“日本的精神”を、学校現場の課題解決ツールにする
「日本的精神」を授業で扱うとき、ありがちなのは“道徳”や“精神論”として切り出してしまうこと。
でも現場の課題はそこじゃない。
小:調べ学習で止まる(情報は集めるが、問いが深まらない)
中:暗記に寄りがち(因果と判断が弱い)
高:論述以前に「観点」が揃わない(評価軸が曖昧)
そこで、日本史(社会科)を「価値判断の型」「目的の筋道」「粘り強い検証」の訓練場として設計し直します。海外のPBLやIBに寄せるのではなく、日本史の素材で、世界標準の探究リテラシーを鍛えるイメージです。
1) 小学校社会:地域・くらしから「大義(誰のため?)」を立ち上げる
ねらい
生活課題を“自分ごと”で語れる
「だれの困りごとを、どう良くするか」を言葉にできる
調べた情報を、行動(提案)までつなげる
授業案:『わたしたちのまちの“困りごと”マップ』
単元例:地域の様子/くらしと産業/防災・安全
導入(問いの型)
子どもが選んだテーマ(交通・ごみ・観光・防災など)に対して、AIがコネクトシートで問い返し。
小のコネクトシート(短く、低学年でも回る)
まちで気になること:____
困っているのはだれ?(子ども/高齢者/お店/観光客…)
どんなとき困る?(場面)
どうなったらうれしい?(“幸せ”を具体化)
できそうな工夫は?(3つ)
AIの役割(ツインAIの超入門)
コーチAI:具体化(「いつ?どこ?だれ?」を増やす)
チェッカーAI:比較(「別の立場だとどう見える?」)
アウトプット
「まちの提案ポスター」または「市役所に出す想定の提案文」
評価(ここが“精神論”にならないポイント)
“だれのため”が書けている
立場を変えて考えられている
調べたことが提案に使われている
→ 日本的精神は「思いやり」ではなく、利害調整の思考技術として扱う。
2) 中学校歴史:史実を“判断の材料”にする(正しさより筋道)
ねらい
出来事を暗記で終わらせず、「なぜそうなった?」を因果で説明できる
価値が衝突する場面で、複数観点から判断できる
“大義”を「正統性・説明可能性」として扱える
授業案:『もしあなたが朝廷/武士/農民なら? 正統性シミュレーション』
題材例:鎌倉成立/南北朝/戦国の支配/江戸の統治
活動の型(海外PBLのDriving Questionに近い)
Q:この時代の「正統性(みんなが納得する支配の理由)」は何で支えられていた?
Q:どの立場にとって、どんな利益/不利益があった?
ツインAI設計(中で効く)
コーチAI:因果整理(背景→転機→結果)
チェッカーAI:史料・用語・年代の整合チェック+「観点の抜け」を指摘
ワーク(授業で使える形)
立場カード(朝廷・武士・寺社・農民・商人など)を配り
各立場の「正統性の主張」を作る
最後に「合意形成案」を作る(妥協点はどこか)
評価
史実に基づき主張できている
立場による価値の違いを言語化できている
合意形成の筋道がある
→ “日本的精神”は「忠誠」ではなく、合意形成・統治の設計原理として現代化する。
3) 高校日本史:論述の前に「観点(フレーム)」を揃える
ねらい
史実の羅列ではなく、観点(政治・経済・社会・文化・国際)で説明できる
“正統性”や“徳目”を、価値判断の比較軸として使える
生成AIを「下書き役」ではなく「反証・比較役」にできる
授業案:『「大義」をめぐる歴史叙述の比較:南北朝~近世への連続と断絶』
学習課題の例
「正統性」は何で支えられ、何が変化したか
武家政権は何をもって「正当化」され、社会をどう安定させたか
その正当化は、誰にとって納得可能だったか
授業の型(高校は“論証”へ)
まず“観点テンプレ”を配る(政治/制度/財政/軍事/宗教/文化/対外)
AIで一次・二次情報を集める
チェッカーAIで「反証」「異説」「用語の厳密さ」を詰める
200〜400字で主張→根拠→反論処理→結論
高の評価(論述ルーブリック)
主張が1文で明確
根拠が複数、かつ観点が分散
反論(別解釈)に触れている
史実の誤りがない
→ “日本的精神”は「道徳」ではなく、**歴史叙述を支える価値軸(評価基準)**として扱う。
3校種共通で効く「LSAI的しかけ」
A. コネクトシートを学年別に“短縮版→論証版”へ
小:だれが困る?どうしたい?(生活課題)
中:立場で正統性が変わる(統治課題)
高:観点と反証で論証する(叙述課題)
B. 「不撓不屈」を“粘りの回数”ではなく“改善の質”で可視化
小:調べ直し・聞き直しを称える
中:因果を組み替えた回数を称える
高:反証で文章を更新できたかを称える
C. 先生の働き方改革が、徳育の前提
教材準備・評価観点・コメント生成をAIで軽くすることで、
最後に残る“人間の仕事”(対話・見取り・承認)に時間を回す。