« 合格するコツ②―徹底的に時間を使う | メイン | 学習ソフトで「勉強脳」を作ろう。 »

合格するコツ①―徹底的に記憶する

メディアファイブでは、さまざまな学習法の本から、合格する勉強のコツを考えてみました。
*主な参考図書
『脳を活かす勉強法』茂木健一郎著、『それでも脳はたくらむ』茂木健一郎著、『海馬、脳は疲れない』池谷裕二著、『記憶力を強くする』池谷裕二著、『進化しすぎた脳』池谷裕二著、『1日30分を続けなさい』古市幸雄著、『大人のスキマ時間勉強法』和田秀樹著、『1日5分頭がよくなる習慣』佐藤伝著、『頭がよくなる本 日本語第3版』トニー・ブザン著、『「超」勉強法』野口由紀雄著、『大人のための最短・最速勉強法』中村一樹著、『ザ・勉強』多胡輝、大島清、鳥居鎮夫、長谷川和夫、黒川康正、鈴木治雄、他著、『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』苫米地英人著、『最短で結果が出る超勉強法』荘子雅彦著、『この差はなにか?勉強できる人できない人』和田秀樹著、『お金をかせぐ勉強法』藤井孝一著、『レバレッジ勉強法』本田直之著、『自分を変える「スピードアップ」勉強法』矢矧晴一郎著、『脳を活かす!必勝時間攻略法』吉田たかよし著、『キミにもできるスーパーエリートの受験術』有賀ゆう著、『学力の社会学』仮谷剛彦・志水幸吉編

■試験で試されるのは記憶力である■

 世の中たくさんの試験があります。入学試験、資格試験、検定試験、学校の定期試験などなど…。試験の結果が悪いと、落ち込んでしまいます。自分はなんて頭が悪いのかなあと思ってしまいます。

試験勉強には4つの特徴があります。
①問題が与えられている。
②正解がある。
③出題範囲が決まっている。
④制限時間内に解く。

この4つをクリアするためには、覚えればいいのです。記憶力が結果を大きく左右します。それは、あまり能力がなくても可能です。自分で解法を見出して解くことにはあまり重点が置かれていないのです。それは、ゲームやクイズと根本的なところが似ています。試験で試されるのは、思考力ではありません。ましては、人柄でもセンスでもありません。記憶力なのです。ニュートンやアインシュタインは学校の成績はあまり良くなかったそうです。優秀な人間=受験秀才ではないのです。

・試験に落ちると頭が悪いのか
・試験で試されるのは、人柄でもセンスでもない。何が問われるのかといえば記憶力。

■記憶力はどんどん良くなる■

 脳の構造や神経細胞の並び方に個人差はありません。かつては、「神経細胞には増殖能力がない」といわれてきました。生まれたときに一番脳の神経細胞の数が多く、使わないでいるとどんどん失われていくと考えられてきました。つまり脳の中で神経細胞のリストラが行われていると考えられていたのです。しかし、研究によって、それは間違いであることがわかってきました。「海馬」など限られた脳の部位では神経細胞が増殖して増えることがわかってきたのです。「海馬」は記憶を頼りに、あれこれ考えるときに使われます。頭をたくさん使って鍛えれば、脳の神経細胞は増殖するのです。1997年のネイチャー誌に、米国の生物学者ゲイジによってこれを裏づける実験結果が発表されました。ゲイジは二つの飼育箱を用意し、ネズミを飼育しました。一方の飼育箱には、遊び道具をたくさん入れ刺激のある環境を作り、もう一方の飼育箱には、何も遊び道具を入れずにネズミを育てました。こうして育てた2匹のネズミの脳を比べてみたら、遊び道具のある飼育箱で育てたネズミのほうが、海馬の神経細胞の数が15%も多く、さらに詳しく調べると、神経細胞の増殖能力が2倍以上にまで上昇していることがわかりました。神経細胞は鍛えられると活性化するという証拠です。(『記憶力を強くする』池谷裕二著より)

・脳の構造は基本的に人によって変わりはない。
・頭は使えば使うほど、神経細胞は増える。
・頭を多く使って、鍛えれば神経細胞は、これにこたえるように増殖する。

■大量に読み、聞き、解く■

 記憶は、脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられます。ここが記憶の保管場所です。そして、この側頭連合野では、視覚・聴覚・味覚-・嗅覚・触覚といった五感や、感情面の様々な機能を統合されています。この連合野には、様々な機能から働きかけたほうが記憶が定着しやすいという特徴があります。耳で聞く、目で見る、音読する、手を使って書くなど、様々な手段で働きかけたほうが、記憶を定着させることができるのです。そうすると側頭葉から海馬にたくさんの信号が送られるのです。様々な手段で働きかけると、海馬を活性化し、記憶が定着しやすくなるのです。その情報信号つまり総合情報は海馬を一回りして、記憶すべきものは再び側頭葉へ戻されます。海馬に記憶されている情報のうち、何度も反復して脳にアクセスされたものは「重要である」と判断されるのです。だから、記憶するためには様々な手段で大量に情報を送り込むことが大事なのです。

・脳に記憶させる唯一の方法 
・情報量の膨大な現代社会においては、脳を並列状態にした上でできるだけ大量の情報を見る。同時に受け、同時に受け入れるという訓練が大事。
・丸暗記も無駄ではない。
・暗記の訓練によって、脳内のニューロンの数がどんどん増加する。
・暗記が進むにつれ、不思議なことにあとからついてくる現象が起こってくる。

■海馬は記憶の司令塔■

 海馬は記憶すべきものを取捨選択している「記憶の司令塔」です。だから、海馬を取り除くと、重度の記憶障害になります。五感を使って入力された情報は、1カ月ぐらい海馬に留まります。そして、記憶すべき情報を側頭葉に送ります。記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。勉強した内容を定着させるためには、「長期記憶」として記憶することが大切です。
 「長期記憶」として側頭葉に送るためには、情報が海馬に保管されている間に、復習し再度情報を送るのが効果的です。海馬に情報が留まっている1カ月の間が、復習の絶好のチャンスなのです。このチャンスを絶対に逃さないでください。いつ、どこで、何を見て何を感じたかという経験も含めて記憶されます。また間違いも記憶します。間違えることも無駄ではないのです。

・海馬を取り除くと、重度の記憶障害になる。
・目・鼻・耳・口・舌など、様々な感覚の情報が海馬に入力される。
・いつどこで何をみて何を聞き、何を感じたかといった材料を結びつけて経験という記憶になる。
・人は間違いも記憶している。あえて間違える。間違えることも無駄ではない。
・海馬は記憶の一時的な保管場所。その保管場所では記憶が保管されているのは長くても1カ月である。この一か月が、復習の絶好のチャンス。このチャンスを逃すと復習の効果は得られない。効率の良い復習とは以前の記憶が海馬に保管されているうちに覚えたい情報を海馬に送信してやること。そうすれば海馬は、この情報を「必要な」情報であると判定して、側頭葉に「これを記憶せよ」と送り返す。

■なぜタクシーの運転手さんは記憶力がいいのか■

 タクシーの運転手はなぜ、あんなに的確に自分の走るべき道を割り出すことができるのでしょうか?不思議に感じたことはありませんか。英国の認知神経学者マグワイアは、このことについて詳しく研究をしました。
 ロンドンの市内は24,000もの通りが、複雑に入り組んでいます。様々な目標の建物、一方通行等の情報は、膨大な量です。しかし、ロンドンのベテランのタクシーの運転手はこの情報をしっかりと頭に入れて、仕事をこなします。そのことはこのマグワイアという学者、独創的な発想の研究を思いつかせました。マグワイアはタクシーの運転手の脳を、一般人と比べてみようと思い立ったのです。sMRI(構造的核磁気共鳴画像法)という医療機器を使って、彼らの脳の構造を調べました。
 その実験によって、タクシーの運転手の脳の「海馬」が一般の人よりも大きいことがわかりました。そして、職歴が長い人ほど、発達していることもわかったのです。ハンドルを握って30年経ったベテラン運転手は、3%も「海馬」が膨らんでいたのです。(『記憶力を強くする』池谷裕二著より)
 タクシーの運転手は五感や対人関係から様々な刺激を得て、複雑に入り組んだ都会の道を記憶しているのです。いつどこで何を見、何を感じたかといった材料を総合的に関連づけて、「経験(事象の記憶)」という記憶を作っているのです。つまり体験したことの「思い出」です。無味乾燥な「知識」でなく、ストーリーのある記憶です。このような記憶は「エピソード記憶」と呼ばれます。記憶するためにはこのようにエピソード記憶として、脳にインプットするのが効果的です。そうすれば、「海馬」はどんどん発達するのです。これは脳を使って仕事をしている人すべてに当てはまるのです。

・脳の記憶があいまいなのは、神経細胞が使いまわされているから。一つの神経細胞には様々な情報が同時に雑居して蓄えられる。こうして蓄えられた情報は互いに相互作用してしまう。人の記憶があいまいなのはこのためである。
・エピソード記憶として記憶するとテストの点数が上がる。一般に、思い出したくても出てこないとか、度忘れしたというのは意味記憶に多い。思い出すにはきっかけが必要。
・タクシーの運転手は海馬が発達している。

■覚えるための手順がある■

 映画評論家は、膨大な数の映画を見ているにもかかわらず、どうして一本一本の映画の細かい部分まで覚えているのかと不思議に思ったことはありませんか。
 そのような質問をある評論家投げかけると、
「まずタイトルからか予想されるテーマを考える。そして、映画が展開していく画面の一つ一つに、そのようなテーマが隠されていないかを自分なりに予想しイメージしながら見る」ということを習慣的に心がけていると答えが返ってきたそうです。
つまり、そのシーンを単独で記憶しているのではないのです。このように予想で頭をひねることは、記憶を定着させるのに非常に重要なことなのです。その予想のために、働く右脳のイメージ力は鮮明なものなのです。そこに予想が当たった、はずれという結果に対する感情面の刺激が加わり、対象のイメージを大脳に焼きつけるのです。このような手順を踏むことが覚えるためには必要なのです。                                                              
この手順は言葉を記憶したいときにも応用できます。言葉を単独で覚えようとすると、言語活動や論理的思考を司る左脳しか動きません。文章になればその言葉により意味づけができます。そこで右脳が一つの流れを作りイメージ化するのです。そうすれば、左右の脳がバランスよく働き、より鮮明に記憶するとができるのです。「意味のない記憶」より「意味のある記憶」ほうが記憶しやすいのです。しかも必要な取り出しやすい記憶となるのです。

・言葉・単語は文章と一緒に覚える。
・言葉は単独で覚えようとすると左脳しか動かない。
・文章になれば、その言葉により意味づけができる。
・意味付けというのは、言葉とイメージを結びつけるということで、左右脳が参加し、より鮮明な記憶テープができ、記銘しやすいだけでなく、取り出すことも容易になる。

■タイムプレッシャーを与えると集中力が増す■

 自分の力を100%と考えて、これを120%、150%と伸ばしていくためには、少し負荷をかけていかなければなりません。そのためには何らかの形でプレッシャーをかけていく必要があります。そのためにもっとも効果的なのはタイムプレッシャーをかけることです。自分の作業時間の制限時間を設けることです。ゲームなどによくこの制限時間が設けられています。この〆切効果は、ものすごい集中力を生みます。火事場の馬鹿力が発揮され、通常以上の能力を発揮できます。それは成功体験として、脳に記憶されます。そして次はこれを超えることを目標にするのです。ストップウォッチで時間を計り、何秒かでも進歩を意識できるとやりがいがアップします。
 勉強のできない人は、解けない問題に行き詰まって、ついだらだらと勉強しがちです。プレッシャーのない勉強はいつまでも同じところにとどまらせるだけです。是非〆切効果としてタイムプレッシャーを利用してください。あなたの能力は確実にアップします。

・〆切効果が集中力を生む。
・火事場の馬鹿力
・本を読めるのは制約が厳しいとき
・ストップウォッチで学習時間を必ず測定せよ。
・人間の能力はどんどん上がっていく。

■体系をつかむためにはまず全体像をつかむのが重要■

 タイムプレッシャーをうまく利用して学習すると、格段に勉強のスピードがアップします。問題集や参考書をどんどんこなしてください。そうして、1回最後まで進んでください。勉強したいことの全体像をつかむことは、とても大切なことです。
 一般的には、「基礎が大事だから、段階を踏んで理解する」ことが大事だと言われます。英語の勉強ならまずは単語を覚えるということでしょうか。
 でも基礎は退屈で難しいものです。わからなくても立ち止まらずに、飛ばして先へ先へと興味を持ち続けることが、やる気を維持するために必要です。英語の学習で単語帳を作ったところで、もう疲れてしまったということはありませんか? そのような作業はなるべく少なくしてください。
 試験で高得点を取るためには、部分の積み上げで理解するのではなく、重要な点を把握することが重要です。全体を把握して上から物を考えると、各部分を他の部分を関連づけて理解し易くなります。また些細なことと重要なことの区別がつき易くなります。重要なことに力を集中させてください。

・わからなくても最後まで進む。

■考えすぎは無駄■

 わからない問題があっても、考えすぎないことが大切です。わからない問題があったら悩まず答えを見てください。そして解法を覚えてしまってください。結果の出来不出来はまったく気にする必要がありません。問題をひたすら繰り返し解いていくうちに記憶と理解がついてくると信じましょう。どんどん問題を解き、ある程度考えてどうしてもわからなければ、さっさと解答と解説を読んでしまうのです。一つの問題集に飽きたら、別の問題集に移りましょう。やる順番を変えるのも新しい刺激となるので効果的です。飽きずにやれるように工夫して、何しろ問題の数をこなしてください。応用問題と基本問題がある問題集では、まず基本問題集をくり返して2~3回転させてください。初めから難しい問題集に取り組んでできない問題ばかりだと、勉強が楽しくなくなってしまいます。問題のレベルは簡単なものの繰り返しから始めてください。ある日、目からうろこが落ちるようにすっきりと理解できるようになります。試験はクイズです!ゲームです!信じた教材を繰り返しとことん使えば、必ず合格します。

・分からない場合は悩まずに答えを見る。そして覚えてしまう。
・結果の出来不出来はまったく気にする必要がない。問題をひたすら解いていくうちに、記憶と理解がついてくる。

■知識があれば合格するわけではない■

 試験に合格するということと、その分野の知識が十分にあるということは必ずしもイコールではありません。試験というのは、試験内容に関する知識がある程度あれば合格するのです。試験は水ものであるとよく言います。ふたを開けてみなければ分からない部分があります。十分知識を持っていても、受かる人と落ちる人がいます。反対にあまり知識を持っていなくてもたまたまその日の試験と相性がよく受かる人がいます。試験というのは「結果」がすべてなのです。出題される内容を「理解」するのも大事ですが、まずは「合格」しなくては意味がないのです。
 十分な知識は、試験に合格してからじっくり勉強すればいいのです。だからよく分からない部分にはあまりこだわらず、テキストや問題集に沿ってどんどん前に進んでいくほうが結局は早道なのです。
 どんな試験でも、合格するために満点を取らなければならないわけではありません。7割の点数が取れれば合格という試験で、100点を取っても同じ「合格」という枠に入るだけなのです。1番で合格しても、最下位で合格しても結局は同じなのです。理解をするということより、確実に合格点を取ることを目標に「記憶する」ことが早道なのです。


・試験に合格するには試験に対する一定の知識があれば楽に合格できる。

■同じ教材を何度も使う■
記憶するには繰り返し、脳に働きかけることが大切です。最後までやりぬけるテキストを見つけて、それを何度も使いこなしてください。1度目を通しただけで覚えられる人はいません。人間は繰り返し学習をすることによって、理解を深めていくのです。
エビングハウスの忘却曲線って知っていますか?記憶と忘却の時間的関係を測定するために「子音・母音・子音」の意味のない3文字綴り(「YUN」「MEG」のようなもの)を暗記し、一定時間経過後、どの程度思い出せるかを実験によって調べ、この結果をグラフ化したものです。
この曲線からわかるのは、6日後には4分の3を忘れているということです。意味のない3文字綴りを覚えるという実験なので、勉強で覚えることはもう少し頭に残っているかもしれませんが、しかし、時間とともに記憶は薄れていくということは確実です。だから繰り返し学習が必要なのです。何度も繰り返すことで忘れる度合いが確実に減っていくのです。

・記憶にはかけた時間よりも、繰り返した回数が重要。

■合格する教材とは?■

 試験に合格するためには、いい教材を選ばなければいけません。それには5つのポイントがあります。
①自分の目的に沿った内容である。つまり合格できるような内容であるということ。
②自分の実力より少しだけレベルの高い内容であること。簡単すぎても難しすぎてもダメ。
③楽しく勉強できる工夫がある。
④そして最後までやり遂げられる分量のもの。
⑤五感を刺激する教材
特に、勉強癖のついていない初心者にとっては、分厚いテキストだけでは、途中で挫折するのは目に見えています。最後までやり遂げて繰り返すことができなければ、
記憶として定着しないのです。忘れてしまうのだったら、勉強しても意味はないのです。様々な形でアプローチできるマルチな教材を選ぶことが特に初心者には大切なことです。本だけの学習にこだわらず、柔軟に教材を選ぶことが大事です。飽きずに勉強できる工夫をし、繰り返し学習をラクに行うために、五感を刺激して脳にきく様々な手段も並行して利用してください。そうすれば飽きずに無理なく学習できるはずです。

■確実な知識は過去問から。問題集を解くことで、記憶が定着する■

 入学試験、資格試験に合格するには、過去問が最高の参考書です。試験に合格するために最も確実な知識は「過去の本試験問題で問われた知識」です。本試験の問題は、間違いや矛盾点が無いようによく考えられています。また、正答が1つになるようによく練られて作られています。だから、学習し易いのです。もし半分以上解けなくても、めげる必要はありません。くじけないで何回も挑戦してください。繰り返し解いてください。教科書の内容を単純に繰り返すより、即効性があります。繰り返し解いているうちに、過去問とその答えを覚えてしまえばいいのです。過去問は繰り返し姿を変えて出題されます。記憶が定着し、暗記すると、理解は後からついてきて応用力も自然についてきます。
 繰り返すことと同時に、五感をフルに使って、様々手段や刺激を利用することも忘れないでください。エピソード記憶として長期記憶されるためには、様々な経験が必要です。

・過去問こそが最高の参考書
・問題集を解くことは記憶を定着させるうえで、極めて効果的。
・もし半分以上解けなくても、くじけずどんどんトライする。それだけでも。勉強した内容をお経のように単純に復唱するより、はるかに頭に定着する。応用力もつく。
 
■脳は主観的判断しかできない■

 自分が記憶しているものが、どんなものなのかを考えてみると、それは印象に残っているとか、記憶する必要のあったものであるとか、何か特別な理由があったはずです。どうでもよいことはあまり記憶されません。覚えようとしたものしか記憶できないのです。目に見えるすべてのものを記憶したら、脳のメモリーはすぐにいっぱいになってしまうでしょう。脳の容量は無限大ではありません。記憶しようとしたものしか記憶できないという脳の性質は、限られた記憶の容量を主観的に利用するために必要なことなのです。覚えなさいという強い信号がきたときのみに、記憶されるのです。つまり人間は覚えようとしたことは覚えられるのです。
 また、連合学習という性質もあります。これは記憶するときに何かに関連づけて覚えるという性質です。個々の事象だけ覚えても使えません。個々の記憶は独立しているのではなく、互いに連合しているのです。私たちはある一つのことをほかのことと連合させて記憶しているのです。一つのエピソード記憶は複雑に他のエピソード記憶と結びついて記憶されているのです。

・脳が興味を示すかどうかが、頭を活用する手がかりだ。
・脳は覚えようとしたことでなければ覚えられない。

■年をとったら物忘れするというのは間違い■

 一生の間に衰えてしまう脳の割合は、たかが5~10%にすぎません。脳の潜在能力の大きさに比べれば、この程度の衰えは実際にはあまり気にする必要のないものです。また、脳を詳細に調べると、確かに神経細胞の総数は歳とともに減ってきますが、シナプスの数は反対に増えていくのです。つまり、神経回路は年齢を重ねるごとに増加していくのです。このことは、年をとったほうが記憶の容量が大きくなっていくことを意味しているのです。
 ではなぜ記憶力が落ちたと感じるのでしょうか?記憶するには、その年に見合った方法があります。中学生のころまでは丸暗記でも何とかなりますが、年をとると断然エピソード記憶のほうが優勢になってきます。この事実に気づかず、いつまでも同じ勉強法を繰り返していると自分の記憶力に限界を感じてくるのです。
 念入りな繰り返し学習とモチベーションの維持で、脳をいつも働かせていれば、いつまでも衰えないのです。資格取得など目標を持って学習することで、シニアライフは充実するのです。
 

・歳をとっても、知的能力は衰えない。一生の間に衰えてしまう脳の割合は、5~10%にしかすぎない。
・脳を詳細に調べると、確かに神経細胞の総数は歳とともに減っていきますが、シナプス数はむしろ反対に増えていく。つまり、神経回路は年齢を重ねるごとに増加していく。この事実は、年をとったほうが記憶の容量が大きくなることを意味している。
・脳はいつも働かせていれば、いつまでも衰えない。
・念入りな反復学習とモチベーションの維持で、シニアライフも資格で充実。

■脳は疲れない■

 脳は死ぬまで休みません。脳が止まったら、五臓六腑の働きが全部止まってしまうのです。寝ている間も脳は働き続けて、夢を作ったり体温を調節したりしているのです。脳は疲れないのです。
 勉強していて脳が疲れたと感じるのは、身体が疲れているか、興味のないことをいやいや勉強しているからなのです。面白いことをやっている限り、脳が疲れるということはないはずです。本などを読んでいると面白くて、目や姿勢など身体の疲れを我慢してしまうこともあります。
 だから、休息が必要なのは、身体なのです。脳の休息は必要ないのです。むしろいつも使っているほうが、なまらないのです。いつも勉強し続け、勉強に使っていることが必要なのです。
 本を読んでいるとき、人間の脳波は活動的で早いベータ波が優位になります。しかしリラックスしてテレビを見ていると、精神活動の欠如を表す穏やかで受動的なアルファ波が優位になります。テレビの視聴時間が長い学生ほど、学業成績が悪いという研究報告があるそうです。気分転換は必要ですが、脳をリラックスさせすぎることは、脳にとって必ずしも良いことではないのです。
「勉強漬け」になって、勉強に対していつも現役でいることが、脳力をアップするのです。

・脳は死ぬまで休まない。脳が止まったら五臓六腑も全部動きが止まってしまう。
・寝ている間も脳は働きつづけて、夢を作ったり体温を調節している。
・いやいやでなければ脳は疲れない。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.media-5.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/171

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2008年09月01日 13:27に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「合格するコツ②―徹底的に時間を使う」です。

次の投稿は「学習ソフトで「勉強脳」を作ろう。」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34