先日、母校の中学校で当社の思考支援ツールを利用を活用した技術科の授業を行いました。
母校に行くのは、実に41年ぶりです。
耐震補強や内装や外装はリニューアルしたものの、作り、構造、は昔のままでした。
雪の降った日、中庭の氷の張った池で、氷の下で泳いでいる鯉めがけて、みんなで雪をぶつけていて、先生が現れたのを僕一人知らず、取り残されて怒られたのですが、逃げたみんなを呼び出し、逆に一人池に残ってた僕が、正直者だと褒められたのが、とても恥ずかしかったのを覚えています。
私は、最初、なんの操作の説明もなく、予備練習もなく、生徒がすぐに使えるのか、不安でした。授業が始まり、iPADminiが配られ、先生が「今日は、1年生のときに作った椅子をどのような考えから作ったかを思い出して、その考えを図にしてみよう!」との号令の元、生徒がしんとして、タブレットに夢中になって操作を始めて、夢中になって自分の考えを思考支援ツールに打ち込んでいるのが、そのしん、となった教室の空気から感じました。
そして各生徒のタブレットをのぞくと、(手元の自分のタブレットで、生徒全員の動作が見れます。)この授業のすごさが、だんだん見えてきたのです。
ご指導いただいている埼玉大学の山本先生がいつもおっしゃっている「児童生徒の思考の見える化」です。
いままでは、小中学校では、もちろん、優秀な先生は、児童生徒の思考力をつけさせるように、授業を進めてきました。
授業でまず問いかけを行い、生徒に疑問点を感じさせ、一人ひとり考えさせるのです。
どんなに考えさせても、児童生徒の評価は、中間、期末テストで、点数としてしか、評価されません。というよりできません。
ここが欧米先進国の、マンツーマン的な考える授業とは大きく異なるところです。欧米では基本ディベート中心で授業が進みます。しかし、日本は先生が授業の進行をコントロールします。
私が、20数年前、コンサルティング会社(後の日本総研)に入社したとき、研修で思考法なるものを徹底的に教育されたとき、なんて高校までの教育が無駄だったのだろう、と感じました。
幸い大学は、当時、意欲のある若い教授や助教授であり、社会科学でも法律、経済、倫理、社会学と別れた研究室での交流も多く、ディベート中心の授業が主でした。
社会に役立つためには、より考える授業が大切であることを大学卒業後に感じていました。
このコンサルティング会社の新人研修こそ、子供からやっていかなければいけないこと、と感じたのです。
しかし、日本の教育制度をドラスティックに変革することは、いまの現状では不可能です。そもそも現場の先生の権限が大きく、校長には人事権もありません。
それはそれで、素晴らしい制度だとは思いますが、とにかく方向転換することは難しいシステムです。
従来の教育システムでの問題点として、この間、日本総研と東京大学との共同研究発表がありました。日本の最高学府である東大生の任意をアンケートをとり、世の中の大学生との比較をすると、東大生はルーチンワークのみ、優れていることがわかりました。
そこで、東大と日本総研でそういう学生にいかに創造性をつくる研修カリキュラムができるか、共同研究をしているそうです。
難関大学で試験に合格するだけのテスト対策勉強を子供のころから繰り返し繰り返し行った結果、我慢強く、ルーチンワークを長時間こなすことが最もすぐれている、という結果なのです。
ハーバードやマサチューセッツ大学が世界中でインターネットで無料の大学の講義を行い、世界中の天才少年少女を集め、教育し、自国の科学や産業に生かそうとしている今日、日本の最高学府でのこのアンケート結果は非常に問題です。
私は、やはり創造性は子供のころから培っていかなければ、難しいのでは、と思います。
そこで、現状のシステムを壊すことなく、先生もすぐに導入できるように、山本教授の指導のもとに、この思考支援システムを3年前から開発しました。
従来の授業の方法は下図のように、教師による一方的な教育になりがちですが、思考支援ツールを活用することで、生徒は常に全員が思考し、それを思考支援ツールで表現しながら、インタラクティブに授業をおこなうことができます。またそれを記録し続けることもできます。
話をもとに元しますが、
まず、生徒は、椅子を製作するにあtり、誰が座るか?予算はいくらか?材質は?どこに置くか?時間は?という言葉を並べる。
勿論みんな初めての試みなので、質的にもバラバラです。
テーマは「椅子を制作するとき意識したこと」
生徒は、初めての思考支援ツールを触ったのですが、かなり複雑なフローチャートを、45人の生徒すべてが15分という短期間で作り上げました。
先生の操作の説明も1分程度でした。
この授業を参観して感じたのでは、技術科の授業が単に椅子を作るという授業から、生徒が社会人になった後、必要となるべくマーケティングやマネジメントの授業に、一瞬に飛躍したのです。これも山本教授の言う「思考の見える化」のなせる業であることが、今回の授業で実証されました。
将来的には、思考支援ツールは、そのまま生徒の学習履歴として、保存できますので、それを希望高校や大学には、生徒の許可をもって閲覧させ、採用の参考にすることも可能です。
アクティブラーニング、創造性豊かな人材育成への教育改革は、こういうツールの導入だけで、大幅に進歩していくことができる、と確信した授業でした。
思考支援ツール。ご関心のある方はこちらへ
http://www.media-5.co.jp/sikou/