« 価値連鎖 | メイン | お客様が「お金を出したくなる商品やサービス」とはーどうしたらヒットを出せるか考えてみましょう。 »

国家的危機における、個人、企業の戦略 まずは環境適応能力ある組織に属すこと。

今は大変な国家的危機にあります。にもかかわらず、評論家や経済学者は経済の落ち込みに対し、楽観しています。私もシンクタンクの研究員の端くれだったからわかりますが、こういう危機のときほど、こういう人種ほど当てにしてはいけない。彼らは、頭で考える。実感をしていない。阪神大震災のときの景気回復データをもとにシミュレーションして涼しい顔をしている。

しかし、今までのデータは全く通用しません。原発事故による、放射能の問題があるからです。スーパーマーケットにいくと、野菜も魚も、肉も、乳製品もありません。国産品が値崩れしているのです。街も暗く、外食を控える人も多くなりました。外国からの観光客も激減し、国内旅行に呑気に行く人もすくない。関東では、電力不足で、企業の活動も制限される。連日の余震は次の関東大震災や東海、東南海地震への不安をさらにかきたてる。その地震がまた新たな原発事故を引き起こしかねない。

経済は人や社会の空気のモチベーションできまるのです。農業も外食産業も、観光も、製造業も、あらゆる業種で影響しているのに、経済の落ち込みが、0.1パーセントどまりですむわけはないでしょう。勿論復興需要はあるでしょう。しかしその効果は最短でも半年から1年後からでしょう。これから、年末にかけて、大変な経済の落ち込みがあるはずです。

会社を起こして18年、其の間阪神大震災、9・11、リーマンショックなど信じられないような出来事が、何度も続きました。私自身いろいろその度ごとに苦労しました。しかしそれを乗り越えるごとに当社も成長したように思います。なによりも、頭で考えるのではなく、体感する事が大切なのです。体感とは、責任と行動から生まれるのです。今の日本の悲劇は、実際国を動かしている、官僚、大企業、マスコミのエリートたちは、行動力のある人が少ない事が原因かもしれません。今回のできこごとは、最大の苦労を覚悟して、最大の成長を目指すときなのです。

このようなまさに思っても見なかった乱世にはどのように生き抜いて行けば良いのでしょうか。というか、いままでが、あまりにも平和すぎたのです。まず考えるべきことは、これから先、いかなる将来が待っているか、それに対してどのような行動を取るべきか、松竹梅と考えることです。

まず最も大切なことは、生き抜くための組織やチームに属しているか、ということです。人は一人ではきわめて弱い動物です。群れをなして、チームを組んで行動することにより、あらゆる地上の動物や自然に打ち勝ってきたのです。

そしてあなたが属しているチームは環境適応能力に強いか、どうかです。もっとも優れた組織の優劣は環境適応能力にあります。それは、みなさん、生物学的にも依存はないでしょう。

それでは自分の属している組織が、環境適応能力に優れているかどうか、をどう判断すべきでしょうか。まずは明確なビジョンを持ち、実行力、指導力のあるリーダーがいるかどうかです。リーダー不在の組織は、それだけで、環境適応能力は不能に陥ります。派閥争いやリーダーが機能不全をおこしている組織からは早く脱出する必要があるでしょう。

その上で、その組織が次ぎの5点で機能しているか、です。
1,リーダーの元、権限が的確に分権化しているか。
2,コスト削減が徹底されているか。組織人一人一人に無駄を厭う気持ちを持っているか。
3,公平平等な評価がなされているか
4,システム構築はできているか。
5,公私混同がないか。

です。

1,権限の分権化とは
会社であれば、社員ひとりひとりが経営者の目線で考え、行動する、ということです。
2,コスト削減
ひとりひとりが無駄を排除する意識をもたなければ、身軽な組織になりません。
3,公平平等な評価
孫子の兵法のエッセンスでも風林火山のように組織を動かす秘訣は公平平等な評価が重要、といっています。なぜ公平平等な評価が必要か、というと、そうしなければ、当然人は主体的に、公私混同せず、組織のために的確に考えて、システマティックに働かないからです。つまり公平平等な評価はこの5つの構成要素の根幹にかかわるのです。
4,システム構築
組織がシステマティックにできていないと、あるいは属人的な組織は感情的になり、運営が滞りがちになります。
5,公私混同の排除
会社の会議でも、自分に得になるような意見しか言わない人が散見します。まず自分が得かどうかではなく、組織にとってそれがメリットか、どうかを考えて行動する組織にしていかなければなりません。

以上のこの5つの観点で組織の環境適応能力は測れます。またこのようにスタッフを教育していかなければなりません。

本来、明治維新前までは、寺子屋などで、四書五経といった徳目の教育が青少年教育の主体であったために、自然に組織で個人を生かす方法を徹底的に学ぶのです。

しかし、明治以降、特に戦後、知識教育の偏重と、西洋型組織におけるトップダウンの組織運営のしくみは、派閥、縄張り争いなど個人利益誘導のしくみが、特に日本の舵取りを担う、官僚や大企業などの大組織ではびこり、その結果が日本の衰退を招きました。

戦前は海軍、陸軍などの軍閥による対立や、陸軍における皇道派や統制派の派閥対立、戦後では、官僚における省ごとの対立や、大企業でも後継者を指名する場合、自分より小粒な人材を指名し、自分の影響力を残そうとすることなど。

今日、徳育教育もなく、特に戦後66年、個人主義だけがはびこるなかで、組織を通して個人を生かす方法はITを活用するしかありません。公平平等な評価のできる、教育と指示命令の仕組みをもった仕組みを組織に導入することが大切でしょう。