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分配の法則2:君主論から学ぶ

マキャベリの君主論を読んだことがありますか? 君主を社長に、国を会社に置き換えると次のようになります。特に現代に通用しやすい内容を抜粋しました。( )内は私の勝手な解釈です。

抜粋1
会社を安定させるもっとも有効な対策のひとつは、社長がオフィスや現場に机をおくこと。こうすれば、社内は安定する。
(現場の雰囲気や会話は経営上の大切な定性情報です。また社長が現場にいると、野心家は企みにくくなる。野心家は社長への情報伝達を、いつも自分の有利な言い方で行います。可能ならばその人の仕事ぶりを直接見て評価するに限ります。)

抜粋2
社長が与える給料や報酬に対してそれなりの感謝を期待しても、社員は不満を持つ。その理由は、報酬を与える側の傲慢と、受ける側の傲慢が、報酬の値段について折り合えないためである。
(分配の最も難しいところです。)

抜粋3
社長は陰謀からわが身を守ろうとするならば、自分がえこひいきしていた人物こそ、十分警戒をしなければならない。
(不平等は、損する人に不満を与える危険性以上に、得する人を甘やかし、理不尽な考えを抱かせる危険性のほうが怖い。)

抜粋4
社長は自分に関わるあらゆる人に重大な侮辱を加えないように心がけなければならない。
(上から下への侮辱は、気がつかないうちに水面下で重大な問題を引き起こす原因となる。特に上がジョークと思って言っていることが、下には大変な侮辱として取られ、強く恨まれるケースは多い。)

抜粋5
反乱はほとんど成功しない。それは反乱が一人ではできないからである。つまり誘う人に、現状以上の成功報酬の約束をしなければならないが、実際、反乱を実行することすら困難なのに、実行後に成功報酬を満足に出すことはほとんど不可能なのである。
(永遠の真実)

抜粋6
社長が注意しなければならない相手は、少数の野心家だが、彼らの野心に対する対策には、いろいろな手段があり、それほど難しくはない。
(しかしそれを知っている人は、そのノウハウを絶対人に公開しないでしょう。でも私は公開します。Next Revolutionを導入しましょう!)

抜粋7
乗っ取る会社内の社員を利用して会社を手に入れた場合、それに荷担した社員は後々問題をおこす。なぜなら新社長はとうてい彼らの期待する報酬に応えられないから。 それに裏切りやすい性格の人材は誰も危なくて使えないでしょう。経営者は、多少無能でも信頼できる人間を社員に選びます。
(裏切りやスパイ行為を他社から誘われてどんなに成功しても、あとで切り捨てられるのが離反スパイの末路であることは、いつの時代でも変わらぬ真理。だからこれだけは確実に身の破滅。)

抜粋8
上記のことから、元の会社に不満をもち、そのために乗っ取る側の社長に通じ、乗っ取りに手を貸した人々を味方にするよりは、旧政権に満足していて、新社長を敵視した人々を味方に引きつける方がはるかに安全である。
(前の会社の社長の悪口を言う人物を採用すると、たいてい失敗します。)

抜粋9
もっとも懸念しなければならないのは、お追従者である。自己愛こそはあらゆる追従者のなかで、もっとも気をつけなければならない。人間は自分のこととなると、実に身びいきである。この点をつかれると人にだまされる。
(お追従者を引き連れて、いつも飲み歩いている社長は必ず滅ぶと思います。)

抜粋10
天の使命を感じなければ、社長になってはならない。天の使命を感じている間は、社長は天の使用人になれる。
(至言ですね)

社長やリーダーの方はご参考になったでしょうか。君主論を書いたマキャベリは15世紀から16世紀にかけてのイタリアの政治思想家です。ローマの歴史を丹念に分析してまとめ、メディチ家のロレンツオに献呈した政治論です。有史以来、組織の中の人間の感情と行動はまったく変わらない、ということでしょう。

人間は感情的な生き物です。そして組織の中で自分を有利な立場に持っていこうとすることは人間の本性です。争いや分裂や陰謀はそういう人間の本性のぶつかり合いでおこります。

陰謀家は人の恨みやコンプレックスを巧みに利用します。そして人情家を装い、同情やおだてで人を誘います。極め付きの言葉は「僕たちの会社を作らない?」と周囲を誘います。しかし野心家はだれよりもあくなき野心をもっています。最後は、その周囲の人たちを蹴散らし、「僕」の会社にしてしまうのです。

シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」は読んだことがありますか? カシアスはシーザーの暗殺の企てにブルータスを誘うとき、まずブルータスが、いかに民衆から人気があり、求められているか煽てます。そして次に正義と平等を前面に出し、シーザーのささいな欠点を責めます。シーザーが溺れかけたことや、発作をおこして醜態をさらしたことなどです。

ブルータスはシーザーにかわいがられていたにもかかわらず、シーザーにどこか嫉妬心を持っていたのでしょう。シーザーはブルータスをかわいがり、カシアスを嫌っていました。カシアスが陰謀を持つのは当然としても、ブルータスはシーザーの寵愛を受けているがゆえに、自分の能力や魅力を過信してしまったのです。トップからかわいがられることに慣れると、自分はトップ以上の能力を持つ、と錯覚するのです。本来リーダーの仕事能力と実務の仕事能力は別物です。つまり抜粋3の教訓です。カシアスはブルータスの心の隙間に情をもって入り込みます。そしてシーザーの暗殺は実行され、あの有名な「ブルータス、おまえもか」ということになります。

抜粋6で野心家を封じるには、「Next Revolution」を利用することをお勧めしました。
君主論で言っていることは、トップは公平、平等に組織を治めなければならない、ということです。極論をいえば人よりシステマティックに組織を治めることが理想かもしれません。だから「Next Revolution」こそ、組織を公平、平等に治めるためのツールなのです。

人と人の関係は、目に見えないシステムで結ばれています。親と子、妻と夫、部課長と部下、社長と社員、経営者と株主、会社と顧客などなど。そしてそのコミュニケーションは言葉や文章で伝達されます。しかしコミュニケーションが届かないところがあります。そういうところは人間の信頼関係や正義感、理屈や道理で補います。しかし野心家が、ひとたび悪用しようとすると、確実なコミュニケーションの届かないところを狙います。だからそこをITで補う必要があるのです。

なぜそんなこと言い切れるか、ですか?
そう、読者の皆さんはもうお気づきかもしれません。私は5年前、社員の造反で、本当に痛い目に会いました。組織を感情や正義で治めることの限界を知りました。そして5年がかりでこのシステムを開発したのです。今はすばらしい社員たちと目標をひとつにして、仕事にまい進しております。

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2007年10月26日 00:40に投稿されたエントリーのページです。

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