トランプの勝利はやはり衝撃でした。
米国の富の9割を握るエリート層がこぞってヒラリーを支持するなかで、
しかも共和党までヒラリーを支持するなかで、
白人下層にターゲットを絞り、排他政策、国内支持で訴えたトランプは勝ちました。
話は大きく飛びますが、今日、NHKスペシャルで「宮崎駿は終わらない」というドキュメンタリーを放映していました。
あれだけヒットを飛ばし、大変な興行成績を残したジブリが本当に閉鎖されていて、スタッフがいなかったことにも驚きました。
そして引退したはずの宮崎駿が、ちかくの自分のアトリエで一人で、細々と仕事をしているところから、そのドキュメンタリーは始まったのです。
スタッフのいなくなった宮崎駿はCGで新しいアニメをチャレンジしよう、という話でした。
CGは、なかなか手書きのアニメのようにはいかなく、ことごとくCGスタッフに、宮崎はだめだしを出していました。
でも、いろいろ試行錯誤をおこない、宮崎まで、75を過ぎて、初めてCG制作に手を出そうとすらしていました。
やっぱりCGでの製作は無理なのでは、鈴木プロデューサーと話し合ったりもしていました。
長編作品も企画し、鈴木プロデューサーに渡していました。
ある日、角川ドワンゴの社長が、ゾンビをCGでAIを活用して動かす映像を宮崎に見せに来ました。
その映像を見て、宮崎はあからさまに、とても不愉快だ、っと言い放ちました。
この映像には、人の痛みとか、心がない!そんなの見たくない、といったのです。
もちろんドワンゴの社長は動きを見てもらおうとしたのですが、それ以前の問題で宮崎に否定されてしまいました。
このシーンはとても大きな啓示を、僕に示してくれました。
どんなにテクノロジーが発達して、人工知能があらゆることをしても、火星に人間を飛ばしても、なによりも大切なのは、人の心を動かすことなのではないのか。
人の痛みを分かち合うことなのではないのか。
宮崎駿は、「人生の喜びを共感してもらう映画をめざしている」と言います。
そこが宮崎映画が常にメガヒットになる原点なのかもしれません。
それを考えると、
私たちは、技術の進歩がビジネスを作る、と考えるのは誤りなのではないでしょうか。
ビジネスとして価値を生み出すものは、人の心を動かすものなのです。
どんなに富と権力をヒラリーが味方しても、「俺は、低学歴者が好きだ!」と叫んだトランプが大衆の心を動かし、最後は勝ったのです。
同じように、人工知能が小説や映画を作れる時代になっても、大切なのは、大衆の心を動かせるか、なのです。
そこがとても重要なのでしょう。
もちろん大衆の支持は、時として間違えることも多いです。
ヒトラーは大衆に熱狂的に支持されて、独裁国家をつくりました。
日本の戦前の軍隊も、おなじく国民の強い支持が、太平洋戦争を後押ししました。
しかし、それが正しいにしろ、誤りにしろ、大切なのは、人の心を動かすことで、
ことビジネスは、そのことが最も重要なのだ、と思います。