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次に必要なのは需要革命

昨日、NHKスペシャル「欲望の資本主義」というのを見ました。

とても素晴しいドキュメンタリーでした。

まず、冒頭で、米国のノーベル経済学者スティッグリッツが象徴的なことを話しました。

今の経済の問題は、総需要が不足し、その結果世界経済が減退している。
その根本的問題は、不平等。

つまり、富の集中によって、中間層がいなくなり、一局の金持ちに金が集中すること。

金持ちは貧乏人より金を使わない、ということ。

ここからは、私(北畠)の考え

だからこそ、中間層を増大させることが、経済発展に必要です。

そしてそこには限界があります。

人の欲望は、まずは衣食住という生活根本の欲望(需要)の消費に向かいます。

それが工業化社会の経済成長につながります。

まずは、産業革命後の欧米日本の産業の発展。それにいきづまり、世界大戦へと発展していきました。

次に、第二次世界大戦後の欧米日本の産業の発展。現代的な、自動車、洗濯機、冷蔵庫、テレビなどの現代的な家電の普及にともなう産業の発展。これは、日本がリードして、でも1990年代から行き詰り始めました。

つまり1800年初頭から始まった産業革命は1900年ころからアメリカを中心に自動車が庶民が乗るようになり、欧米日本に至っては、1950年までまたなければなりません。

つまり工業化社会が庶民生活に根付くには100年から150年かかったのです。
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1995年、クリントン政権における、ゴア構想、つまり情報スーパーハイウエイ構想が実現されると、インターネットを中心とする情報革命がおこりました。

この情報革命で、最も大きいことはBRICSといわれる、つまりブラジル、中国、ロシア、インド、中国、欧米日本以外の大国の経済成長をおもいっきり助長しました。

確かにかつて日本が、そうであったと同じように、人件費のやすさ。から世界の工場と言う役割で経済発展してきました。
しかし経済発展のもっとも大きなものは、国民が生活の現代化と呼ばれる自動車、冷蔵庫や洗濯機やテレビそして住宅などの購入です。

それが、ブリックスの経済発展に大きく貢献しているのです。

しかし、全て生活の現代化を満たした欧米諸国は、需要は満たされ、しかもインターネットの発達は拡大しない需要の中で、アマゾン、グーグル、フェイスブックに代表されるように、あらゆる生活の需要を奪って行きます。

その結果、個人商店や中小企業は消え、大企業と大富豪に集中するようになったのです。

どうしてこうなるか、というと、産業革命は当然のことですが、供給サイドの革命から始まります。

とくにインターネットのビジネスは、当初は金持ちも貧乏にも平等に訪れます。
しかし、需要がついていけず、大資本家は、インターネットビジネスでの優位性を保つために、無料でユーザーに普及させることを狙います。
今日におけるネットビジネスはそこで発展してきました。グーグルサイトもフェイスブックも利用者側は基本無料です。

最もテレビやラジオもそういう側面はありましたが。そういう意味ではテレビやラジオも情報化社会の先駆けという位置づけでもいいかもしれません。

工業化社会における産業革命も、1800年から1830年ごろから始まり、まず工場などの供給サイドで起こり、それにともない、イギリスでは、機械に取って代われた失業者たちが、ラッタイト運動をおこしました。

ラッタイト運動とは、暴徒が、工場を打ち壊したりする運動でした。
今日、情報化の進行に伴い、失業者の増大をネオラッタイトと呼んでいます。クリントン政権の時の労働長官で、「ワークオブ・ザ・ネーション」で有名なロバートライシュは、早くからこの問題を指摘しました。


産業革命は1800年くらいからスタートし、供給サイドの産業革命は素早く進行したのに、大衆は、なかなかこれを受け入れられず、供給過剰から、世界恐慌がおこり、二度までの世界大戦をおこし、やっと1950年代以降に、生活の工業化社会が浸透したのです。

今、世界は供給サイドの情報革命が進み、それに伴い、需要サイドがついていけず,格差が広がり、需要不足で、経済は行き詰まっています。

まさに、世界大戦前夜の世界そのものです。


これから、世界は、戦争に突入するのか、需要革命が起きるのか、大きな岐路に立たされています。


少なくとも日本は、先の大戦で、需要拡大で戦争を選び、国家を滅ぼしました。(太平洋戦争は日本は追い込まれた、という反論はあるでしょうが、満州朝鮮中国への侵攻は、景気対策の一環という見方は明確にできます。そのおかげで、旧財閥や新興財閥は大きく昭和初期には潤ったのですから)

その経験を生かすためには,勿論、後者を選ぶべきでしょう。


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2017年04月22日 13:07に投稿されたエントリーのページです。

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