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マズローの段階説 マーケットから見て

人間の高尚さは上へいくほど高まりますが、市場規模は下へ行くほど大きくなります。つまり資本主義社会では、原始的欲求の市場を握る企業ほど世の中をリードする一流企業になる傾向があるわけです。

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今日の戦略論、とくに米国からきたものは、大企業相手が多いものですから、下方の市場が中心に論じられるものです。顕在化された市場をどう奪うか、というものです。この市場に関しては、まさに戦いなのでしょう。

新興企業のDELLが、なぜパソコンで軒並み巨大ハードメーカーであるIBMやHP,富士通、NECを抑えてトップメーカーになったかといえば、直販という、流通チャネルの短縮によるコスト競争での優位とサポートの充実にあるでしょう。ここはまさにマーケティングの教科書的勝利だと思います。

しかしマイクロソフトがなぜアップルを押しのけてパソコン市場を握ったかといえば、その技術力ではなくOSをほかのハードメーカーに開放したことで、利用者が増え、そのアプリケーションをつくるサードパーティが増えたことにあります。

今日においてもマイクロソフトの売り上げの多くは、直接コンシューマーからのものではなく、パートナー企業からのものなのです。

GoogleやYahoo!は一般ユーザーに数多く無料で利用してもらうことで、広告収入と販売代行、そして株式公開で成功しました。

知価社会への移行は、いかにエンドユーザーを取り込み、エンドユーザーの自我の欲求と自己実現の市場が拡大していくことにあると思います。SNSで代表されるミクシィはコンシューマーの自我の欲求を満たす、典型的なビジネス成功例として、時代が知価社会へ踏み込んだことを意味します。

これから先は知価社会の本格的移行として、個人の市場が、消費市場から投資市場へと変質することだと思います。そのきっかけとなるのが団塊の世代の大量退職だと思います。

この階層はなによりもライバルが多いために戦闘的です。学生時代、学生運動など既成概念を壊すことが得意でした。なおかつ社会に入ると「いちご白書」ではないけれど、平気で体制に順応できます。しかも戦後、日本の高度成長期を作ってきた成功実績があります。さらにバブル崩壊という未曾有の失敗実績もあります。そしてきわめつきは、9.11以降の大リストラで同僚を追い出します。そのうえ、めげずにアジアの成長を利用します。

このような戦国時代の生き残りのような人たちが、そのままみんなおとなしく隠居するとは思えません。しかも数多のノウハウを持った貴重な人財です。私はこの人たちが最後の一花を咲かせる意欲のエネルギーが、知価社会への移行を促進するのだと思います。まさに若いころに果たせなかったレボリューションを、第2の青春で果たそうとする、そういう受け皿が今、必要なのだと思います。また企業にとっては大変なチャンスだと思います。

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2008年04月02日 00:59に投稿されたエントリーのページです。

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