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分配の法則3 ITを活用して評価するメリット

先の「番外編」における、「歴史上の多くの為政者が、富の再配分を宗教の力で解決しようと考えた」という弊社・田中部長の指摘は、なるほどと思います。端的に言ってしまえば、「神はあなたの行動をすべて見ています。あなたの行いに対する報酬が、現世で不足していたのならば、来世で払いますよ。」ということでしょう。歴史上世界中で、多くの為政者たちが部下や領民に対して、そういう形で宗教を利用し、欲望をコントロールして不満を抑えてきたことは確かでしょう。

宗教における富の再配分と、人が行う富の再配分と、ITが行う富の再配分はどのような点で異なるのでしょうか。人が富の再配分を行う際、それを満足いくように行うには、大変な能力と慎重さが必要です。そしてかつては宗教の力で、人を評価・判断する人間の能力の限界を補いました。

戦後、高度成長期の日本では、終身雇用、年功序列、企業ブランドという会社教が、宗教の代わりをしたのかもしれません。若いときに安月給でこき使われても、長い年月我慢して働けば、出世もでき、年金ももらえるということで、サラリーマンは我慢してきました。

しかし、年功序列、終身雇用、年金までもが崩壊しつつある日本の企業社会で、人が行う不正確な評価への不満を解決することはもはや不可能です。ITの活用で、少しでも正確な評価を心がけることが大切です。

ITの活用は、人間が判断する能力の限界を補います。たとえば「Next Revolutionv2 則天」は自分の活動した仕事の履歴が残ります。どのような仕事を何時間したか。どのくらい経費を使ったか。どのように仕事を改善したか。仕事の能力を向上するためにどのくらい努力したか。これを単に自己申告で「報告」するのではなく、実際、チームのなかでこのシステムを活用しながら計画を立て、仕事をするので、正確な個人の仕事の履歴が残るのです。

そしてその仕事の履歴結果が、どのような利益をもたらすのかが、ひとつひとつの仕事ごとにわかります。リーダーはその定量的データに、仕事の質という定性データを「評価」という形でインプットすれば、自動的に配分が決まります。

つまり利益の配分はシステムに仕組まれているので、リーダーは仕事の定性的評価だけをすればよいのです。
今まで、リーダーに気に入られるよう心がけ、リーダーの前でだけは完璧に仕事をし、結果さえ出せれば、よい評価をもらえました。しかしそれでは本当の仕事の評価にはなりません。自分の仕事の履歴が残ることにより、自分の仕事の積み重ねの歴史が残り、それはどんなリーダーが上につこうと、会社のシステムに変わることなく存在するのです。

ひとつ注意しなければならないのは、リーダーシップに欠け、つねに会社を自分のためだけに利用しようとする中間管理職ほど、このシステムに抵抗することです。なぜなら自分で部下を評価する裁量が減るため、部下への強制力が弱まると感じ、自分の権限が維持できなくなると考えるからです。

派閥を作るうえでもこのシステムは不都合に働きます。また下の人のアイデアを横取りしたり、下の人間の考えを曲折して上へ伝えたりすることも、掲示板という存在があるためにできなくなります。そういう姿勢の中間管理職こそ、組織にとってもっとも問題です。

君主論で述べた造反はこういう社員が起こします。それを未然に防ぎ、排除できることもこのシステムの最大の長所でしょう。

ITが万能とは思いません。しかし組織的な行動の訓練や、思想教育、宗教教育を受けていない日本では、チームで付加価値を上げる、そしてリーダーシップを高めるシステムをいち早く導入することが不可欠のように思います。

今、人事システムや営業支援システム、経営システムを連結させる動きが、大企業を中心に出始めています。来春にはじまるJ-SOXの施行は、それに拍車をかけています。しかし企業の中で既存のシステムを連結させることは膨大な費用と時間がかかります。またSaasの出現は、従来のシステム構築の意義をゼロベースから考えさせるインパクトがあります。まずはCSV形式などで、気軽に売上げや経費のデータを取り込めるシステムを利用して、社員の生産性を毎月提示し、改善や生産性の向上にひとりひとり励んでいける土壌をつくることが大切だと思います。

「Next Revolution」をぜひ、お気軽におためしいただけたら、と存じます。


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2007年10月29日 06:52に投稿されたエントリーのページです。

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