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ボズワース

エドワード4世の弟グロスター公は、次兄クレランス公を謀反の罪で陥れ、処刑させ、エドワード4世が死去すると、その幼子であるエドワード5世の摂政になるも、すぐにロンドン塔で、その兄弟を殺し、リチャード3世として王位についた。

そこでランカスター側はこれに対抗して挙兵。フランスのヘンリーテューダもリチャードを倒すためにイギリスに上陸する。

リチャード3世は諸侯に集合かけ、兵を集めるも、弟がヘンリー側に与していることに不安を感じる。

両軍はボズワースの原野に進撃する。

リチャード軍は先陣をノーフォーク公、後陣をノーサバラント伯が務め、王自身は中央で全軍を指揮する。
一方ヘンリー軍はオクスフォード伯が全軍を統括。中央にヘンリー、左右にサー、ジョン、サベージおよびギルバートタルボットという布陣。

戦いはボズワースの丘陵に突き出た「アンビエン・ヒル」の争奪戦に始まりました。リチャードはノーフォーク公にアンビエントヒルの占領を命じ、王もこれに続く。

一方ヘンリーも全軍に進撃を命じるが、目指したアンビエントヒルはすでにノーフォーク公に占領され、また進路が湿地帯に阻まれたため北に転進する。

ヘンリー軍が陣容を整え、攻撃に転じ、アンビエンヒルの斜面を登り始める。

ノーフォーク軍は丘をかけ下り、斜面の中腹でヘンリー軍を押し返す。しかしノーフォーク公は戦死する。

王はノーフォークの戦死によりヘンリーとの勝負を決めようとし、ヘンリーの前の厚い護衛層を突破しようとし、ノーサバラント伯に出動命令を送る。しかしノーサバラントはスタンリの動きが挙動不審なのを警戒して動かず。
このときスタンリー卿はヘンリー側に寝返り、リチャード軍の側面に迫る。

王はこの裏切りを知ると親衛隊を終結し、斜面をかけ下り、スタンリ軍めがけて突進するも、湿地帯に馬の脚を取られ、立ち往生し、敵に囲まれる。

リチャード三世は戦死する。
リチャード3世 1幕1場「平時と非常時のリーダー」
長い薔薇戦争は赤い薔薇側のヨーク家が勝利し、、容姿端麗な兄のエドワードが王座につきました。後のリチャード3世、弟のグロスターはランカスター家との戦いの日々では、存在価値が大きかった自分が、平和の時代が来ると、居場所を持たないのに気づきます。そこで兄のエドワード王と次の兄のクラレンスを倒し、自分が王座につこうと企みました。安定した時代はバランスのとれた毛並みのよいエリートがリーダーとなり、変革の時は異端児がリードして体制をひっくり返す。いつの時代でも平時と非常時のリーダー像はエドワードとリチャードのように対象的です。非常時のリーダーが平時で地位を保つのは難しい。ナポレオン、ヒトラー、織田信長、西郷隆盛はその典型といえるでしょう。

リチャード3世 5幕3場「戦わずして負ける」
孫子の5つのキーワードのひとつに「天」というのがあるが、その「天」の一つであろう気、運勢を呼び込むことも重要な戦略です。リチャード3世は兵力では圧倒的に有利でした。にもかかわらず戦争の前夜、野営のテントでリチャードが寝ていると、亡霊が出現しました。彼は気が動転し、状況は一変した。悪の限りを尽くし、策略をめぐらし、地位を獲得しても、そこに正当性がなければ、気や運を呼び込むのは難しいものです。
これは「天」に逆らって戦う前から負けてしまっている人間の独白です。ビジネスでもリーダーの姿勢は常に顧客に対しては誠実であり、社員に対しては正義を貫く姿勢が大切です。濡れ手に粟の商売をしたり、社内に派閥を作ったり、不公正な人事はどんなに自分の立場が強くても、いずれは崩壊の憂き目をみるようです。正義や誠実さはすきをつくらず、前向きの姿勢が運をよぶのでしょう。正義と誠実は比肩するもののない最高の戦略なのです。

リチャード3世 5幕3場「戦わずして勝つ」
リッチモンド伯、後のヘンリー7世はリチャード3世との戦いの前夜、はればれとした明るい気持ちで部下と戦略を討議していました。自分の正当性を信じ、前向きな明るく余裕のある状況は、リチャード3世とは対照的です。兵の数では不利でも運勢が見方しているので、悲壮な暗さはみじんもない。運気を追い風に、つまり「勢い」にのって一気に決戦を挑もうという「人事を尽くして天命を待つ」状況はすでに戦わずして勝つ状態なのです


始計編
リーダーには常に理論と公正さが必要。

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2008年12月06日 19:24に投稿されたエントリーのページです。

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