先のブログで述べましたが、中学生以来、僕が繰り返し読んできた二大文学者は小林秀雄と三島由紀夫でした。
三島由紀夫の最後のテーマは輪廻転生であり、小林秀雄は本居宣長でした。
一見小林秀雄は霊的な話には、残した文章の中には、大きく触れていないようですが、講演では、よく魂の問題として強調していました。「信じることと考えること」という新潮からだしている小林秀雄の講演集に冒頭で次のようなことを叫んでいます。
「魂があるかないかって?あるにきまっているじゃないか!」
やはり、大真面目に考えても、魂すなわち霊の問題は考えなければなりません。
教育とはなにか、大学の教育学部に入り、そして日本総研で企業教育を考え、教育ソフトの会社起こして23年、やっぱりシュタイナーに行き着きました。
シュタイナー教育というのをご存じですか?
2007年9月にこのブログでご紹介したことがあります。
パソコンを利用した教育はシュタイナーに学ぼう
http://blog.media-5.jp/kitabatake/2007/09/post_14.html
当時はシュタイナーをなかなか理解できませんでした。
そして霊的なことを、ブログのような公の場所で述べることは、とても抵抗があってできませんでした。
あれから実に9年が経ちました。
時のたつのは早いです。
いまだに、密教と同じで、よくわからないのですが、きわめて密教と共通するところが多く感じられます。
シュタイナーは言います。
「教育とは、生まれる以前の私たちになされていた活動を再び取り上げることなのです。」
(ルドルフシュタイナー教育講座1 教育の基礎としての一般人間学 高橋巌訳 P35)
話は跳びますが、昨年3月末に父が倒れ、集中治療室に1か月入っていたときに、父の意識は混濁していましたが、面会できる1時間、父が他界するまでの一ヶ月間、毎日父の手を握っていました。
脳裏に浮かぶのは、幼い自分を寝かしつけるときに子守歌を歌ってくれた父、そして小学生の時、初島へ家族旅行へ行ったとき、夕暮れに散歩していると、スイカ畑で、父が500円札を農家の人に渡して、スイカをもらって旅館に帰ってくるときのシーンです。
親が死にかけているとき、つくづく感じるのは、親は肉親なんだな、ということです。
自分の肉体が受けているように、親の苦痛がそのまま自分の苦痛になっている、と感じます。
ここにDNAのつながりの不思議を感じます。
自分の元となるDNAが死にかけているとき、あるいは死んだあと、自分人生の大きな転換点のような気がします。
それは、もう、自分は子供ではいられない、という転換点なのでしょうか。
それと親から子へ、子から孫へ、生物が生まれた太古より、DNAの継承の鎖の一番近親の鎖を失おうとする、人生最も大きなイベントなのかもしれません。
子供が生まれることも大きなイベントかもしれませんが、親が死ぬ瞬間はその長い思い出と、無償に与え続けてくれた愛情の一つが消えゆく事実が、とても大きな喪失感として降りかかります。
それこそが体感するDNAのつながりなのかもしれません。
親の臨終が自分の生まれる以前のことを知る手掛かりになるとは思いませんが、生物学的な現実を目の当たりにすると、自分はDNAという鎖の一部であることを実感します。
36億年前に地球が誕生し、大気が生じて、水ができ、生物が生まれて、陸へあがり、猿人から人になって文明が起こり、有史になって江戸、明治、大正、昭和、平成へとつづく。
その間、DNAが絶えることなく面々と続き、春夏秋冬、潮の満ち引き、様々な二律背反を繰り返して現代にいたる。
人も共感と反発を繰り返しながら一人の人生が終わりながら、親から子供へ、子供から孫へとつながっていくのです。
そうしたなかで、時代は変わり、その時代にあった教育され、学習をおこないながら、人は経済活動を行い、子供を育て、子孫へと続くのです。
教育は、そうした大きな観点からも考察していかなければなりません。
シュタイナー教育はそういう観点から考案された教育メソッドのようです。
幼児から小学、中等教育、大学を経て、企業研修にいたるまで、教育と学習は続きます。
どうしても目先の受験や金儲けのための教育に人の関心は集まります。
しかし、本当に効果のある教育を実行するには、当然大きな自然の摂理を考えることが必要でしょう。
企業研修をして、ビジネスとは何か、プロとは何かを一生懸命時間を割いて研修しても、社員が感動して、共感してなければおそらく無駄な時間となるでしょう。
それどころか、仕事の明確な目標と実行、そして上司のきちんとしたチェックがなければ仕事はお金を生まないでしょう。
私は学校より、企業教育の方が有効と思っています。それは目指す目的が明確に同一だからです。
とにかく人を変えることは簡単ではありません。
できることは、線路の連結器のように、方向を変えて、その人の人生のステージを変えることです。
だから本当に難しいですね。