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分配の法則

先日、ある人との会話でこのようなことがありました。その人いわく、メディアファイブは「小学生、中学生に教材を提供して、何十年か後に世の中がよくなることを目指せばいい」と言うのです。私は即座に否定しました。生徒を啓蒙するのは先生の役割です。当社はソフトメーカーです。小、中学校では先生が必要な「道具」を提供する以外は越権行為です。

たとえば、クラスで学習意欲をなくした子供がいれば、能力別出題や、繰り返し学習の苦痛を取り除くためのゲーム学習、授業の復習をスムーズに行うために、家庭用ゲーム機でも学習できるしくみ、対戦モードで授業を盛り上げ、授業についていけない子供がいれば、学年を超えた学習ができるリメディアル。

なによりも是非みなさんにお試しいただきたいのは「編集機能」で、自分の関心をもつ事項をネットやデジカメで集めてのオリジナルな教材づくりを、児童、生徒一人ひとりに行っていただきたいのです。そういうところから社会と学校での学習とのつながりを発見し、勉強が楽しくなり、世の中で役立てる勉強もできるようになるのです。メディアファイブは学校現場、家庭学習の現場での問題点を分析し、それを解決するために学習する方法やノウハウなどの「システム」を提供する会社なのです。

しかし当社が取り組んでいる、もうひとつ大きな事業があります。それは利益を「分配」するシステムの開発です。企業において、人の評価はすなわち分配するための評価といって過言はありません。これがとても難しいのです。社員の不満も、会社の問題も、重要なものはほとんどここから派生します。

富(利益)の分配はあらゆる歴史上、あらゆる社会でもっとも重要な問題です。いかに富の分配を的確にするかが、国の、社会の、企業の盛衰を決めます。日本の影の絶対権力が旧大蔵省であることは周知の事実です。税金を配分する省に国家権力は集中します。会社や官庁でも規模が大きくなるほど人事部に権力が集中していることがままあります。人事とは役職だけでなく報酬も決定するからです。

その「利益の分配」において、社員の不満を少なくし、組織を向上させ、社員も向上させ、それを通して社員のよりどころを作るシステムを開発しました。人材開発型グループウエア「Next Revolution」です。

その特長をご紹介しましょう。これは当社で導入実験して2年目になりますが、とても大きな効果が出ています。一見社員の管理が徹底され、社員はやりづらそうなのですが、実は社員の「心の安定」に大きく貢献しているところです。このシステムで、社員一人ひとりの1年間の実績や仕事の足跡、努力をすべてもらさず、公平に評価できます。不満があれば、その足跡を見せながら、上司に訴えればよいのです。評価を人に頼っている今までのやり方だと、どうしても偏った評価になります。上司はもっと部下に働いてほしいと思うし、部下は自分の上司にもっと自分の仕事を認めてほしい、と思うのです。

人は当然、自分のために働きます。そのもっとも大きな原動力は「報酬」です。仕事はすべて「報酬」に直結していなければ、おろそかになります。いろいろな人が集まる組織で仕事をする場合、あらゆる構成要素を「報酬」に直結させることこそ、マネジメントの重要なものといえるでしょう。

仕事の構成要素には、利益追求、経費節減、職場や仕事の改善・工夫、技術や仕事を磨く(学習)、部下への教育、リーダーシップなどがあります。しかしこれらの要素のうち、利益追求以外は、ほとんどが人事評価というシステムでひとくくりされます。それはリーダーに頼った、実に大雑把で問題ある評価なのです。それが働く人たちの不安や不満をつくってきたのではないでしょうか。システムによって、働く要素をきちんと定めた角度から評価できれば、個人の成長は見違えるほどのものになるでしょう。

三国志で有名な曹操は「道とは教令をもってこれを導く」といっています。つまり会社の方向性は教育と命令によって動かさなければならない、ということです。普通は命令だけですが、命令と教育によって組織も、人も成長させることを目指したのでしょう。それゆえに曹操は、最後は三国の中の勝者となって中国に魏を打ち立てることができたのでしょう。

「教」とは単に人や組織を成長させるだけのものではありません。人によりどころを作ることができるのです。自分はこの組織に使われるだけでない、ここで成長し、活かされている、と感じれば、そこはよりどころとなるのです。しかも公正な報酬が得られるならば、さらに前向きに活動することができると思います。

冒頭で小、中学校のシステムについて触れましたが、社会が腐敗していれば、どのように小、中学校のときにすばらしい教育がなされても意味がありません。長尾龍一氏の「憲法問題入門」の序文に「サラリーマン川柳傑作選」というのが載っていました。
やれ打つな頭はそんなに出ていない
肩書きがなくてアイデア横取られ
尻尾ふるポチに自分の姿見る
・・・などなど。

今の日本では、夢と希望をもって社会に入っても、幻滅する度合いが増えるだけです。まずは企業や社会での分配の法則がきちんと確立されることが、教育の第1歩だと思います。つまりお父さんの教育がまず必要なのだと思います。

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2007年10月24日 22:19に投稿されたエントリーのページです。

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