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日本における学力は着実に低下している。

先日「学力の社会学」(2004年 岩波書店 苅谷剛彦 志水宏吉編)を読みました。この本は教育現場を知るうえで大変参考になる本です。ぜひ教育関係の方にはお勧めです。

この本でまず強調しているのは、「日本における学力は着実に低下している」ということです。特に小学校4年、5年、6年での学習遅滞者の増加は深刻です。遅滞者とは下の学年のテストを行った時、その学年の平均点を下回る児童を指します。

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遅滞発生率は、4年、5年、6年と高学年になるほど増加します。しかし2002年では、もし82年と同等の試験をしていたならば、はるかに高い遅滞発生が起こることをこの図は示しています。82年からの20年の学力の低下は大変な事態になることを示唆しています。

現実問題として2000年にはOECDの学力調査(PISA)で日本は数学1位、読解力8位、科学2位で総合で1位であったのが、2006年では15位まで落ちています。先日現在は18位まで落ちている、という報道がなされています。

なぜここまで日本人の学力は落ちてしまったのでしょうか。この本の調査では、家庭環境の格差の増大に大きな原因がある、としています。家庭環境の格差がそのまま学習意欲の格差につながり、それが学力の格差につながります。つまり優秀者での格差はあまり82年と差はないのですが、学習遅滞者の学力が大幅に低下しているのです。

日本人の一人当たりのGDPが下落している今日、家庭環境が悪化している家庭が増加しています。
このデータはそのことを如実に表しています。

今日において、日本の学力の悪化は学校教育の問題だけでなく、社会全体の問題であるといえるでしょう。日本人全体で、今向上心を失っているように感じます。GDPが世界2位になり、少子化、老人大国への変節はあきらかに成熟国家になったことを意味します。

私はなによりも、今日、日本人は、自国のあるべき方向性を見失い、生きる意欲が弱まってきたように感じます。日本人のホワイトカラーの生産性は先進国で最低といわれています。大人に仕事のあり方、生き方が今最も問われているのだと思います。

そのためには大人がしっかりとした哲学を持ち、生きる目標を見出し、学校の責任にばかりしないで、しっかり子どもたちを教育すべきではないでしょうか。

学校はどうあるべきか、企業はどうあるべきか、個人はどうあるべきか、それぞれ「教育、学習についてのご提案」「戦略ブログ」「社長ブログ」で皆さんと一緒に考えていきたいと存じます。

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2008年06月08日 13:38に投稿されたエントリーのページです。

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