながら、練り直してください。そして自分の時間を能動的に使いましょう。そして自分の勉強のペースを作ってください。
 まず「一日一日」を大切にしてください。就寝や起床時間を決めたり、食事時間を決めたりして生活のペースを作ってください。そしてそれを守ってください。それから今日やることを書き出し、優先順位をつけ、1番から順に実行してください。

・時間を管理せよ。どのぐらいの時間勉強できるのか、しっかりと把握する。
・就寝時間を決め、しっかり守る。
・睡眠時間は6時間で大丈夫
・起床時間を決めて、しっかり守れ。
・今日やることを書き出し、優先順位をつけ、一番から順に実行。

■常に2つ以上のことを同時に行う■

 アイデアを考える職業の人が、いくら考えてもいいアイデアが出ないときによくやるのが「2つ以上のことを同時に行うという方法」です。泥沼にはまってしまって、頭打ちだなあと思ったときに、深追いせずに、他の仕事に移るのです。そんなときにぱっとアイデアが生まれてくることが多いのです。一つのことに集中している時間の長い短いはあまり関係がないのです。
 最近では週休2日制の会社も増え、夏や冬の大型連休やゴールデンウイークも定着してきました。日本のサラリーマンの余暇は増えつつあります。でも、この余暇を独学に活用するという人は意外と少ないのです。日ごろ、勉強に励んでいる人でも休みは休みとして勉強も休んでしまう人が多いようです。ここでも「2つ以上のことを同時に行う」ことはできないでしょうか。遊びの場所に勉強を持ちこむと休んだ気がしないと人もいるかもしれませんが。ここでも「2つ以上のことを同時にする」ことで能率を上げてみませんか。楽しいムードを邪魔しない方法で勉強すればいいのです。

・遊びながらでも勉強はできる。
・時は金なり。時間を無駄にしない。


■だらだら勉強しない■
 独学をするとき、「1時間=1単位」と決め、その1時間で何を学習したのかを頭の中で復習すると効果的です。1単位として勉強したことを一通り記憶から呼び戻し、忘れているところは教科書や問題集などの教材に立ち戻って確認して、もう一度頭の中で繰り返して終えるのです。5分程度でかまいません。この5分が記憶を保持するのにとっても効果的な作業なのです。
 さらにできれば、就寝前にその日にやったことを、リラックスして短時間(20~30分)で見返してください。数時間前に頭に入れたことの記憶を喚起するということです。
 こうやって、「記憶保持」と「記憶喚起」を繰り返した効果は、折り紙つきです。司法試験などの難関資格試験にトライし、合格する人はこの作業がとてもうまいからなのです。            いくら脳は疲れないといっても、人間にとって休息は必要です。休むなら休む、勉強するなら勉強するときちんと意識して時間を使うことが重要なのです。
 

・1時間=1単位と決めて勉強を進める
・1単位終了ごとに、その1時間で何を学習したのかを頭の中で反芻する。これは「記憶の保持作業」さらに就寝前に、その日にやった内容を、リラックスしながら短時間(20~30分)で見直す。これは記憶を喚起する作業。これを繰り返せば必ず記憶は定着する。
・適度な休憩をとらないと、記憶力は少しずつ低下する。

■スキマ時間を活用する■

 一日は24時間しかありません。その24時間をうまく使える人は、何をしても成功する人です。時間には削れる時間と削れない時間があります。自分の24時間をしっかり見なおしてください。半端なちょっとした時間が必ずあるはずです。行動の隙間にある時間=スキマ時間です。
 スキマ時間は馬鹿にできません。ちょっとした時間でもかき集めれば膨大な時間になります。5分、10分を活かす方法を考えてみてください。また記憶が繰り返しによって定着することを考えれば、スキマ時間をうまく使うことが試験の合否を決めることになるのです。
 人生を豊かにするためには細く長く勉強することが大切ではないでしょうか。このご時世、一流の大学を出たとか大企業に入ったということだけでは安心していられないのですから…。三日坊主にならず、少しずつでも勉強していく習慣をつけてください。30分や1時間なら無理なく勉強できます。毎日見ていたテレビを1番組やめればいいのです。1日5時間を10日だけ猛勉強するより、30分を年単位で勉強し習慣化するほうが何十倍も効果的なのです。こういう習慣をつけると、資格をいくつも取得したりすることが可能になります。スキマ時間を投資してください。それは確実なリターンをあなたにもたらします。

・スキマ時間はばかにならない。
・1日5時間を2週間するより、1日30分を5年間するほうが効果的。
・ちょっとした時間でもかき集めれば膨大になる。
・時間は作り出すもの
・習慣化する。
・これを続ければ他のビジネスパーソンをぶっちぎれる。

■携帯やiPodをうまく使う■

 スキマ時間を活かすためには、いつでもちょっとした勉強ができる状態にしておくことが大切です。そんなとき、使えるのがいつも持ち歩いている携帯電話やiPodです。これさえあれば、どこでも勉強できるのです。
 学生や社会人なら一日の内で一番確実なスキマ時間を取れるのは通勤通学の時間です。朝電車が混んでいると、本を広げるのは迷惑がかかりますが、乗る前にイヤホンをつけて乗車し、携帯電話やiPodから音声を聞くことは可能です。駅まで歩く時間やホームで電車を待つ時間等、5分、10分のスキマ時間だらけです。ぜひこの時間を活かしてください。
 音声は10回聞いても苦になりません。繰り返し復習するのに適しています。また、暗記するときには、五感をうまく使って情報を取り込むことが効果的です。耳からの学習は、目からの学習と違った刺激を脳の与え、海馬に働きかけます。音声を使えば、通常は非生産的な時間が利益をもたらすのです。復習する時間はなかなか取りにくいものです。音声を使えば、スキマ時間を使って記憶の定着をしてください。

・耳からの情報は、何度も聞いているうちに自然と頭に入る。
・通勤通学時間の有効活用
・リスニングはどこでも可能
・聞いて学ぶを最大限に生かすには、部屋の中でじっとしているだけでは不十分。移動しながらも学ぶ。
・音声なら十回聞いても苦にならない。

■寝る前20分間をフルに活用■

 寝る前の読書が非常に効果的であることが、心理学で証明されています。
アメリカの心理学者ジェンキンスは、平均能力差がないように、AとBの二つのグループに対して、同じ講義をして、翌朝講義内容についてテストをしました。Aグループには講義が済んだらすぐ寝るように指示を出し、Bグループには好きなように行動させました。テストの結果には、Aグループの平均記憶力は56%、Bグループの平均記憶力は9%というような大きな差がついたのです。ジェンキンスはさらにこのような実験を繰り返し、「就寝直前に入った情報は、記憶効果が高い」という結論を得ました。これは「ジェンキンスの法則」と呼ばれているそうです。
なぜそのような結果となったのでしょうか。それには睡眠中に見る「夢」が影響しているようです。睡眠にはリズムがあります。浅い眠りと深い眠りが交互に起こっているのです。浅い眠りは浅い眠りは「レム睡眠」と呼ばれ、深い眠りは「ノンレム睡眠」と呼ばれています。夢はレム睡眠のときに見ています。だからレム睡眠のとき、脳波は目覚めている時のように活発です。ノンレム睡眠のとき、脳波は静かです。つまり脳が休んでいるのです。その代り、ノンレム睡眠のときは寝返りを打ったりして体をよく動かしているそうです。レム睡眠のときは体が休み、ノンレム睡眠のときは脳が休んでいるのです。
夢はレム睡眠のときに見ています。覚えていなくても、人間は一晩の間にものすごい量の夢を見ています。脳に全くないものは夢となって出てくるわけがありませんから、夢は記憶の再生なのです。印象深く変わった夢は覚えていますが、ただの記憶の再生の夢は覚えていないだけなのです。(『記憶力を強くする』池谷裕二著より)
 その他、様々な研究により、夢が昼間の経験を思い起こす行為であるといわれています。そして現在の脳科学によれば、記憶は夢を見ることによって保存されるので、寝ることはしっかりと記憶するために必要なのです。徹夜で知識を詰め込んでも、側頭葉に記憶されることなく数日で消えます。寝ることと勉強することをうまく絡めてください。寝る前の20分をうまく利用して、夢を活用してください。

・就寝直前に頭に入った情報は、記憶効果が高まる。
・その日にやった内容をリラックスして短時間(せいぜい20~30分)で見返す。
・現在の脳科学の見解によれば、夢は脳の情報を整え、記憶を強化するために必要な過程である。記憶は夢を見ることによって保存される。

■朝の時間をうまく使う■

 一日のうちで、最も勉強を妨げられないのは朝の時間帯です。まとまった時間を習慣的に作ることができます。夜は、テレビ・飲み会・電話など様々な誘惑がありますし、体も頭も疲れています。思い切って早く寝て、朝2時間ぐらい早く起きて勉強にあてることができれば、効率が格段に上がります。
 受験生の間で、「ひばりはふくろうに勝つ」と言われることがあるそうです。朝早く活動するひばりのほうが、夜型のふくろうよりも合格率が高いということです。「早起きは三文の得」という昔から言われていることわざもあります。勉強に集中できるという利点から、朝の1時間は夜の3時間に匹敵するという人がたくさんいます。
 そして朝は脳が元気です。睡眠によって休息し記憶を夢によって整理し、新しい刺激を取り入れやすい状態です。6時間以上の睡眠時間は必ず確保し、起床時間をしっかりと決めて寝る前にインプットしてください。初めは30分の早起きから始めてはいかがでしょうか。この効果を実感し習慣化すれば必ず早起きできるようになります。文豪で科学者だったゲーテも「朝の時間は金貨をくわえている」と言っています。朝の時間をうまく使いましょう。

・朝のほうが確実に時間を作りやすい。
・脳も元気。
・朝の1時間は夜の3時間に匹敵する。
・朝型の学習のほうが合格率が高い。

■昼休みを使う■

 スキマ時間として、通勤時間と同じように毎日確保できるのが、昼休みの時間です。この時間帯は脳の活動が非常に活発です。仕事や授業の合間なので、頭が冴えています。短い時間ですし、記憶喚起に使うのが効果的です。朝の通勤通学途中で覚えたことを繰り返すといいのではないでしょうか。
 昼休みは休憩できる貴重な時間だから、ゆっくりしたいという考え方もあるでしょう。職場の人や友達との憩いの時間だという面もありますが、起床時間から考えるとこの時間帯を雑談だけで終わらすのはもったいない気がします。毎日でなくてもいいでしょうから、今日は勉強するという日を決めてはどうでしょうか。
 仕事で疲れているので、何もしないで休みたいという人もいるでしょう。しかし、脳生理学的にいえば、仕事上の緊張感をほぐすためにはただ何もしないでいるより、異質の緊張感の中に浸ったほうがいいのです。独学や趣味のための軽い勉強時間は気分転換になります。効果的な記憶喚起と気分転換に昼休みを利用してください。
 1日は誰にとっても24時間です。現代人は忙しい。独学のための時間は自分で作り出すしかありません。時間を有効に使える人が成功するのです。

・脳生理学的にいえば、仕事上の緊張感をほぐすためには何もしないでいるより、異質の緊張感に浸ったほうが効果的。
・昼食はなるべく早く済ます。
・昼休みに、仕事と関係ない軽い勉強をする。

■いつも勉強していないとなまる■

休憩は、身体がデスクに同じ姿勢で向かい続けていると疲れるので、必要なだけです。生きている限り脳は働いています。それでも、脳は疲れないのです。
学校を出ると勉強しなくなってしまう人は非常に多いです。勉強はつらいもので我慢してやっているから、そうなってしまうのです。それは学校の勉強が必ずしも楽しくなかったからです。
 その原因は学校教育の方法にあるのではないでしょうか。教材や教え方が生徒の好奇心を刺激しないからです。試験のために「覚えるという作業」と「知識を深め、研究するという作業」がごちゃまぜになっているからではないでしょうか。試験のための勉強と研究や学問はそもそも違うのです。それぞれに合ったやり方があります。試験対策は徹底的に繰り返し記憶することに重点を置いて取り組むべきなのです。
 目的に合った勉強法を選択して、いつも勉強に対して現役でいることが大切なのです。

・いつも勉強をして現役でいることが大事。

合格するコツ③―徹底的に思い込む

■スランプに負けない■

 勉強の効果はすぐには現れないものです。一定の助走期間があります。それは結構長いかも知れません。始めた当初は「こんなに努力しているのに、なぜ効果が上がらないのだろうか」と焦ります。スランプは必ずあります。でもそれに負けないでください。多少時間はかかるでしょう。しかし必ず効果が出ると信じて持続できるかどうかが勝負の分かれ目です。
 人間は先が見えると結構頑張れるものです。しかしそれが見えてこない状態はかなりきついと思います。しかし成果は努力と比例しません。ある日なんかのきっかけで、突然効果が見えてくるものなのです。
 日々の努力を続けるために、小さなご褒美を考えてみてはどうでしょうか。「この問題をやったら、美味しいお菓子を食べる」とか「この問題が8割できたら、ビールを飲む」とか、日常的なちょっとしたことでよいのです。そうやって自分を元気づけながら、とにかく勉強を持続させてください。自分でコントロールできない「不調」のときも、勉強そのものは続けてください。そんなときは肩の力を向いて、簡単な問題をやって見てはどうでしょうか。やると決めたことはやるという意志の強さが大切なのです。能力の差は、努力とノウハウによって克服できるのです。

・勉強の成果は突然現れる。とにかく持続すること。
・小さなご褒美を設定する。
・自分でコントロールできない「不調」のときでも、勉強そのものは続けるほうがいい。なるべく簡単な問題をやったりして、できるだけ学習のペースを乱さない。」

■目標を持つ■

 努力を支える勉強の意欲を生むのは、はっきりとした具体的な目標です。脳を駆動するのは「意欲」なのです。もっとよく生きたいという欲求、美味しいものを食べたり飲んだりしたいという欲求、憧れている人のようになりたいという欲求、楽しく充実した人生を送りたいという欲求など、様々な欲求が意欲を生むのです。そしてそのような「意欲」が脳を活性化するのです。求めなければ活性化されないのです。
 目標設定は人生のペースメーカーなのです。自分なり目標を設定して、充実した人生を過ごすほうが楽しいのではないでしょうか。学校を出てからも様々な目標設定をして、どんどん自分のスキルを上げていけば、自分に自信を持って様々なことを乗り越えていけます。一流大学を出たとか大企業に入ったということだけでは安心できない時代なのです。資格や検定など具体的な目標に設定して、脳を活性化してください。脳力は使えば使うほど上がっていくのです。

・目標が意欲を生む。
・目標設定は人生のペースメーカー

■まずは試験を受けると決めてしまう■

まずはとりたい資格や行きたい学校の試験を絶対に受けると決めてください。何かを勉強するには、決まった日に受験しなければいけない状況に自分を追い込んでしまうのが、最も手っとり早い方法です。いつかやろうとか言っている人には、いつかは絶対にやってきません。思い立ったときがチャンスなのです。
やる気のもとは、意識の中に眠っています。今のこのやる気を持続させるためには、合格したシーンをビジュアル化し、徹底的に深層心理に叩き込んでください。「○月○日 ○○合格」と紙に書いて、部屋に貼ってみてはどうでしょう。そして「必ず受かる」と肯定的な言葉を口にしてください。また、一日3分合格票が届くシーンを想像したり、合格者の声や合格した人の情報を収集し、合格したら、自分にどれだけのメリットがあるか想像して舞い上がってください。受験勉強であれば志望校に行って、そこに通うことをイメージしてください。行きたい学校の門の前に立って写真を撮って部屋に貼るのもいいでしょう。何しろ目標達成した自分を思い浮かべるのです。
具体的なイメージがビジュアル化されると、やる気が違ってきます。スポーツだけでなく、勉強にもイメージトレーニングは必要なのです。

・何かを勉強するには、決まった日に行われる試験を受験しなければならない状況に自分を置いてしまうのが、最も手っとりばやい方法。
・いつかやるといっている人にそのうちやいつかは絶対にやってこない。
・やる気のもとは、意識の中に眠っている。やる気を持続させるには、合格したシーンをビジュアル化し、徹底的に深層心理にインプットする。
・目標は必ず紙に書け。「○年○月○日 ○○合格」とか。
・肯定的な言葉を口にせよ。
・受験であれば志望校に行き、そこに通うことをイメージする。自分を入れた写真を撮って部屋に貼る。

■やり始めるとやる気になる■

 勉強をやる気があまりない場合でとにかくやり始めるしかありません。「エーそれは無理…」と思うかもしれませんが、人間の脳はやっているうちに、側坐核が自己興奮してきて、集中力が高まってきます。そして気分が乗ってくるのです。この現象はクレぺリンという学者が発見し「作業興奮」と呼ばれています。人間の脳は作業しているうちに興奮してきて、作業に合ったモードに変わるのです。ギアチェンジされるのです。
 この現象は、日常で案外経験したことがあるのではないでしょうか。たとえば、原稿を書くときや本の読み始めに、だんだん乗ってくる自分に気がついたことはないですか?
 だから勉強し始めになかなか進まなくてもとにかく始めてください。どうしても目標を達成したいと思いこめば、必ず「作業興奮」の状態になるはずです。

・やる気がない場合でもやり始めるしかない。
・やっているうちに、側坐核が自己興奮してきて、集中力が高まって気分が乗ってくる。
・この現象はクレぺリンという心理学者が発見して「作業興奮」と呼ばれている。
・作業しているうちに興奮してきて、作業に見合ったモードに変わっていく。

■周りの人を利用して、やる気を出す■

 効果的な勉強法は、孤独から生まれるのではなく対人関係から見えてくるものです。だから、勉強には自分の「情報開示」が必要です。人と物(本や教材)をうまく利用することによって大きな成果を上げることができるのです。自己に閉じこもっていては損をします。
 同じ目標を持った勉強仲間を貿易相手と考えてみてはどうでしょう。協力し合うことによって、お互いの得意分野と不得意分野を補い合うことができます。また持っている教材の情報を共有し合うことによって、一人で勉強しているよりも必ず効率が上がります。また、他の人が頑張る姿を見れば、自分も頑張ろうという気になり、モチベーションを維持するのです。また人に教えることは、自分の知識を確認したり定着させる効果があります。ライバルと考えて、競争心をあおるのもやる気を起こします。
 また、目標を決めたら人に吹聴するのも結構効果的です。家族や友人等に「絶対合格宣言」をするのです。人に言ってしまったのだからもう後戻りはできないと、覚悟を決めるきっかけとなります。自尊心をうまく利用してください。人の口には戸は立てられません。あなたが試験を受けることは、どんどん広まっていくかもしれません。だから失敗することはできないのです。

・勉強仲間を貿易相手と考える。協力することによって、お互いの得意分野と不得意分野を補い合う。また、持っている教材を融通し合うことによって、一人きりで学習しているより必ず効率が上がる。
・他の人ががんばっていれば、自分も頑張ろうという気が起こる。
・人に教えることで、自分の知識を確認したり、定着させたりする。
・ライバルの存在
・絶対合格宣言をする。

■楽しく勉強する■

 人間が万物の霊長たるゆえんは、「学習する力」があるからです。脳科学者の茂木健一郎氏は、「人間の脳の素晴らしいところは、新しく学ぶことに深い喜びを感じるように設計されているところである」と言っています。確かに好奇心や探究心をもって勉強できれば喜びを感じることができます。しかし、やらなければいけないという義務感でやる受験や資格試験の勉強は、面倒だし大変だし、どこが面白いのだろうと思ってしまいます。よい生活をするためにしょうがないから頑張るしかないと思って、根性で勉強するしかないと思って無理していませんか。
 しかし、そもそもそういう感覚が間違いなのです。
 一生懸命考えて問題が解けたとき「やった」と思い達成感で脳が満たされます。このとき脳には「ドーパミン」という快感を生み出す脳内物質が分泌されているのです。この分泌量が多いほど、人間は快感や喜びを感じているのです。だからこのドーパミンが分泌されたとき、どんな内容だったかをしっかりと記憶し、それを再現しようとします。そしてもっともっと効率的に快感を得るために、脳の神経細胞がつなぎかわり、新しい神経回路(シナプス)が作られます。そしてくりかえすうちにその回路がどんどん発達し強化されるのです。(『脳を活かす勉強法』茂木健一郎著より)
 ドーパミンを分泌するように勉強することが大切なのです。それには快感や喜びを感じるように勉強することが必要です。脳が喜びを感じるためには「自分が選んでいる」という感覚が大切なのです。脳はポジティブな期待や褒められた体験を喜びとして受け止めます。つまり達成感のある成功体験が必要です。資格や合格といったはっきりした目標を持って学習してください。明確な成功体験を想像することによって、あなたの脳をが強化されます。

・ドーパミンを分泌して楽しく勉強すれば、快感を感じて勉強できる。
・脳を活性化させるには報酬が必要である。資格・合格といったはっきりした目的をもって学習することが大切である。

パソコンをうまく使えば、ラクに勉強できる。

■パソコンをうまく使って自分のペースで学習する■

 パソコンは、仕事の現場では効率を上げるためになくてはならないものになりました。このツールは勉強でも威力を発揮します。
 特に試験勉強のためにはかなり使えるツールです。たとえば①Wordなどのワープロソフトを使って要点をまとめたノートや資料を作る。②暗記事項をExcelなどでデータベース化して、様々な形で出力する。(単語帳なども簡単に作れる)③自分の勉強の履歴を記録する。③インターネットを用いてわからないところや深く勉強したいところを調べる。④メールを使って、友達に質問したり励まし合ったりする。⑤学習ソフトを活用する。など様々な使い方があります。膨大な情報を整理し、いつでも取り出せるのがパソコンの利点です。
 家での勉強は独学です。すべてを自分で決められるのが独学です。自分のやりたいときにやりたい勉強をするのに、パソコンは強い味方です。時間を選ばないからです。どんなに夜遅くても、朝早くても関係ありません。いつも応えてくれます。インターネットもメールも24時間自分の使いたいときに使うことができます。1日を自分のペースでフルに使えるツールなのです。

・すべて自分で決められるのが独学の醍醐味。
・自分のやりたい時にやりたい勉強をするのに、使えるツールである。
・1日24時間を自分のペースで使う。
・時間を選ばない。

■記憶力を高める■

 大量に読み、大量に聞き、大量に解くことが記憶力を高めます。パソコンは大量にデータを使いこなすことが得意です。パソコンは目で見るだけでなく、音声のデータも扱うことができます。PCにあるデータはいくらでも繰り返すことができます。自分でデータを作りそれを繰り返すのもよいでしょうし、すでに合格に必要なデータを取り込んだ学習ソフトを使用してもいいでしょう。何しろ、繰り返す学習サイクルをうまく作ることが、記憶力を高め、点数をとれる勉強につながります。
 ある高校で、学習ソフトを使って補習を行ったデータがあります。それによると、同じ単元を3回以上繰り返すと平均20%以上習熟度が上がっています。3日目から大きな効果が現れています。(大森工業高校グラフ参照)この学校では、中学の課程を完全に理解していない生徒に対して中学の履修教材をプリントで作って、放課後を活用して数学などの反復履修を行っていました。しかし生徒が嫌がってあまり参加せず、効果が上がらなかったために、試しに学習ソフトを使って補習を行いました。ゲーム世代の生徒たちはスムーズに楽しく勉強でき、出席率も90%であったということです。
 この事例はパソコンによる繰り返し学習に確実な効果があることを示しています。たくさんの情報を自在に操ることができるパソコンをうまく使って、手軽に大量のデータを繰り返し学習することは即効性のある勉強法のようです。 

・大量に読み、大量に聞き、大量に解くことができる。
・ くり返す学習サイクルをうまく作れる。
・自分の学習をデータ化すれば、繰り返し学習に使える。

■少ない手順と速い応答性か学習の効率を格段にアップする■
パソコン学習の特徴は少ない手順と速い応答性です。特に学習ソフトを利用するとワンクリックで答えを選択することができます。そしてすぐに答えが合っているかどうかをチェックします。このスピードが大量の問題を少ない時間でこなすことを可能にします。またこの速い応答性が、自分の苦手な部分を効率よくあぶり出してくれます。
 ものを覚えるのに1番必要なのは「集中」と「繰り返し」です。何度も同じ事物に簡単にアクセスできれば、確実に身につくはずです。試験勉強で最も点数につながり易いのは、過去問の繰り返し学習です。それを集中して行える学習ソフトを使った勉強は、試してみる価値があります。丸付けや間違えた問題を履歴として残しておいてくれれば、それを繰り返し学習して、脳に叩き込んでしまうことができます。無駄な時間を使わず、問題を解くことに集中することができます。
 過去問題はよく練られているので、それをそのまま覚えることは即得点につながりますし、問題と答えが対応していると覚えやすいのです。あまり考えこまずに覚えるのに適した教材です。先にどんどん進むために考えすぎないでください。試験日までの日数は限られています。その間に何回繰り返すことができたかが、合否を決めます。

・パソコンはすぐに応えてくれる。
・間違えても簡単だと思わせる。
・たくさんの問題を少ない時間でこなすことができる。
・過去問や模擬試験の学習に最適である。
・繰り返し学習を少ない時間で集中的に行える。
・無駄がない。


■スキマ時間をとことん使える■

 一日のうちで半端なちょっとした時間が大切であることを1章でご説明しました。それでは見つけ出したスキマ時間をどう使えばいいのでしょうか。その時間を100パーセント活かすためには、工夫が必要です。いざ5分勉強できると思っても、直ぐに勉強できる状況を作らなければ、直ぐに時間は消費してしまいます。
 それにはパソコンのデータを使いこなしてください。そしてパソコンと学習ソフトと携帯電話やiPodを使えば、直ぐにやりたい問題に取り組むことができます。学習ソフトによるドリル形式の問題は短時間で集中ができます。そして正誤の記録を残してくれます。少しの勉強を積み重ねてくれます。そしてそのデータを、携帯電話やiPodでソフトのデータを音声データで持ち歩けば、どこでもちょっとした時間でそれを聞くことが可能です。通勤通学の途中、ちょっとした待ち時間、昼休みにそれを使ってスキマ勉強してください。 通勤電車などで外の風景とセットにして覚えること非常に脳に効果的です。タクシーの運転手の記憶力がすごいのは、風景とセットして記憶するからなのです。「海馬」は場所だけでなく、音やにおいにも反応する神経細胞があることが明らかになったそうです。「海馬」には目・鼻・手・耳・口などの様々な感覚が入力されるのです。そして統合されます。これらの情報は経験を作り上げ、いつどこで何を見、何を聞いたかを関連付けて「エピソード」記憶を作ります。「エピソード記憶」として記憶されれば、長期記憶として忘れずに脳に残ります。スキマ時間をうまく使って、繰り返し学習をし、その結果を「長期記憶」として確実に自分のものにしてください。

・PCさえあれば、どこでも勉強部屋になる。
・少し時間を効率的に使うことができる。
・パソコンによるドリル形式の学習は短時間で集中できる。


■インターネットやメールを活用しまくる■

 今は何かを調べるときにインターネットは欠かせないものとなりました。世界中の大量のデータを知識として使えるからです。調べた内容も簡単に保存できます。常に最新の情報を得ることができるのです。
 特に資格試験などにチャレンジするときは、様々な情報が必要になります。法令は日々変わっていますのでそれを知っていることは大事なことです。試験などでは通常は期間を切って試験の出題範囲とします。そのような試験に関する情報にも要注意です。インターネットを活用すればそのような情報を瞬時に得ることができます。
 今は、携帯でもインターネットを閲覧することができます。それによってどこでも情報を簡単に検索できるようになりました。そして調べた情報を保存できます。お気に入りやブックマークを利用してください。またその内容をすぐにメールで自分のパソコンに送っておくのもいいでしょう。
 スキマ時間で調べたスキマ情報を大切にしてください。それはスキマ時間と同じように積み重なっていくのです。そして必ず自分のものになっていきます。

・ 大量のデータを知識として使える。
・調べた情報も簡単に保存できる。
・勉強に関連した情報を瞬時で得ることができる。

■学習を管理してもらう■

 試験に合格するためには、時間を管理することが大切なように学習も管理することが大切です。試験までの時間に限りがある以上、その間に得ることのできる情報にも限りがあるからです。
 自分の情報はどんどん更新してください。パソコンを使えばそれを簡単に行うことができます。様々な情報を集約することが可能です。試験に合格するにはスケジュール管理をうまくしなくてはいけません。試験まであと何日あるのかをしっかり意識し、なるべく早く試験範囲を網羅し、繰り返せるかがカギです。分からない問題や苦手な箇所には立ち止まりがちになりますが、時間が限られていることを考えればそこでいたずらに消費せず、間違いは間違いとして正解を覚えてしまいどんどん先に進まなければいけないのです。そこが試験で100%とは限りません。確実に点数をとれ知識からまず覚えていくほうが効率がいいのです。間違えても繰り返し学習をすることで、それはきちんと脳に記憶されます。時間にゆとりがあるのなら、突き詰めて理解することは知識を身につけるという面では価値があることです。しかし試験は100点を取らなければならないのではありません。何しろ合格点を取れれば合格するのです。知識を深めるのは合格してからの仕事ではないでしょうか。
 分からないところ、苦手なところはそれとして管理してください。学習ソフトには学習の履歴をデータ化したり、スケジュールを自動で組んでくれるものがありますので、それをうまく利用してはいかがでしょうか。試験対策には学習の管理が欠かせないのです。
 

・自分のデータを残しておける。
・たとえば自分で英文のバリエーションを考え、メモ帳に書きためる。
・スケジュール管理に使う。

■学習意欲を刺激する■

 試験勉強は、他人との競争です。自分の実力を知るもっとも有効な方法は、他人を見ることです。自分の内にこもらず、外へ出ていくことです。しかし時間は限られています。インターネットやメールを使いこなしてそれを補ってください。インターネットが教えてくれる様々な外の情報、メールでの仲間とのコミュニケーションは非常に重要です。記憶力を高めるにはやる気が一番だからです。試験勉強の期間このやる気を維持し続けられるかが合否を決定します。
 自分一人で孤独に勉強するのは、空しいだけでエネルギーの無駄遣いです。自分に合った勉強法を確立するには他の人の勉強法から自分の方法を見つけるほうが近道です。仲間と自分の情報を交換し合ってください。勉強は人や物をうまく利用することで効率が格段に上がります。情報を土台にしてステップアップしてください。パソコンで人や物の情報を得て集約し、それを活用してください。様々な情報を制覇したものに勝利の女神は微笑みます。
 自己完結したものに意味はありません。自分の価値を高めていくには人との比較はなくてはならないものです。人や物の情報でやる気を刺激してください。インターネットは外の世界とコミュニケーションできるツールなのです。限られた時間で価値あるコミュニケーションをするために役立てください。

・友達といつでも情報交換できる。
・インターネットから様々な情報を得て、やる気を刺激する。
・自分の学習の履歴を残せば、達成感で、もっとやる気になる。

■変化をつける■

 教える現場ではアナログな手法が主流です。しかし社会ではすでにパソコンを使ったデジタルな情報が欠かせなくなっています。なぜかといえば効率が飛躍的にアップできるからです。試験勉強は学問ではありません。試験に受かるためにやるのです。効率をアップするために、もっとパソコンを使うべきではないでしょうか。
 知識を定着させるためには様々な方法で脳に働きかけるのが効果的です。参考書を読み問題集を解くことをアナログ形式とデジタル形式を並行させてみてはどうでしょうか。勉強に変化をつけるのです。両方の長所と短所を組み合わせてはどうでしょうか。アナログ形式は時間がかかりますが、思考力を身が身に付きます。デジタル方式はスキマ時間を活かし、蓄積させるのに向いています。
 学習に変化をつけて脳が飽きないように、うまく五感を刺激してください。学習を様々な経験と結びつけることで五感は刺激されます。音声データをうまく使いこなし、ペン書きし、キーボードを打ってください。また、デジタルデータは印刷すれば、アナログな感覚で取り組める情報となります。印刷物に文字を書き込むという行為はやはり記憶するのは欠かせない方法です。しかし、無駄にカード作り等に時間をかけず、繰り返す時間が取れるように、省ける時間は省いてください。少ない時間をいかに効率よく使うかを考えて勉強してください。試験勉強は仕事と似ているのです。結果に結びつかなければ意味がないという面で仕事と試験勉強は同じなのです。

・アナログな方法とうまく並行して、学習に変化をつける。
・五感を刺激して学習できる。
・学習が単調になることをふせぐ。

■パソコンを使って攻めの学習をしよう!■

 授業中、またはセミナーで先生や講師が「分からないことがあったら、すぐに質問してください」とよく言います。多くの人は分からないことがあっても、「今は話が途中だから、後で質問しよう」とか「今聞いたら悪いかな…」、「みんな分かっているようなのに私だけ分からなくて質問するのが恥ずかしい」などと考えているうちに結局質問もせずに終わってしまうことはありませんか。
 今までの学習スタイルの多くは、良い説明や解説を聞いて、読んで学ぶ…時間をかけてじっくり取り組めば、待っていれば、相手(や本)が教えてくれるというスタイルがほとんどです。しかし、その説明や解説がいくら良くても、すべての場合においてすべての人が理解可能かというと、ぞれは無理なのです。そして試験の日がきてしまうのです。
 インタ―ネットは情報のるつぼです。しかし自分で調べなければ何も教えてくれません。学習ソフトは試験に必要な内容が全てデータ化されています。そしてメールは仲間とあなたをつないでくれます。問題は自分がどうそのツールを使うかなのです。自分で考えて踏み出さなければ何も始まりません。パソコンを使いこなして学習するということは、つまり攻めの学習をするということなのです。
 待っていても時間ばかりかかるだけです。試験前の期間は限られています。また一日は24時間と限られています。資格をとるとか、入学試験に合格するとか確かな目標が定まったら、パソコンで攻めの学習をしませんか。


・学校やセミナーの授業や講習は受け身の学習。
・先生は「分からないことがあったら、すぐに質問してください」と言うがなかなかできるものではない。
・わからないことがあったらすぐに自分で調べる、行動するのが攻めの学習。
・自分でも極めれば、確実に実力がアップする。
・パソコンでうまくインターネットを使ったり、学習ソフトを使ったり、自分の学習データを活かすと、攻めの学習が可能になる。