ビジネスにおける最終目標はブランド化することです。これは企業が一方的にステイタスを持つのではなく、ユーザーとの共同作業によって成り立ちます。つまりユーザーがその企業の商品、サービスを利用することにより、自分のライフスタイルのステイタスが上がる効果を認めた場合にブランドの価値が輝き始めます。
ブランド化とは商品そのものの価値というより、その商品をお客様が購入することにより、お客様の生活や仕事がその購入価格をはるかに上回る価値をお客様に与えることが可能な状況を作り出すことです。
たとえば、ヴィトンのバッグは大変高価ですが、戦後30年代ごろまで、白州次郎は娘さんに海外旅行へ行くならヴィトンのバッグを持っていけ、と言ったといいます。それは、その頃、ヴィトンのバッグを持つことは、それなりのステイタスの証で、どうしても黄色人種として差別されがちな、ヨーロッパでは、一流ホテルでの待遇が格段と異なったからだそうです。その後、大変高価にもかかわらず、お金ではなかなか買えないステイタスを身につけられる、と一般庶民に、とくに若い女性に爆発的に広がっていったのです。ヴィトンというブランドが、購買者の社会的ステイタスを上げたのです。ベンツもしかりです。家は買えないが、ベンツなら月賦でなんとかなる。そしてベンツを持っていると金持ちに見える。まさにヴィトンと一緒です。
つまり、ブランドはお客様の生活や仕事など人生を幸福にする何らかの価値をもたらすものを持った商品なのです。
コンピュータの活用は、データ→情報→知識→知恵→ブランドと進みます。ブランドは社員が知恵を出し合って、工夫に工夫を重ね、最高品質になった商品に、お客様の評価が加わって形成されます。商品やサービスの日々の改善で、企業と顧客の相互コミュニケーションの結果、ブランド戦略は構築されます。
ブランドを構築できれば、マーケットに大きな存在感を持たすことができ、戦わずして(ビジネスをせずして)利益をあげることができる。
お客様の欲するところを提供できるだけでなく、お客様の欲するものを生みます。
したがって、ビジネスをする前に利益を確保できる。ブランド戦略とは、お客様がこのビジネスにお金を払うことをステイタスと感じさせることが大切。
たとえば当社の例では、毎年5万人以上の人が当社のソフトを購入していただき、資格試験を目指します。そのなかで、お客様に様々なアンケートをお願いして、どうしたら合格しやすいか試行錯誤し、次の年のバージョンアップに備えます。そうすることを10年以上続けていますので、その膨大なノウハウをお客様にご提供することが可能となり、そのことが、商品の購入金額の何倍もの価値として、お客様にご享受していただくことができるのです。
会社におけるあらゆる「カイゼン」がブランドをつくります。