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2014年06月 アーカイブ

2014年06月09日

2014年6月10日の意味するもの

これを書いている6月9日はなにを隠そう私の誕生日です。誕生日というのは宿用占星術でも、命宿といい、決してめでたい日ではなく、生まれたままの姿であるという意味でも、パワーの弱い日です。

そしてもちろん先祖との関係も深く考えなければならない日でもあると思います。宿曜占星術でいうと私は斗宿です。それを命をうけた宿、すなわち命宿といいます。そして前世の宿、すなわち業という宿は昴宿です。

明日、6月10日は中世の旧暦に直すと、5月22日、北畠顕家の命日です。顕家の命宿は昴宿です。そしてこの2014年というのは、顕家の父親 親房の没後660年です。北畠親房は1354年5月10日(新暦で6月1日)に没しました。

前にもふれましたが、皇紀と西暦の差は660年です。

思えば、皇紀に直せば1993年11月25日、顕家が鎮守府将軍にたち、親房が没したのが2014年の6月1日です。

それを西暦に直すと、偶然ですが、そのままメディアファイブの設立日から今日までの時間に重なります。

親房の心境を想像すると、建武の親政はすぐに瓦解し、顕家という最も期待していた息子を失い、東国の遠征に失敗し、後醍醐天皇というリーダーを失い、神皇正統記を書き、東国の関城を陥落させていしまい、吉野では藤氏一揆で仲間に裏切られ、一度は京都奪還に成功したものの、すぐに追い出され、吉野宮は焼かれ、後村上天皇に娘顕子を中宮として嫁がせるも、しかし誤解やトラブルで後村上天皇と離別し、恐らく失意のうちに賀名生61歳の生涯を終わらせました。


建武の親政から賀名生で終わるまで、まさに21年でした。


親房は正義(儒学)で治める国づくりを理想としていましたが、これは、250年あとの徳川幕府になるまで訪れることはありませんでした。それまでは、歴史上最悪の血で血をあらう世のなかが続いたのです。

神皇正統記はまさに、そういう世のなかを終わらせるために、書いた書物なのですが、生前は、まったくといっていいほど、親房の思惑のとおりには働きませんでした。


しかし日本の歴史を振り返れば、この南北朝から戦国時代までの250年の争いの日々は、日本の軍事力を格段と強くし、もし織田信長が殺されなければ、おそらく世界最強の軍隊として、イギリスのように世界中を征服していたかもしれません。

もっとも、そうなると、日本統一にじゃまな、南朝のシンボルでもある北畠氏族は確実に根絶やしにされていたでしょう。


親房の理想国家は、くりかえしブログでも触れていますが、江戸時代に実現します。しかし、江戸時代も元禄という繁栄期をピークに、宝永の大地震と富士山の大噴火で、大飢饉も発生し、幕府の財政はひっ迫しました。


しかし徳川吉宗という政治の天才が30年間も施政したおかげで、寺子屋が農村で急速に普及し、農業のイノベーションが進み、教育というツールでこの危機を30年かけて乗り越えたのです。

寺子屋をつくり、9割の農民に新しい産物を推奨し、それを無税にし、二毛作が発明され発展し、しかも為政者たる武士は極めて質素な暮らしをし、おそらく歴史上でもこれほど、万民にとっても理想的な時代はなかなかおきなかったでしょう。

もちろん、その間には飢饉や百姓一揆も起きましたが、言われているほど多いものではなかったのです。


北畠親房は、その時代の閉塞感に絶望し、タイムマシンとして書籍を残したのだと思います。そしてその玉手箱は江戸時代に開花し、本居宣長や山崎闇斎、藤田東湖など水戸学派をはじめ、熱心に支持され研究されたのでした。

その思想は幕末に至り、吉田松陰などが受け継ぎ、明治維新の思想的バックボーンになりました。しかしなぜか、その儒学的政府はっ西郷隆盛の失脚と西南戦争により消滅し、富国強兵へと実利的政府へと看板がかけ変わり、西洋列強と争い、中国、ロシアとの2度にわたる奇跡的戦勝が、国民を含め、軍国への志向を強め、世界中と戦争を繰り広げて、最後は米国にとどめを刺されました。

親房の残した書物は、勿論参考文献でしかありません。しかし水戸学派や吉田松陰を通して、多くの政治家に影響を与えたのは事実でしょう。


歴史は壮大です。人の人生はちっぽけです。我々凡人はその時代での豊かな暮らしを求めますが、みなそれがかなうわけではありません。

ほとんどの人が挫折の苦しみの中で死んでいくのです。


私にとって、もっとも崇敬している北畠親房顕家親子の思いに少し近づける日でもありました。

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