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三島由紀夫「ライ王のテラス」と天空の城ラピュタとアンコールワット

三島由紀夫「ライ王のテラス」という戯曲をご存知ですか?最近宮本亜門の演出、鈴木亮平主演で今年三月に上演されました。

三島由紀夫「ライ王のテラス」という戯曲をご存知ですか?最近宮本亜門の演出、鈴木亮平主演で今年三月に上演されました。

三島由紀夫最後の戯曲であり、先のブログでご紹介した最後の小説「豊饒の海 第三巻 暁の寺」の取材に三島が1970年にタイに行ったあとに、カンビジアに足を延ばし、アンコールワットに行って、そこで着想して書いたそうです。

題名がセンシティブなのか、本は発禁となり、今は、三島由紀夫全集25巻でしか見られないそうです。
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ストーリーは日本では鎌倉時代を同時代とするクメール王朝の国王 ジャヤーヴァルマン7世が遠征し、勝利し、アンコールワットの隣接しているところに、バイヨン神殿を作るところから始まります。
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(アンコールワット)
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(バイヨン神殿)
しかし、王宮の場所や向きが悪い、と占い師に反対されながらも、王は王宮建設を着工します。terasu1.jpg
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(ライ王のテラス)

それが原因かどうかは定かではありませんが、王はライ病に侵され、人前に姿を現さなくなります。
そうしているうちに、側近の宰相は、王を暗殺しようと試み、王の生みの母は宰相とねんごろになり、王を殺して、もう一度生みなおそう、と試み、第2王妃に、王の暗殺を命じます。

しかし第2王妃はそれを拒み、しかし宰相に犯されそうになります。 そこを王の母が宰相を背後から刺し、宰相は死の間際に王に、自分と第2王妃は密通していた、と嘘をついて死んでいきます。

王は誰も信じなくなり、ナーガという蛇神を妃として、誰も近づけようとはしません。
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(蛇神ナーガ)

いよいよ王に死が近づき、王は死ぬ間際に、自分の健康な時の若い肉体の王の幻を見ます。

そして王の精神と肉体の対話がはじまり、肉体は肉体の不死の勝利を主張し、精神は精神の永遠の勝利を主張しました。

しかしついに、王は死にます。塔上の若く美しい肉体は自らの勝利を讃え、「肉体こそ永遠なのだ。青春こそ不死なのだ」と言いました。

三島は、市ヶ谷駐屯地での自死を決意し、自分の精神と滅びゆく肉体に問いかけていたのでしょう。

確かに、三島の精神は死後50年経とうとしている今日でも、いや今日こそ、予言者の復活のごとく燦然と注目されています。

これだけ、死後50年たっても、いまだに映画や劇で上演される作家は、空前絶後でしょう。


話は飛びますが、天空の城ラピュタを見たことがありますか?

かつて栄えていた都市が滅び去り、壊れたロボットがなまなましく、ときどき忘れたように動く。

アンコールワットへ行った時、ラピュタを思い出しました。

まさにラピュタの世界が繰り広げられていました。

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アンコールワットがいつ滅びたか、はっきりわかっていません。タイに滅ぼされたとも、南に王国の首都を移したとも言われています。

アンコールワットが発見されたのは19世紀、フランス人によってジャングルで見つけられました。

アンコールワットの壁画の天地創造は、日本の古事記や日本書紀の天地創造ととても似ています。

歴史学者トインビーによると、文明のサイクルは、自然環境と優れた指導者が現れて誕生し、自然環境や人口増加、隣国との戦争などの問題解決する過程で成長し、問題解決に失敗して衰退を始め、内乱やクーデター、隣国にとの戦争で滅ぼされるそうです。

企業も似たようなものですが。

しかし文明が栄えている時間は本当に一瞬です。

ちなみに最強の恐竜Tレックスは、3000万年地球を支配していました。人間はせいぜい20万年。文明が生まれたときを考えると、せいぜい一万年です。

そんなあっと言う間の時間で、人の一生はさらに一瞬です。

アンコールワットには、江戸時代に森本一房という日本人が祇園精舎と間違えて出かけたそうです。

祇園精舎といえば、平家物語
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の鐘の色 盛者必衰の理を現す おごれるものは久しからず ただ、春の夜の夢の如し 」
アンコールワットの回廊には、さまざまな歴史を刻んだ叙事詩が描かれています。

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人の少ないこの回廊の石の彫刻を眺めながらあるいていると、本当に人間の肉体は一瞬に滅びるのだなあ、と感じます。

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「ライ王のテラス」の主題が身に染みて感じます。

回廊の石の彫刻を眺めていると、突然激しいゲリラ豪雨がふり注ぎました。こちらの通り雨は降る時間は短いのですが、降るときは、バケツの水を流すがごとく、降り注ぎます。
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現世で右往左往する私たちも、アベノミクスも、大恐慌も、中国や北朝鮮問題も、国債暴落の恐れも、そして地震すらも ただ春の夜の夢の如しです。

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